カカオ70以上のチョコレートについてと上手な選び方を解説

チョコレートは普段口にする機会が多い食品であるものの、カカオが70%以上の高カカオチョコレートは苦味が強く、実際に購入する人は多くはありません。

チョコレートは、一般的に高カロリーや血糖値の急上昇を招く食品として認識されています。

しかし、高カカオチョコレートは含まれるポリフェノールや食物繊維などの成分から、健康へ良い影響を与えると報告されている食品でもあるのです。

本記事では、高カカオチョコレートが健康へ与える影響について、医学的な視点から解説します。

この記事でわかること

  • カカオに含まれるポリフェノールが健康に良い影響を与える
  • ポリフェノールは抗酸化作用があり、生活習慣病の予防に役立つ可能性がある
  • 高カカオチョコレートは血糖値の上昇を緩やかにする
  • 高カカオチョコレートは食物繊維が豊富で、腸内環境を整える
  • 血行促進や美肌への影響もあり、美容面でもメリットが得られる
  • 砂糖や余分な添加物が少ないチョコレートを選ぶのがポイント
  • 食べすぎはカロリー過多を招く可能性がある
  • 溶かして飲み物に加えるなどして楽しみながら無理なく、継続できるかが重要


チョコレートが好きな人や健康を気にかけている人に限らず、美容に興味がある人にとっても有益な情報が含まれているため、確認しておきましょう。

カカオ70%以上のチョコレートが身体に良いと言われる理由はポリフェノールにある

カカオ70%以上のチョコレートが身体に良いと言われる理由はポリフェノールにある

カカオ70%以上のチョコレートが身体に良いと言われる理由は、カカオ含有量の多さによるポリフェノールなどの機能性成分が豊富に含まれるためです。

高カカオチョコレートはカカオの含有量が70%以上のチョコレートを指し、市販のミルクチョコレートに比べて含まれる砂糖の量が少なく、カカオの栄養成分が多い特徴があります。

特に健康へ良い影響を与える成分として注目されているのは、カカオポリフェノールです。

カカオポリフェノールは、カカオ豆に含まれている天然の成分で、身体の中で次のような働きをしてくれます。

    • 身体の酸化を防いでくれる
    • 血圧を下げる
    • 集中力や記憶力を上げる
    • 血糖値が急上昇しない


具体的には次の内容から、医学的にやさしく解説していきます。

参考:Cocoa and chocolate in human health and disease
Effects of chocolate on cognitive function in healthy adults: A systematic review and meta-analysis on clinical trials
Cocoa reduces blood pressure and insulin resistance and improves endothelium-dependent vasodilation in hypertensives
高カカオチョコレート摂取による健康効果

カカオポリフェノールが持つ抗酸化作用の仕組みを理解して生活習慣病を予防する

カカオポリフェノールが持つ抗酸化作用の仕組みを理解して生活習慣病を予防する

カカオポリフェノールは抗酸化作用活性酵素の働きを通じて、生活習慣病を予防できる可能性があります。

カカオポリフェノールの働きを説明する前に、ポリフェノールとはどのような成分なのか簡単に説明しておきます。

ポリフェノールとは、植物が自分の身を守るために作り出す成分のことです。

この成分の中でもカカオフラバノールと呼ばれる種類が、特に高い抗酸化力を持つと注目されています。

身体の中で具体的にどのように働いているのか、以下表にまとめました。

働き 内容
活性酸素と結びつく
  1. 私たちの身体は呼吸など日常的な代謝で活性酸素という物質を自然に作り出しており、活性酸素は少量であれば細菌を退治するなどの良い働きがある
  2. 活性酸素が増えすぎると血管を傷めたり、身体の老化を早めたりする
  3. これに対してカカオポリフェノールは、活性酸素と結びつき、害のない形へ変えてくれる
  4. 結果として、細胞や血管が傷つくのを防ぐ
抗酸化酵素の働きを助ける
  1. 身体の中には酸化を防ぐ酵素が存在する
  2. カカオポリフェノールは、この抗酸化酵素を活性化させ、身体全体の防御力を高める


活性酸素が増えすぎると、少しずつ身体へのダメージが溜まっていき、次のような病気につながる可能性があります。

    • 高血圧
    • 動脈硬化
    • 糖尿病
    • 心筋梗塞、脳卒中
    • 認知症


カカオポリフェノールは活性酸素を抑えて、このような病気になるリスクを減らしてくれます

参考:Modulation of Nrf2/ARE pathway by food polyphenols: a nutritional neuroprotective strategy for cognitive and neurodegenerative disorders
カカオポリフェノールのメタボリックシンドローム予防効果

高カカオチョコレートが血糖値や腸内環境改善にもたらす良い影響を知る

高カカオチョコレートが血糖値や腸内環境改善にもたらす良い影響を知る

高カカオチョコレートは抗酸化作用だけでなく、血糖値や腸内環境の側面からも生活習慣病を予防してくれる可能性があります。

チョコレートといえば、血糖値を上昇させる食品という印象を持っている人も多いでしょう。

しかし高カカオチョコレートは砂糖が少なめで、カカオ成分が多いため、実は食後血糖値の急上昇を防げる食品です。

更に高カカオチョコレートは、カカオマスという食物繊維が豊富に含まれています。

食物繊維は腸の動きを良くして便通を助けたり、腸内細菌のバランスを整えたりする作用がある成分です。

これらの働きが結果として、糖尿病や肥満を予防して、お腹の調子を改善してくれます。

参考:Preventive Role of Diet Interventions and Dietary Factors in Type 2 Diabetes Mellitus: An Umbrella Review
Flavanol monomer-induced changes to the human faecal microflora

美肌とダイエットに高カカオチョコレートが役立つ理由を知り美容に役立てる

高カカオチョコレートは、美容ダイエットにおいても注目されており、その理由は以下のような医学的な根拠に基づいています。

理由 内容
血行促進と美肌への効果がある
  • カカオポリフェノールは身体の血流を良くして肌に栄養を届け、ハリツヤを保つ
  • 抗酸化作用によって、紫外線やストレスなどによるダメージから肌を守る
少量で満足できて、間食を抑える
  • カカオ成分が多いチョコレートは、苦みやコクが強く、食べすぎを防ぐ
  • カカオに含まれる食物繊維やマグネシウムなどが満足感を与え、精神的安定にもつながる


高カカオチョコレートがダイエット中の間食に選ばれる背景には、このような理由があるのです。

参考:Flavanol-rich cocoa induces nitric-oxide-dependent vasodilation in healthy humans
Cocoa Flavanol Supplementation Influences Skin Conditions of Photo-Aged Women: A 24-Week Double-Blind, Randomized, Controlled Trial
β-Glucan and dark chocolate: a randomized crossover study on short-term satiety and energy intake

高カカオチョコレートを上手に選ぶためには原材料表示の確認が欠かせない

高カカオチョコレートを上手に選ぶためには原材料表示の確認が欠かせない

高カカオチョコレートを健康目的で取り入れる際には、カカオ70%という表示だけに注目せず、原材料表示の確認が重要です。

誰でもできる選び方のポイントを、以下でやさしくまとめたので、確認しておきましょう。

選び方のコツ 解説
カカオ70%以上 ミルクチョコレートよりも砂糖の量が少ない
砂糖が2番目以降にあるか 食品表示法では成分を多い順に記載する決まりがあるため、2番目以降に記載があると、砂糖の含有量が少ない可能性が高い
香料、乳化剤が少ないか 健康目的にそぐわない可能性がある
有機、オーガニック表示も参考にする 添加物が抑えられている傾向にある


たとえカカオ70%のチョコレートでも、残りの30%が糖類や添加物である場合は、純度の高いチョコレートと比べて健康効果が下がる可能性があります。

健康目的で高カカオチョコレートを購入する際は、カカオのパーセンテージだけでなく、他の含有成分にも着目した方が良いです。

参考:Cocoa and chocolate flavonoids: implications for cardiovascular health

摂取量や食べるタイミングが健康効果を左右する理由を知り適切な方法で取り入れる

高カカオチョコレートの効果を最大限に発揮するためには、いつ、どれだけ食べるかが重要です。

どんな食材でも同じように、過剰摂取はカロリーや脂質の摂りすぎにつながり、血圧や血管へ悪影響を与えます。

チョコレートを摂取するタイミングについても、食事の前に摂取した方が食後血糖値の急上昇を抑え、より満腹感が得られるという報告もあります。

これはチョコレートに含まれる食物繊維が、胃の中に入った食べ物の移動を遅らせ、糖の吸収速度を低下させるためです。


高カカオチョコレートを取り入れる際は、こうした摂取方法摂取量にも気を配りましょう。

参考:Eating Vegetables First Regardless of Eating Speed Has a Significant Reducing Effect on Postprandial Blood Glucose and Insulin in Young Healthy Women: Randomized Controlled Cross-Over Study

高カカオチョコレートをもっと美味しく楽しめる方法で摂取する

高カカオチョコレートをもっと美味しく楽しめる方法で摂取する

最後に、高カカオチョコレートを継続的に取り入れるうえで、より美味しく楽しめる方法を紹介します。

高カカオチョコレートは砂糖の含有量が少ない分、通常のミルクチョコレートと比べて苦味が強く、そのままで食べるには難易度が高めの食品です。

しかし以下のような工夫で、誰でも美味しく摂取できるだけでなく、チョコレートのほろ苦さ香ばしさも楽しめます。

比較的手間のかからない方法も多いため、内容を確認して自分好みの摂取方法を見つけると良いでしょう。

方法 具体例 特徴
ドリンクとのペアリングで味わいを深める コーヒーや赤ワイン、紅茶やハーブティーと組み合わせる カカオの香りや深みが際立つ
ヨーグルトにトッピングする プレーンヨーグルトに刻んだ高カカオチョコレートと、ナッツやはちみつを少量加える 甘さ控えめながら満足感が得られる
チョコレートドリンクにする 無糖の牛乳や豆乳200mlを温め、チョコ5~10gを溶かす ほんのり苦味のある大人なココアが楽しめる
フルーツにディップする 溶かした高カカオチョコレートに、いちごやバナナ、キウイなどをくぐらせる フルーツの自然な甘さとチョコの苦味が相性良く楽しめる
飽きずに続けるためには、色々なブランドや原産地のチョコを試してみたり、季節によってペアリングやディップするフルーツを変えてみたりするのもお勧めです。

継続して高カカオチョコレートを選んで健康維持を目指しましょう

高カカオチョコレートは、ポリフェノールや食物繊維などの栄養成分を豊富に含んでいる食品です。

そのため便通を改善したり、美容面でも効果が得られたりなど、健康改善に対するさまざまな利点が期待できます。

しかし摂りすぎには気を付ける必要があり、1日25g程度などの適量を守りながら、日々の食生活に無理なく取り入れるのが重要です。

カカオの苦味が苦手な人や食べ続けると飽きてしまう人は、自分にあった方法を見つけて、様々な取り入れ方を試してみるのをお勧めします。


日々のちょっとした習慣の積み重ねが、将来の健康づくりや美容の土台となり、継続できなければその効果は期待できません。

高カカオチョコレートを上手に取り入れてストレスなく、楽しみながら健康的な生活を継続できるよう工夫していきましょう。