GI値とは何かを理解すると血糖値コントロールやダイエットに役立つ

血糖値コントロールやダイエットに大切なのは、食後血糖値を緩やかに上昇させるための食事です。

血糖値の上昇速度は摂取した食品ごとに異なり、血糖値を下げるインスリンの分泌速度にも違いが見られます。

そのため、食後に血糖値の急上昇を引き起こす食品を摂取すると過剰なインスリン分泌を招き、さらにこのような生活を続けると糖尿病肥満につながる可能性があります。

この記事でわかること

  • GI値の分類
  • 高GI食品と血糖値スパイク
  • 低GI食品と高GI食品の違い
  • 血糖値を急上昇させない食事方法
  • バランスのとれた食事


血糖値の急激な変動を避けるための適切な食事方法は、血糖値コントロールに役立ち、糖尿病の予防やダイエットにも効果が期待できます。

食品ごとに定められたGI値は血糖値の上昇速度に関係している

食品ごとに定められたGI値は血糖値の上昇速度に関係している

食事の中でも特に糖質を摂取した場合、体内で消化吸収されてブドウ糖となり、血液中に入って濃度が上昇するため血糖値は上がります。

血糖値とは、血液中にどのくらいブドウ糖があるかを示した濃度のことです。


食事をするとその直後から血糖値が上がり始めますが、食品によって上昇速度に違いがあり、この血糖値の上昇度を数値化したものGI値といわれています。

GI値は食品ごとに定められており、基準値は以下のように分類されています。

分類 基準値 食品
高GI食品 70以上 白米、餅、食パン、うどん、コーンフレーク、ジャガイモ、にんじん、せんべい、スイカ、パイナップル
中GI食品 56〜69 パスタ、カボチャ、里芋、レーズン、巨峰
低GI食品 55以下 全粒粉パン、そば、オートミール、トマト、おくら、キャベツ、レタス、キノコ類、牛乳、肉類、魚類、りんご、いちご、レモン
GI値が高いほど血糖値は急上昇し、低くなると上昇は緩やかになります。

高GI食品の摂取は血糖値スパイクを招き集中力の低下などを引き起こ

糖質を摂取すると血糖値は上がりますが、膵臓から分泌されるインスリンの働きにより徐々に食事前の血糖値に戻ります。

しかし高GI食品を摂取すると血糖値が急激に上昇を始めるため、インスリンは過剰に分泌され、その後血糖値が急激に下がると考えられています。

血糖値が大きく変動する状態は血糖値スパイクと呼ばれ、血糖値の急降下によって脳へのエネルギー不足を招くとされており、食後の強い眠気集中力の低下を引き起こす原因です。

血糖値スパイクが続くと血管を傷つけて動脈硬化を進行させる原因となり、心筋梗塞や脳梗塞など血管疾患を発症させる可能性があります。


さらにインスリンは、ブドウ糖から中性脂肪の合成を促進させる働きがあるとされており、過剰分泌は肥満につながる原因の一つとなるでしょう。

こうした食生活を続けると、膵臓に負担をかけてインスリンの働きが悪くなったり、分泌不足が起こったりする場合があります。

その結果、血糖値が下がらなくなり、やがて糖尿病を発症する危険性があります。

低GI食品と高GI食品では消化吸収される速度に違いがある

低GI食品と高GI食品では消化吸収される速度に違いがある

食品にはGI値が定められており、その数値によって低GI食品や高GI食品などに分類されます。

低GI食品は食物繊維が豊富だったりでんぷんの含有量が少なかったりするため、摂取しても消化吸収がゆっくり進み、血糖値は緩やかに上昇します。

そのため、インスリンが大量に分泌されず、血糖値の変動や肥満を防ぐ効果が期待できるでしょう。

さらに食物繊維が豊富な食品では満腹感を得られるため、食べ過ぎ防止にも効果的です。


一方、糖質を多く含む高GI食品は、体内で素早く消化吸収されてブドウ糖が血液中に入るため血糖値が一気に上がります。

この急激な血糖値の上昇に反応してインスリンの過剰分泌が起こり、その後急降下する血糖値スパイクを招くと考えられています。

低GI食品は糖尿病や動脈硬化の予防、ダイエットに効果があるとされていますが、高GI食品は肥満や糖尿病を引き起こす可能性があるため過剰摂取を控えるのが望ましいです。

摂取する際は精製された白米ではなく食物繊維が豊富な玄米に置き換えたり、食パンを全粒粉パンにしたりするなど工夫をすると、血糖値スパイクを抑制できるとされています。

食品群の中でも食物繊維の含有量などによってGI値に違いがある

食物繊維が豊富に含まれているものやでんぷんの含有量が少ないもの、肉などタンパク質を多く含んでいるものは低GI食品に分類されます。

白米は精製される時に食物繊維やビタミンなどが取り除かれてしまうため、高GI食品に分類されますが、食物繊維が豊富で消化吸収がゆっくり進む玄米は低GI食品です。

野菜に関してもほうれん草など食物繊維が多いものは低GI食品ですが、ジャガイモカボチャはでんぷんを含んでおり、高GI食品に分類されます。

果物は甘味があるため血糖値を上げるように思われがちですが、甘みの成分はブドウ糖ではなく、果糖です。

果糖はインスリンの影響を受けないため血糖値を容易に上げず、エネルギーとして効率よく利用されるといわれています。


加えて、食物繊維も豊富に含んでいるため低GI食品に分類されますが、食物繊維が少ないスイカや糖質を多く含んでいるパイナップルは高GI食品です。

はタンパク質や脂質からできていて糖質をほとんど含んでおらず、さらに乳製品もラクトースという成分が分解されるまでに時間がかかるため低GI食品に分類されます。

しかしこれらは食品に対する指標であり、調理方法や使用する調味料の種類などによって血糖値の上昇速度には違いが生じ、必ずしも一定ではありません。


上白糖醤油など糖質が含まれている調味料の使用や、スムージーのような食物繊維を壊す食べ方は、血糖値を上昇させます。

このように食品の種類だけでなく、どのように調理されるかによっても血糖値の上がり方は違い、血糖値を急上昇させないためには調理方法食べ方を工夫する必要があります。

GI値を考慮した食事の摂取方法は血糖値の急上昇を抑制できる

GI値を考慮した食事の摂取方法は血糖値の急上昇を抑制できる

低GI食品のみを摂取すると血糖値の上昇を抑制できますが、高GI食品に含まれるブドウ糖は体のエネルギー源となる大切な栄養素であるため、適度な摂取は欠かせません

糖質が多く含まれている高GI食品は摂取後より血糖値を上昇させますが、食べ方の工夫をすると血糖値の上昇を緩やかにするといわれています。

血糖値を急上昇させないためには、高GI食品を食事の最初に摂取せずに、消化吸収されない食物繊維が豊富なものから食べるのが重要です。

食物繊維の中でもおくらやわかめなどの水溶性食物繊維は胃腸内をゆっくり移動し、さらに糖質が直接消化酵素に触れないようにするため、消化吸収を遅らす働きがあります。

加えて、噛み応えのある食物繊維が豊富な食品は満腹感も得られ、食べ過ぎ防止にもつながるでしょう。

しかしでんぷんを含んだジャガイモなどの芋類は、高GI食品に分類されており、血糖値を上昇させるため摂取量に気を付ける必要があります。


さらにタンパク質脂質といった消化吸収に時間がかかる食品を糖質の前に摂取するのも、血糖値上昇の抑制に効果があるとされています。

それはタンパク質や脂質は胃内に長く滞留するため、その後に糖質を摂取すると胃内でそれらが混ざり合い、糖質を吸収する小腸への排出時間が遅くなるためです。

胃から小腸へ到達した脂質やタンパク質は、胃内容物の排出を遅らせるインクレチンという消化管ホルモンを分泌させるため、糖質の消化吸収も遅くなります。

このように食べ方の順番を工夫すると、高GI食品を摂取しても血糖値スパイクの予防に役立つと考えられています。

低GI食品はインスリン分泌を抑え血糖値や体重の管理に効果がある

低GI食品はインスリン分泌を抑え血糖値や体重の管理に効果がある

GI値を考慮した食事は、血糖値コントロールダイエットに効果があるといわれています。

血糖値コントロールやダイエットは、インスリンを過剰に分泌させない食事が重要であるため、食後血糖値の急上昇を抑制する必要があります。

糖尿病は暴飲暴食や糖質の過剰摂取によってインスリンの過剰分泌が続き、徐々にインスリンの働きが弱くなり、分泌量が減少するのが原因の一つです。

その結果、血糖値コントロールが困難となり、血糖値が下がらなくなって糖尿病を発症するとされています。

さらにインスリンには脂肪分解抑制や脂肪合成促進の働きがあるため、過剰分泌はこれらの働きを促進させてしまい、中性脂肪が蓄積して体重増加につながる可能性があります。

低GI食品は食後の血糖値の上昇が緩やかであり、インスリンも過剰分泌されないため、血糖値コントロールやダイエットに役立つでしょう。

しかし高GI食品も体にとって必要な食品であり、食べ方を工夫しながら血糖値の上昇を緩やかにして、インスリンの分泌を安定させるのが大切です。

血糖値管理のため毎日の食事に低GI食品を意識的に取り入れる

血糖値コントロールやダイエットをしたい場合は、一食のみでなく、毎日の食事に気を付ける必要があります。

食後の血糖値を急上昇させないためには高GI食品から摂取しない食べ方の工夫や、高GI食品を低GI食品に置き換えるなどの食品選びが大切です。

例えば、以下のような食品選びを心がけると効果があります。

料理区分 食品
主食 オートミール、玄米、もち麦入りご飯、全粒粉パン、全粒粉パスタ、そば
副菜 焼き魚、鶏胸肉、ひじき、ごぼう、キノコ、海藻、、豆類、豆腐、卵、チーズ、トマトやレタスなどのサラダ、無糖のヨーグルト、ベリー系のフルーツ


毎朝食べている食パンやご飯を全粒粉パン玄米に置き換えるなどの工夫が、血糖値コントロールやダイエットに役立ちます。

しかし毎食必ず自炊をする必要はなく、外食やコンビニエンスストアを利用する場合は以下のような食べ方の工夫をすると、食後血糖値の上昇抑制につながります。

    • 丼ものや麺類を食べるときは野菜やタンパク質が取れるメニューを追加する
    • 野菜が足りない場合は小鉢などの一品ものを追加する
    • 主食や副菜、主菜などバランスの良いものを選ぶ
    • 野菜やスープなどから摂取する
    • ソースやドレッシングは後からかけられるものを選ぶ
    • デザートは果物を選ぶ


外食やコンビニエンスストアの食事は、糖質が多かったりカロリーが高かったりする傾向にあり、食物繊維やタンパク質などが豊富な低GI食品を意識的に取り入れる必要があります。

血糖値コントロールや体重管理は日々の積み重ねによって効果が表れるため、制限するのではなく、低GI食品をうまく利用して継続するのが大切です。

GI値のみでなく五大栄養素もバランス良く摂取するのが大切である

GI値のみでなく五大栄養素もバランス良く摂取するのが大切である

高GI食品には主食である白米や食パンなどがありますが、血糖値を急上昇させるからという理由で、全く摂取しないのは好ましくありません

ブドウ糖は体にとって非常に大切なエネルギー源であり、不足すると思考能力が低下したり、疲労感を感じたりするようになります。

さらに、過度な食事制限はホルモンバランスを崩したり免疫力が低下したりなど、さまざまな健康障害を引き起こす可能性があります。

そのため、以下のような五大栄養素をバランスよく摂取するのが大切です。

栄養素 食品
糖質 白米、食パン、うどん
脂質 青魚、ナッツ類、オリーブオイル
タンパク質 肉類、魚類、卵、大豆製品、ナッツ類
ビタミン 豚肉、レバー、ほうれん草、にんじん、大豆、卵、ブロッコリー
ミネラル モロヘイヤ、ひじき、わかめ、小魚


タンパク質や脂質などの代謝を助ける働きがあるビタミンミネラルは、体内で合成できないため、食事から摂取する必要がある栄養素です。

不足するとエネルギー不足や筋肉量の低下による脂肪の蓄積を招く場合があるため、五大栄養素をバランスよく摂取して健康を保つ必要があります。

GI値を意識した食事は糖尿病予防や健康的な体づくりに役立つ

GI値を意識した食生活を送ると、血糖値コントロールや体重管理に役立ち、糖尿病予防ダイエットにつながるといわれています。

糖質を多く含む高GI食品は、摂取後速やかに血糖値を上昇させるため、インスリンが過剰に分泌されます。

その結果、血糖値スパイクや脂肪の蓄積を招いて肥満を引き起こす可能性がありますが、全く摂取しないで良いわけではありません。

糖質は大切なエネルギー源であるため、摂取する際は食物繊維が豊富な低GI食品から摂取するなどの工夫をすると、血糖値の急上昇を抑制できます。

偏った食事は健康障害を引き起こす危険性があるため、GI値に気を付けながら五大栄養素を意識的に取り入れた食生活を送りましょう。

本記事は一般的な情報をまとめたものであり、医療的な判断や治療を目的としたものではないため、健康状態に不安のある人は必ず医療機関へご相談ください。