シナモンには血糖値や脂質代謝をはじめ、抗酸化作用や抗菌作用などによってさまざまな効能が期待できるとされています。
血糖値や脂質代謝への効能は、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病予防にも役立ちます。
さらに、継続的な適量の摂取によりダイエットにも効果的です。
そして、シナモンの効能の1つである血行改善効果は、冷え性や血行不良による体の不調などの改善に効果が期待できます。
これらの効能は食生活や運動習慣などの日常生活の改善により、さらに高まりが期待できます。
この記事を読んで分かること
- シナモンは血糖コントロールに役立つ
- シナモンは脂質代謝を助け、動脈硬化の予防に効果的である
- 強い抗酸化作用が老化予防に効果が期待できる
- 慢性的な炎症に効果的となる可能性がある
- シナモンの血行促進作用が冷えや血行不良の不調に効果的である
- シナモンの抗菌や抗ウイルス作用が免疫機能をサポートする
- シナモンの適度な摂取はダイエットのサポートにも役立つ
これらのシナモンの効能はどのようなメカニズムによって作用し、どのように効果を発揮していくのでしょうか。
本記事では、シナモンの6つの効能や日常生活の中での取り入れ方法などを詳しく解説していきます。
目次
シナモンは血糖値を安定させて糖尿病のリスクを軽減できる
シナモンには血糖コントロールに欠かせないインスリンの働きを正常化させ、血糖値を安定させる効果が期待できます。
これらは、シナモンに含まれるシンナムアルデヒドやプロアントシアニジンなどの成分が作用しているためであると考えられています。
血糖値の安定には急激な血糖値の上昇を防ぎ、インスリン抵抗性の改善が大切です。
では、シナモンが与える血糖値やインスリンへの影響を次の項目で詳しく解説していきます。
インスリン抵抗性を改善しインスリンの働きを正常化させる効果が期待できる
シナモンには、インスリンがうまく機能していない状態であるインスリン抵抗性を改善し、インスリンの働きを正常化させる作用が期待できます。
インスリン抵抗性とは、インスリンの分泌量は十分であるがインスリンの作用が分泌量に対して十分に作用しない状態のことです。
その結果、血糖値の上昇やインスリンの過剰分泌などが引き起こされる可能性があります。
シナモンに含まれるプロアントシアニジンという成分は、インスリンの分泌を促すとともに作用を高める効果があるため、インスリン抵抗性の改善に役立ちます。
さらに、インスリンの感受性を高める作用もあるため、急激な血糖値の上昇の抑制にも効果的です。
シナモンは脂質代謝異常の改善をサポートし動脈硬化の予防が期待できる
シナモンはコレステロールを作り出す酵素の働きを抑制する作用があるとされ、脂質を減らす効果が期待できます。
パキスタンにある北西辺境州農業大学栄養部門の研究では、糖尿病患者がシナモンの摂取により血糖値や中性脂肪、コレステロールの低下が見られたという研究結果もあります。
シナモンが脂質の減少をサポートする原理としては、血行促進作用によって体温が上昇して代謝を促され、消費カロリーを増大させるためです。
では、シナモンがどのように脂質代謝異常の改善や動脈硬化に寄与するのか次の項目で詳しく解説します。
中性脂肪やLDLコレステロールの減少を手助けする働きが期待できる
シナモンのインスリンの働きを助ける作用が、中性脂肪やLDLコレステロール減少の手助けにつながります。
さらに、シナモンに含まれているポリフェノールが脂肪の分解を促す作用も、中性脂肪を減少に導くカギとなっています。
そして、シナモンにはHDLコレステロール、つまり善玉コレステロールの働きを向上や維持する作用もあるとされているのです。
動脈硬化を予防して心血管疾患のリスクを軽減させる
中性脂肪やLDLコレステロールの減少によって、動脈硬化の予防が期待できます。
中性脂肪の増加はLDLコレステロールの増加につながります。
LDLコレステロールは血管壁に入り込み、動脈硬化を引き起こす原因です。
動脈硬化は血管の弾力が低下し血流の悪化を招き、心臓や脳の繊細な血管に影響を与える原因にもなります。
そして、LDLコレステロールの影響によって血管内にプラークと呼ばれる脂肪の塊が蓄積していくと血管が詰まる原因となり、心筋梗塞や脳梗塞などといった危険な病気を引き起こす可能性があります。
シナモンには強い抗酸化作用があり老化の予防に効果的である
シナモンに含まれている抗酸化作用であるポリフェノールの中の1つであるプロアントシアニジンは、強い抗酸化作用を持っており、老化の予防に効果的です。
プロアントシアニジンはブドウの種子や赤ワインなどにも含まれており、アンチエイジング効果が高いとして注目されている成分でもあります。
その効果には、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑制する作用や老化の原因である活性酸素の酸化を防ぐ作用、更年期障害の症状の緩和などがあります。
さらに、LDLコレステロールの酸化を防ぎ動脈硬化の予防や疲労回復などといった効果も期待できるとされており、健康維持として体の内側から老化を予防できるのです。
シナモンの抗炎症作用が慢性的な炎症を抑える働きがある
シナモンに含まれるシンナムアルデヒドは、慢性的な炎症の原因となる毛細血管や細胞同士の修復に作用し、炎症を抑える働きがあります。
この修復機能に重要な役割を果たしているのが、シンナムアルデヒドのTie2(タイツー)と呼ばれる受容体を活性化させる作用です。
毛細血管と細胞同士の修復がされると、血液や栄養が漏れなくなり隅々まで十分に行き渡り、これが抗炎症につながります。
毛細血管などの炎症を抑えると、結果的に動脈硬化や糖尿病などの進行を遅らせる効果につながるとされています。
血行を促進し冷えや血行不良による症状を和らげる効果が期待できる
シナモンには血行促進作用があり、冷え性や血行不良からなる体の不調に効果が期待できます。
血行促進に関与するのは、シンナムアルデヒドにある毛細血管などの修復に重要な役割を果たしているTie2を活性化させる作用です。
これにより抗炎症作用が期待できるだけでなく、修復された毛細血管によって滞りなく血液が循環できるため、血行の促進につながります。
血行の促進がどのように体に作用するのか、次の項目で詳しく解説していきます。
末梢血管の拡張が冷えや血行不良による症状の改善につながる
手先や足先などの冷えの原因は、末梢や毛細血管の血行不良です。
肩こりや肌のくすみ、ダイエットの効果が実感できないなどの悩みも、実は血行不良の可能性があります。
血行不良となる原因はさまざまですが、運動や食事などの生活習慣の乱れや体の冷え、動脈硬化などが考えられます。
血行不良となると血流も悪くなるため、体温も上がらず代謝を低下させる原因です。
さらに狭心症のリスクなどもあり、特に糖尿病の人は潰瘍や壊死(えし)が引き起こされる可能性があります。
血流が促進されると基礎代謝や体温の上昇につながる
血流が促進されると、その分体はエネルギーを消費するため体温が上昇します。
体温が1度上昇するだけでも基礎代謝は約13%上昇するとも言われています。
さらに体温や基礎代謝の上昇はダイエットにも良い影響をもたらし、ダイエットがうまくいかないと悩んでいる人にも成功のカギとなるでしょう。
シナモンの抗菌や抗ウイルス作用が免疫機能のサポートとなる
シナモンに含まれるポリフェノールの一種である「フラボノイド」という成分は、抗酸化作用も持っていますが、自己防衛機能とする強い抗菌作用があります。
この抗菌作用が免疫力を高め、がん細胞の増殖を抑えるなどの効果が期待できます。
そしてシナモンが免疫機能の強いサポートとなる理由にはもう1つあり、それが抗ウイルス作用です。
アメリカのある研究では、シナモンの摂取により約99%のウイルスを非活性化させたという研究結果があります。
その結果から、シナモンの摂取で風邪やインフルエンザ、ヘルペスなどのウイルス性の感染症を予防できるのではないかとも考えられています。
シナモンは、古来から殺菌や防腐作用で多く利用されてきた歴史ある成分と言えます。
適度なシナモンの摂取はダイエットに効果的である
シナモンには血行促進作用だけでなく、カリウムも豊富に含まれているため老廃物の排出のサポートにもなりダイエットに効果的です。
しかし、シナモン入りのドーナツやクッキーなどのお菓子類は過剰な糖質や脂質の摂取につながり、健康被害を引き起こす可能性があります。
一方でシナモンに含まれるクマリンという成分は肝臓に有害であり、サプリメントなどでシナモンを摂取している人やクマリンの感受性がある人は、1日の摂取量を考慮する必要があります。
食後の血糖値上昇を抑えて脂肪を蓄積させない体質のサポートができる
食後の急激な血糖値の上昇は、脂肪を蓄積させてしまう原因です。
シナモンの作用によって血糖値の上昇を緩やかにすると、脂肪の蓄積を防ぎ太らないようなサポートになるでしょう。
脂肪燃焼をサポートする働きでダイエット効果に期待ができる
シナモンに豊富に含まれるポリフェノールは内臓脂肪の減少に寄与します。
そして、血行促進作用により体温が上昇すると消費エネルギーが増えるため、脂肪燃焼に効果的です。
さらに血行が促進されると、内臓や筋肉などの活動が盛んになるため、より代謝や脂肪燃焼効率の向上が期待できます。
シナモンの6つの効能は疾病予防だけでなくダイエットにも効果的である
シナモンはその多くの効能から、古来利用されてきたスパイスです。
疾病予防だけでなく、利用方法によっては体の不調の改善やダイエットにも効果が期待できます。
さまざまな効能があるシナモンですが、疾病予防やダイエットのために取り入れたいと考えている人の中でも、シナモンが苦手な人や取り入れ方が分からないという人もいるのではないでしょうか。
簡単な取り入れ方として、コーヒーや紅茶、トーストなどに砂糖の代用として加える方法です。
自然な甘味として引き立てられ、砂糖の量も減らせるため血糖コントロールにも役立ちます。
シナモンの独特な香りが苦手という人は、カレーや焼き菓子などにスパイスとして加えるとスパイシーさが加わるとともに、シナモンの独特な香りも調和できます。
シナモンをうまく活用すると、多くの疾病予防や健康維持、アンチエイジングにも効果が期待できます。