トマトジュースは健康的な飲み物として知られていますが、どのような効果があるのか気になっている人もいるでしょう。
トマトジュースに含まれている栄養素は生活習慣病の予防や健康の維持、美肌に効果があります。
今回はトマトジュースに含まれている栄養素や期待できる健康効果、効果的な飲み方について解説します。
この記事でわかること
- トマトジュースの主な栄養素
- トマトジュースに期待される健康効果
- トマトジュースを飲む際の注意点と効果的な飲み方
トマトジュースで得られる効果を知りたい人、飲み物から手軽に栄養を摂りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
トマトジュースには体に良い影響を及ぼす栄養素が含まれている
トマトジュースには体に良い影響を及ぼす、以下のような栄養素が含まれています。
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- リコピン
- GABA
- カリウム
- ビタミン類
日本農林規格によると、トマトジュースはトマトを絞って皮や種を取り除いた物または濃縮トマトを水などで薄めた物で、基本的にはトマトに食塩のみを加えて作られています。
参照元:トマト加工品 – 日本農林規格
一方、トマトジュースにセロリやにんじんなど他の野菜の絞り汁を加えた物は、トマトミックスジュースと定義されます。
どちらもトマトの栄養素が含まれていますが、トマトの栄養素を集中的に摂取したい場合はトマトジュースが最適です。
ここでは、トマトジュースに含まれている栄養素について詳しく解説します。
リコピンは野菜や果物に含まれている色素成分である
リコピンは野菜や果物に含まれている色素成分であるカロテロイドの一種で、トマトの赤色はリコピンによるものです。
強い抗酸化作用があり、以下のような働きが期待できます。
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- 生活習慣病やがんのリスクを減らす
- 動脈硬化の予防や改善に役立つ
- 善玉コレステロールを増やす
- 肥満を予防する
- 肌の赤みやシミを予防する
活性酸素の増えすぎは生活習慣病や動脈硬化を引き起こす原因となりますが、抗酸化作用は体内の活性酸素を除去して体を酸化から守ります。
コレステロールには善玉と悪玉の2種類があり、リコピンには善玉コレステロールを増やす働きがあります。
研究により、1日15mgのリコピンを継続して8週間摂取すると善玉コレステロールの上昇が期待できるという結果が得られました。
参照元:野菜飲料への機能性表示に向けた取組み – 日本生物工学会
他にも脂肪細胞の抑制や糖代謝の改善により、肥満の予防に効果があります。
紫外線は体内に活性酸素を発生させて肌の赤みやシミの原因となるメラニンを生成しますが、抗酸化作用はメラニンの生成を抑制します。
トマトジュースなどの加工品は生のトマトよりも濃度が濃く、リコピンの効率的な摂取が可能です。
GABAは脳や脊髄で精神を安定させる神経伝達物質である
GABAは体内で生成されるアミノ酸の一種で、脳や脊髄で精神を安定させる神経伝達物質です。
野菜や発酵食品に多く含まれており、以下のような作用があります。
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- 高めの血圧を下げる
- ストレスを緩和する
- 中性脂肪の増加を抑える
- 肌の弾力を維持する
血管を収縮させるノルアドレナリンの分泌を抑制し、高めの血圧を下げる作用があります。
人の体には血圧が変動しても一定に保つ恒常性維持機能が備わっており、血圧が正常の人が摂取しても数値が下がりすぎる心配はありません。
交感神経を抑制して副交感神経を優位にする働きがあり、心身がリラックスした状態となるため、ストレスの緩和につながります。
すい臓や肝臓の代謝を促進させて脂肪を燃焼し、体内の中性脂肪が増加するのを抑えます。
肌の弾力を維持する働きも報告されており、GABAを継続して8週間摂取したところ、肌のハリや弾力に改善がみられたという結果が出ました。
参照元:γ-アミノ酪酸の経口摂取による皮膚状態改善効果 – J-STAGE
健康効果を得るには1日あたり30mg以上を目安に継続して摂取するのが効果的であり、トマトジュースがGABAの摂取に役立ちます。
カリウムは体が正常に機能するために必要なミネラルである
カリウムは体が正常に機能するために必要なミネラルの一種で、余分なナトリウムを体外に排出する働きをします。
食事から摂取した塩分のほとんどはナトリウムとして吸収され、むくみや高血圧を引き起こす原因となります。
ナトリウムを過剰に摂取すると、体が体内のナトリウム濃度を一定に保とうとして血管内の水分量を増加させるためです。
日本人の食品摂取基準によるカリウムの目標摂取量は18歳以上の男性が3,000mg、女性は2,500mgと設定されています。
日本人の食事は塩分の摂取量が多い傾向にあり、健康を維持するためにはカリウムの摂取が重要です。
トマトジュース200mlにはカリウムが520mg含まれており、カリウムの摂取に役立つでしょう。
抗酸化作用が高いビタミンエースと呼ばれるビタミンが含まれている
トマトジュースには、抗酸化作用が高くビタミンエースと呼ばれるビタミンAとビタミンC、ビタミンEが含まれています。
それぞれのビタミンの働きは、以下のとおりです。
種類 | 主な働き |
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ビタミンA | 皮膚粘膜を正常に保って感染症を予防する、視覚機能を維持する |
ビタミンC | 細菌やウイルスに対する抵抗力を高める、メラニン色素の生成を抑える |
ビタミンE | 血管や肌の健康を維持する、免疫機能を高める |
いずれのビタミンにも抗酸化作用があり、同時に摂取すると相乗効果が得られます。
ビタミンCは熱に弱い性質を持っていますが、ビタミンAとビタミンEは油を使った調理で吸収率が高まります。
トマトジュースはビタミンエースをまとめて摂取できるため、病気や老化の予防に効果的です。
トマトジュースに含まれる栄養素により健康効果が期待できる
今回紹介したようなトマトジュースに含まれる栄養素により、さまざまな健康効果が期待できます。
以下は、トマトジュースに期待できる健康効果の具体例です。
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- コレステロール値が改善する
- 血圧を下げる
- 血糖値の上昇を抑える
- 美肌へと導く
生のトマトとトマトジュースにはどちらも栄養が豊富に含まれているため、摂取したい栄養や食生活に応じて選びましょう。
栄養価を比較すると生のトマトにはビタミンCと食物繊維、トマトジュースはリコピンが豊富に含まれています。
手軽に栄養を摂りたい人や自炊をする習慣がない人は、そのまま飲めるトマトジュースが便利です。
ここからは、トマトジュースに期待される健康効果について解説します。
善玉コレステロールが増えてコレステロール値が改善する
リコピンの働きで余分なコレステロールを体外に排出する善玉コレステロールが増えるため、コレステロール値の改善が期待できます。
健康を維持するにはコレステロールのバランスを整える必要があり、善玉コレステロールが多く悪玉コレステロールが少ない状態が理想です。
リコピンの抗酸化作用には悪玉コレステロールを低下させ、酸化を防ぐ働きもあります。
悪玉コレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ働きがありますが、酸化すると動脈硬化を起こす原因となります。
GABAやカリウムの作用により血圧を下げる効果が期待できる
GABAの高めの血圧を下げる作用やカリウムのナトリウムを排出する作用により、血圧を下げる効果が期待できます。
GABAはノルアドレナリンの分泌を抑制して血管を広げ、血圧の上昇を抑えるのに有効です。
カリウムには体内の水分量を調整する働きや血管を拡張する働きがあり、GABAと同時に摂取すると血圧に対する相乗効果が得られます。
高血圧の状態が長く続くと血管が損傷を受けて動脈硬化を引き起こしますが、リコピンには動脈硬化を予防する効果があります。
血糖値の上昇を抑えて糖尿病の予防や改善につながる
トマトジュースに含まれるリコピンやビタミンエース、食物繊維は血糖値の上昇を抑え、糖尿病の予防や改善につながります。
糖尿病はインスリンの効きが十分でないために高血糖の状態が続く病気であり、抗酸化作用はインスリンの働きを助ける役割をします。
参照元:糖尿病ってどんな病気? – 一般社団法人日本糖尿病学会
リコピンやビタミンエースは抗酸化作用が高く、糖尿病の予防や改善に役立つ栄養素です。
トマトジュースに含まれているペクチンという水溶性食物繊維には、糖質の吸収を遅らせる働きがあります。
水溶性食物繊維は腸の中で糖質を包み込んでゆっくり移動し、食後の血糖値が急上昇するのを防ぎます。
紫外線による負担を軽減して肌の弾力を改善し美肌へと導く
リコピンやビタミンエース、GABAの作用は紫外線による負担を軽減して肌の弾力を改善し、美肌へと導きます。
紫外線を浴びると体内に活性酸素が発生し、メラニンが生成されてシミやくすみの原因となりますが、抗酸化作用によって肌への負担を軽減できるでしょう。
リコピンやビタミンA、ビタミンCにはコラーゲンを生成する働きもあります。
GABAは肌の弾力を維持する働きがあり、肌を若々しく保つのに効果的です。
トマトジュースには今回紹介したような健康効果が期待できますが、飲む際には注意点もあります。
健康の維持や病気の予防でトマトジュースを飲む場合は注意点もある
健康の維持や病気の予防でトマトジュースを飲む場合の注意点は、以下の3つです。
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- 糖質や塩分が少ない商品を選ぶ
- 無添加やリコピンの濃度が高い商品を選ぶ
- 食事でも野菜を食べるように心がける
市販のトマトジュースは、大きく分けてストレートと濃縮還元の2種類があります。
ストレートは果汁を搾って殺菌処理をした後、そのまま容器に詰めたものを指します。
調味料や添加物などを加えておらず、トマト本来の風味や自然な味わいが感じられるのが特徴です。
濃縮還元は果汁から水分を飛ばして濃縮保存し、再び水を加えて元の濃度に戻すという方法で製造されます。
保存や輸送にかかる費用を削減できるため、比較的安価で手に入りますが、商品によっては添加物が使われている場合があります。
ストレートと濃縮還元で栄養価は大きく変わらないため、好みやこれから紹介する注意点をふまえて選びましょう。
生活習慣病の予防や健康の維持には糖質や塩分が少ない商品を選ぶ
生活習慣病の予防や健康の維持を目的とする場合は、糖質や塩分が少ない商品を選ぶのが大切です。
市販のトマトジュースには味を良くする目的で糖質が含まれている商品も多く、血糖値に悪影響を与えます。
特に他の野菜や果物を混ぜて作ったジュースは、糖質が高い傾向です。
塩分が多く含まれている商品を継続して飲むと塩分の過剰摂取につながり、高血圧を引き起こす恐れがあります。
血圧が高い人や塩分を控えたい人には、製造工程で食塩が加えられていない食塩無添加の商品が候補です。
栄養を効率的に摂取するには無添加やリコピンの濃度が高い商品を選ぶ
栄養を効率的に摂取するには、数多くある商品の中でも無添加やリコピンの濃度が高いものを選ぶのがポイントです。
無添加のトマトジュースは、以下のような添加物が含まれていないものを指します。
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- 甘味料
- 香料
- 保存料
- 着色料など
さらにオーガニックの商品は原材料に農薬や化学肥料を使わない有機栽培のトマトを使用しており、自然な風味や味が楽しめます。
高リコピントマトを使用した商品や濃縮還元の商品はリコピンの濃度が高く、より高い効果が期待できるでしょう。
他にも機能性表示食品は科学的根拠に基づいた機能性が認められており、リコピンやGABAなどの特定の成分を摂取したい人に向いています。
トマトジュースのみに頼らず食事でも野菜を食べるように心がける
健康的な食生活を送るにはトマトジュースのみに頼らず、食事でも野菜を食べるように心がける必要があります。
厚生労働省が発表している健康日本21において、1日に食べる野菜の量は350gが目標です。
トマトジュースは栄養を摂取するための補助的な役割を果たしますが、単品では栄養素が不足してしまいます。
野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が多く含まれており、生活習慣病の予防に効果的です。
食物繊維が多い野菜を食事の最初に食べると糖質の吸収がおだやかになるため、糖尿病の予防や改善に役立ちます。
特定の食品に依存しすぎず、野菜を多く取り入れたバランスの良い食事を心がけましょう。
トマトジュースの効果を十分得るためには飲み方の工夫も必要
トマトジュースは飲むタイミングや合わせる食材によって栄養の吸収率が変わり、効果を十分得るためには飲み方の工夫も必要です。
効果的な飲み方は、以下3つのポイントがあります。
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- 朝に飲む習慣をつける
- 栄養価が上がる食材と組み合わせる
- 料理に活用する
1日の適量は人によっても異なりますが、200ml程度が目安です。
リコピンの摂取量は1日15〜20mgが望ましいといわれており、トマトジュースに換算すると200ml程度になります。
農林水産省が公表している食事バランスガイドでは、野菜ジュース200mlは副菜1つとして換算されます。
参照元:実践食育ナビ – 農林水産省
飲みすぎは糖質やカロリーの過剰摂取につながる恐れがあり、適量を継続して飲むのが効果的です。
ここからは、飲み方のポイントを1つずつ解説します。
朝にトマトジュースを飲むとリコピンの吸収率が高まる
リコピンは空腹の時間が長いほど吸収が良くなり、朝にトマトジュースを飲むとリコピンの吸収率が高まります。
1日の中で夕食から次の日の朝食までの間隔が最も長く、空腹時間が確保されるためです。
カゴメ株式会社の研究によると、トマトジュースを朝昼夜の時間帯に分けて摂取したところ、朝が1番体内に吸収されるリコピンの量が多いという結果が出ました。
血糖値の上昇を抑えたい場合は、朝食を食べる30分ほど前に飲むのが効果的です。
リコピンや食物繊維には血糖値の上昇を抑える効果があり、朝食後に血糖値が急上昇するのを防げます。
健康的な体づくりにはバランスの取れた食生活が重要となり、トマトジュースは普段の食事に追加して手軽に栄養を摂取できます。
市販のジュースは料理する手間がかからないため、朝時間がない人や普段料理をしない人も続けられるでしょう。
トマトジュースは他の食品との組み合わせで栄養価が上がる
トマトジュースは他の食品との組み合わせでリコピンの吸収率が高まり、栄養価が上がるという特徴があります。
以下は、栄養価が上がる食品の具体例です。
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- オリーブオイルなどの油
- 牛乳などの乳製品
- りんご酢
リコピンやビタミンAは油に溶ける性質があり、トマトジュースにオリーブオイルを混ぜて飲むと体への吸収が良くなります。
牛乳との組み合わせは、リコピンとβ-カロテンの吸収率が高まります。
乳製品はGI値が低い食品が多く、血糖値コントロールにも役立つでしょう。
りんご酢に含まれるクエン酸は脂肪を燃焼させ、トマトジュースとの相乗効果でダイエットに有効です。
味の相性も良いため、単独で飲むのが苦手な人も試してみる価値があります。
そのまま飲むのが苦手な人や味に飽きてしまった人は料理に活用する
トマトジュースは加熱しても栄養価があまり変わらないため、そのまま飲むのが苦手な人や味に飽きてしまった人は料理に活用する方法もあります。
ビタミンCなど一部の栄養素は減少する可能性がありますが、リコピンは熱に強く加熱すると吸収率が上がります。
トマトジュースを活用した料理の具体例は、以下のとおりです。
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- パスタソース
- スープ
- リゾット
- ハヤシライス
- ロールキャベツなど
料理に使う場合は生のトマトやトマト缶の代わりにジュースを使うと、簡単に取り入れられます。
普段あまり料理をしない人は、1回で使い切れる200ml程度の紙パックで常備しておくと便利です。
トマトはGI値が低い食品であり、低GI食品との組み合わせでさらに血糖値の上昇を抑えられます。
以下は、低GI食品の具体例です。
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- キャベツやブロッコリーなどの野菜
- 大豆食品
- 肉や魚
- 乳製品
- 玄米など
これらの食品はトマトジュースを使った料理とも相性が良いため、血糖値の上昇を抑えたい人は積極的に取り入れましょう。
栄養素が豊富なトマトジュースはさまざまな健康効果が期待できる
トマトジュースにはリコピンやGABA、ビタミンエースなどの栄養素が豊富に含まれており、さまざまな健康効果が期待できます。
リコピンやビタミンエースの抗酸化作用が活性酸素を除去し、生活習慣病や動脈硬化の予防に役立ちます。
トマトジュースの継続的な摂取はコレステロールや血圧、血糖値を下げるのに効果的です。
日焼けによるシミの予防や肌の弾力を向上する効果も期待できるため、美肌を目指している人にも向いています。
生活習慣病を予防して健康を維持したい人や飲み物から手軽に栄養を摂りたい人は、今回の記事を参考にトマトジュースを毎日の食生活に取り入れてみてください。