糖代謝を改善し健康を維持する方法

糖代謝を改善するためには、ほどよい運動と食生活の見直しが必要です。

糖代謝の乱れが続くと、視力が落ちたり、腎臓の働きが落ちたりするリスクが高まる可能性があります。

今回は、糖代謝を改善して元気なからだを目指す方法を紹介します。

この記事でわかること

  • 糖代謝は、体に安定したエネルギーを届ける働きがある
  • 糖代謝の改善には、バランスの取れた栄養をとるのが大切
  • 糖代謝を改善するために、有酸素運動や筋トレを取り入れると効果が期待できる


糖代謝の改善につながる具体的な方法を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

糖代謝への正しい理解を身につけて、健康的なからだづくりや快適な日常生活を目指しましょう。

糖代謝とは何かを正しく理解すると健康なからだづくりを目指せる

糖代謝とは、体内で糖質をエネルギーに変える働きのことです。

血糖値を適切に保ち、いのちを支える機能の一つになります。

糖質は筋肉や脳に多くあり、体を活発に動かすためのエネルギーとして使われます。

眠っている間も体の中では糖質は使われますが、この糖質の代謝のながれで、中心的な役割を果たすのがホルモンです。

食事をして血液中の糖質の量がふえると、膵臓からインスリンが分泌されるといわれています。

インスリンが血液中の糖を細胞に取り込むと、血糖値は下がる傾向にあります。


糖質はエネルギー源として利用され、残った分は中性脂肪やグリコーゲンとして蓄積されるのが、一般的な流れです。

そのため、糖質を多くとると、中性脂肪が増えてしまうかもしれません。

一方、血液中の糖質が少なくなると、インスリンとは反対に膵臓からグルカゴンが分泌される傾向にあります。

グルカゴンは肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解して糖質を血液中に出し、血糖値を上げる働きをするのです。


これにより、インスリンとグルカゴンが相互に作用し、血糖値のバランスを保つと考えられています。

糖代謝は血糖値を保つために大切であり、糖尿病の予防に役立ちます。

糖代謝の悪化は高血糖や低血糖などの影響を及ぼす可能性がある

糖代謝の悪化は高血糖や低血糖などの影響を及ぼす可能性がある

糖代謝の働きが悪くなると、下記のような糖尿病の症状を引き起こす場合があります。

    • 高血糖
    • 低血糖
    • 体重増加


糖尿病の人は膵臓の機能が低下しており、十分なインスリンを分泌できない傾向にあるといわれています。

そのため、細胞がブドウ糖を取り込む能力が低下し、血液中の糖が増加する可能性があるのです。

さらに、糖尿病の人はインスリンに対する細胞の感受性が低下する可能性が高いといわれています。

これにより、インスリンの効果が思うように得られず、高血糖が続くとされています。

さらに高血糖の状態が続くと、心臓の働きが悪くなったり、視界がぼやけたりする可能性もあるのです。


インスリンの分泌の乱れは、低血糖症状につながる場合もあります。

低血糖を放置すると、意識を失ったり、いのちに関わる可能性もあるため、糖代謝が低下しないようにするのが大切です。

下記で紹介する高血糖や低血糖などが体にどのような変化をあたえるのかを理解して、糖尿病が悪くならないように心がけましょう。

高血糖は頻尿や喉の乾きなどの症状を引き起こす可能性がある

糖代謝が低下して高血糖が生じる理由は、血糖値を調節するインスリンやグルカゴンなどのホルモンのバランスが崩れるためといわれています。

インスリンは膵臓から分泌され、血液中の糖を細胞に取り込み、血糖値を下げる働きがあります。

しかし、インスリンの分泌量が不足して細胞のインスリンへの反応が低下すると、細胞に取り込まれる糖の量が少なくなるのです。

その結果、血液中に糖が多く残り、高血糖が続く可能性があります。

グルカゴンはインスリンとは反対に、肝臓に蓄えられた糖を血液中に放出させて血糖値を上げます。

グルカゴンが過剰に分泌されると、必要以上に血糖値が上昇し、高血糖を引き起こす可能性があるのです。

高血糖が続くと、下記のような症状が見られる場合があります。

    • のどが乾く
    • 何回もトイレに行きたくなる
    • だるさを感じる


これらの症状が続く場合は、糖尿病の可能性もゼロではないため、医師に相談しましょう

低血糖は意識障害や昏睡状態を引き起こす場合がある

糖尿病の治療でインスリンを下げる薬をのむと、血糖値が必要以上に下がってしまい、低血糖を引き起こす場合があります。

低血糖とは、血液中のブドウ糖の濃度が急に落ちることです。


低血糖になった場合の症状を、下記にまとめます。

血糖値 症状
軽度 約70mg/dl以下 空腹感
冷や汗
手のふるえ
中等度 約50mg/dl以下 めまい
眠気
視界のぼやけ
重度 約30mg/dl以下 意識障害
けいれん


低血糖を放置すると、これらの症状が急に悪化するかもしれません。

意識を失ったり、倒れたりする場合もあるため、低血糖の症状が見られた際は早めに医師に相談しましょう

糖代謝の乱れによる高血糖や低血糖を防ぐためには、生活習慣の改善が大切です。

糖代謝の改善のためにバランスの取れた栄養を確保する

糖代謝の改善のためにバランスの取れた栄養を確保する

糖代謝を改善するために、食後の血糖値がゆっくり上がる低GI食品を選び、バランスの取れた栄養をとるのが大事です。

主な低GI食品は、以下のものがあります。

    • ブロッコリー
    • 大豆製品
    • りんご
    • キャベツ
    • 魚介類


低GI食品は、グリセミックインデックス値が55以下の食品をさします。

ブロッコリーや大豆製品は、代表的なGI値が低い食品です。

ほかにも、りんごやキャベツなどの食物繊維を多く含む食品をとると、糖の吸収がゆっくりになるといわれています。

結果的に、食後の血糖値が急に上がるのを防ぐ傾向にあります。

魚介類に含まれる良質なタンパク質オメガ3脂肪酸をとると、インスリンなどのホルモンが分泌されるといわれているため、健康なからだを保つのに役立つのです。

糖代謝の改善には、栄養バランスの取れた食事が大切であることを紹介しました。

食生活を見直して糖尿病や生活習慣病を防ぎ、元気な毎日を過ごしましょう。

糖代謝を改善するために有酸素運動や筋トレを取り入れる

糖代謝を改善するためには、ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングが効果的とされています。

有酸素運動をおこなうと、筋肉への血流量が増えて、ブドウ糖が細胞内に取り込まれるためと考えられているのです。

これにより、インスリンの働きが向上し、血糖値が低下する傾向にあります。

ややきついと感じるジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を、週に150分、3回以上おこなうと良いでしょう。


さらに、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせると、運動の効果をより高めるといわれています。

スクワットやかかと上げなどの筋力トレーニングは、筋肉量の増加を目指せるのでおすすめです。

筋肉量が増えると、ブドウ糖の消費量が増えて、血糖値の改善につながるといわれています。

日本糖尿病学会も、週に2〜3回の筋力トレーニングを実施するとよいと述べています。


食後の運動
は、血糖値が急に上がるのを防ぐ効果が期待できるため、食後15分程度から体操や散歩などの軽い運動を取り入れてみてください。

家の中で階段の上り下りをしたり、普段より丁寧に部屋を掃除したりして、体を動かすのも良いとされています。

上記の運動を続けておこなうと、糖代謝の改善や血糖値のコントロールが期待できます。

糖尿病や合併症がある人は、運動を控えたほうがよい場合もあるため、運動をはじめる前に主治医に相談してください。


参考:日本糖尿病学会 
糖尿病治療ガイド2018-2019

糖尿病情報センター 糖尿病の運動のはなし

糖代謝を悪化させる要因を避けるために生活習慣を見直す

糖代謝を悪化させる要因を避けるために生活習慣を見直す

糖質をとりすぎたり、不規則な食事をしたりしてストレスをためると、糖代謝の働きが悪くなる可能性があります。

糖代謝の悪化を防ぐためには、下記のような生活習慣の改善が大切です。

    • 糖質をとりすぎないようにし、低GI食品をとる
    • 十分な睡眠をとる
    • ストレスをためない


バランスの取れた食事
は、血糖値が急に上がるのを抑える効果が期待できます。

糖質をとりすぎると血糖値が急に上がり、糖代謝が乱れる可能性があるのです。

睡眠不足はホルモンバランスを崩し、インスリンの働きを低下させるといわれています。

これにより、血糖値が急に上がり、糖代謝が悪化する可能性があるのです。

ストレスも血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促進し、糖代謝に悪影響を及ぼすおそれがあります。

瞑想をしたり、ゆっくりお風呂に入ったりして自分なりのストレス発散を行なってください。

下記の方法を実践すると、糖代謝の改善や糖尿病の予防につながります。

過剰な糖質摂取を控えて低GI食品をとると良好な血糖値のコントロールが可能

糖質をとりすぎないようにし、低GI食品を意識してとると、良好な血糖値のコントロールが可能といわれています。

GIとは、食品が血糖値に与える影響を示す指標のことです。


低GI食品は、食後の血糖値の上がり方がゆっくりなため、糖尿病の人に向いています。

下記に、低GI食品の例を紹介します。

低GI食品
穀物類 玄米
全粒粉パン
オートミール
豆類 レンズ豆
ひよこ豆
黒豆
野菜類 ブロッコリー
カリフラワー
ほうれん草
果物 りんご
ベリー
柑橘類
乳製品 ヨーグルト
牛乳


低GI食品は、食物繊維が豊富で消化吸収がゆっくりと進み、血糖値が急に上がるのを防ぐ傾向にあります。

下記の食品は糖質が多いため、低GI食品に変えましょう。

    • 甘い飲み物
    • お菓子
    • 白米
    • パン


糖質が気になるけれどパンを食べたいときは、玄米や全粒粉のパンを選ぶのも一つの方法です。

食物繊維や栄養を豊富にとりながら、急に血糖値が上がるのを防ぎます。

十分な睡眠や有酸素運動は糖代謝悪化の予防につながる

十分な睡眠や有酸素運動は糖代謝悪化の予防につながる

ほどよい運動は、筋肉量を増やしたりインスリン分泌の乱れを防いだりして、血糖値の適切なコントロールにつながります。

有酸素運動や、筋力トレーニングを組み合わせると良いでしょう。

睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスを乱し、血糖値が急に上がってしまうかもしれません。

毎日同じ時間に寝て起きると、規則正しい生活になり、深い睡眠へと導きます。

さらに静かで部屋を暗くし、ちょうどよい温度と湿度を保つと、心地よい眠りを促すといわれています。

カフェインやアルコールは睡眠の質を低下させる可能性があるため、寝る前に飲むのは控えてください。

ストレスの管理をおこない糖代謝が乱れないようにを意識する

ストレスは糖代謝を低下させたり、血糖値を急に下げたりする可能性があります。

ストレスを感じると、体内ではアドレナリンやコルチゾールなどが多く分泌される傾向にあります。

アドレナリンやコルチゾールは、血糖値を上昇させるホルモンです。

糖代謝がうまく働かないでストレスが加わると、血糖値のコントロールが難しいとされています。

つまり、上手なストレスケアは糖代謝の乱れの予防につなげるうえで大切です。

下記に、具体的なストレス解消の方法を紹介します。

    • 適度な運動を取り入れる
    • リラクゼーション法を実践
    • 趣味や余暇活動を楽しむ


ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、効果的なストレス解消の一つです。

日常生活に無理なく組み込める運動を見つけて、続けてください。

深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法は、心身をゆったりとさせてストレスの低減を目指せます。

読書や音楽鑑賞、ガーデニングなどの趣味や興味のある活動をするのも良いでしょう。

ストレスの少ない生活は糖代謝の乱れの予防につながり、健康的な日常へ導きます。

糖代謝の改善にはストレッチや水分補給なども大切

糖代謝を改善するためには、ストレッチや適切な水分をとるのが大切です。

ストレッチは筋肉がやわらかくなり、血のめぐりがよくなるといわれています。

血のめぐりがよくなると、インスリンの働きが良くなる傾向にあり、良好な血糖値のコントロールにつながります。

運動前のストレッチは筋肉をやわらかくするだけでなく、けがの予防や運動パフォーマンスの向上が期待できる方法の一つです。


さらに、こまめに水分をとると、体内の代謝の働きを保つとされています。

十分な水分があると、血液をねばねばにさせず、血糖値の調整をスムーズにおこなえるともいわれています。

具体的には、1日1.5リットルから2リットル以上の水分をとるのが理想です。


ジュースなどの甘い飲み物は血糖値を急に上げる糖分が多いため、なるべく避けましょう。

日常的にストレッチをおこない、適切な水分補給を心がけると、糖代謝の改善が期待できます。

糖代謝の改善や生活習慣の見直しは充実した日々を送るために役立つ

糖代謝の改善や生活習慣の見直しは充実した日々を送るために役立つ

糖代謝を改善して元気なからだを保つためには、栄養バランスのとれた食生活と、ほどよい運動が大切です。

糖代謝が乱れると、視界がぼやけたり、腎機能が落ちたりするリスクにつながるかもしれません。

バランスのよい食事や運動、十分な睡眠がとれると、糖代謝の働きをサポートできます。

こまめに水をのんだり、軽いストレッチを行うのも効果的です。

糖代謝の働きがよいと血糖値の乱れを防げるだけでなく、だるさの予防や快適な生活につながります。


本記事を参考に、日常に簡単に取り入れられる方法で糖代謝を改善し、より充実した日々を送りましょう。