血糖値スパイクの原因と対策を解説!食後の眠気やだるさをなくす方法

食事を終えた後、急に強い眠気やなんともいえない疲労感を感じた経験はないでしょうか。

これは、あなたの身体の中で血糖値の嵐が巻き起こっているサインである可能性が高いです。

この嵐の鍵を握る犯人は、ご飯やパンといった炭水化物の摂り方や食べる順番など、日頃の食生活に潜んでいます。

本記事では、血糖値の嵐が身体へ及ぼす影響と、今日から始められる具体的な対処法を紹介します

この記事でわかること

  • 血糖値の嵐とは、血糖値スパイクのことを指す
  • 血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急上昇し、その後短時間で急降下する現象のこと
  • 血糖値スパイクは、脳のエネルギー不足による眠気やだるさといった症状を招く
  • 炭水化物を過剰摂取したり、ご飯やパンを先に食べたりすると、血糖値スパイクを引き起こす原因となる
  • 夜間の糖質摂取や、液状もしくは柔らかい糖質食品の摂取なども、血糖値スパイクの原因となる
  • 血糖値スパイクを予防するためには食事や運動習慣の改善、睡眠の質確保やストレス発散について適切な方法を身に付ける必要がある
  • 血糖値スパイクは血管を傷付けて、糖尿病合併症や心筋梗塞、脳梗塞など生命に直結する病気を招く可能性がある
  • 血糖値や検査値異常、症状がある時に限らず、生活習慣を改善しても血糖コントロールができない場合は専門家への相談が必要
  • 家族に糖尿病患者がいたり、親族に心臓疾患にかかった経験がある人がいたりする場合も、医師へ相談するのが早期発見の鍵
  • 血糖値スパイクの原因を正しく理解できると、健康的な生活を続けられるようになる


糖尿病の人に限らず、健康診断で血糖値の異常を指摘された人や今後の健康に不安がある人は、本記事を読んで血糖管理に役立てて下さい。

食後の眠気やだるさが血糖値スパイクのサインである理由を解説する

食後の眠気やだるさが血糖値スパイクのサインである理由を解説する

食後に突然襲ってくる強い眠気だるさは多くの人が経験する身近な症状であり、これは食後血糖値の急上昇と急下降が関係しています。

食後に血糖値が急激に上昇し、その後短時間で急降下する現象は血糖値スパイクと呼ばれ、体内の血糖値が嵐のように変動する状態を指します。

特に血糖値を下げるホルモンの働きが弱まっている人に多く、以下の流れで眠気やだるさといった症状を引き起こすのです。

    1. 食事の際に糖分を多く摂取すると、血糖値が急上昇する
    2. 膵臓が血糖値を下げるホルモンであるインスリンを大量に分泌し、血糖を下げる
    3. その反応が強すぎると血糖値が急降下し、脳の糖質が足りなくなる
    4. 脳がエネルギー不足に陥り、強い眠気だるさ集中力の低下などの症状が現れる


血糖値スパイクを繰り返すと膵臓に負担がかかり、インスリンの分泌が低下して2型糖尿病の発症リスクが高まります。

そのため以下で紹介する内容を理解して、食生活を改善する工夫が必要です。

参考:糖尿病診療ガイドライン2024|一般社団法人日本糖尿病学会

The influence of the glycaemic load of breakfast on the behaviour of children in school – ScienceDirect

HYPOGLYCEMIA – ScienceDirect

血糖値スパイクの主な原因は炭水化物の過剰摂取や食べる順番にある

血糖値スパイクの主な原因は炭水化物の過剰摂取や食べる順番にある

血糖値スパイクが起こる原因は食生活との関連が深く、食事の内容時間帯食べる順番食べ物の種類などが関係しています。

それぞれがどのように血糖値へ影響を与えるのか、その仕組みを以下にまとめました。

血糖値スパイクの原因 仕組み
炭水化物の過剰摂取
  1. 白米やパン、麺類やお菓子などを一度に多く食べると、糖質が急速に消化吸収される
  2. 血液中のブドウ糖が一気に増え、血糖値が急上昇する
  3. 身体はインスリンを大量に分泌して、血糖値が急降下する
ごはんやパンなどの糖質を最初に食べる
  1. ごはんやパンなどの糖質を先に食べると、野菜やタンパク質と比べて糖が早く吸収される
  2. 血糖値が急上昇する
夜遅くに糖質を多く摂る
  1. 夜は体内のインスリンの働きや代謝のスピードが昼よりゆっくりなため、糖を処理する力が弱まっている
  2. 夜にごはんや甘い物をたくさん食べると、血糖値が昼よりも急に上がる
柔らかい、液状の糖質食品を摂る
  1. 液体や柔らかい食品は咀嚼が少なく、消化吸収が早いため血糖値が急上昇する


果物やジュースなどのヘルシーに見える食品も、糖質が多いと血糖値スパイクを引き起こす原因になり得ると理解しておくのが、予防の観点からも重要です。

参考:Consuming Carbohydrates after Meat or Vegetables Lowers Postprandial Excursions of Glucose and Insulin in Nondiabetic Subjects
Endogenous circadian system and circadian misalignment impact glucose tolerance via separate mechanisms in humans – PMC
Effect of solid meal on gastric emptying of, and glycemic and cardiovascular responses to, liquid glucose in older subjects | American Journal of Physiology-Gastrointestinal and Liver Physiology | American Physiological Society

血糖値の嵐を穏やかな波に変える食事法の工夫や対処方法を紹介

血糖値の嵐を穏やかな波に変える食事法の工夫や対処方法を紹介

食生活の改善以外にも、血糖値スパイクを予防する方法は存在します。

以下では、血糖値の急上昇を防ぐための食事法や、食事以外で気をつけるポイントをまとめました。

血糖値スパイクの予防法 具体策
食生活の改善
  • 白米やパン、麺類など糖質の多い食品は適量に抑える
  • 玄米全粒粉パンオートミールなどの食物繊維が多い食品を選ぶ
  • 野菜タンパク質を先に食べ、糖質は最後に摂る
  • ジュースや甘い飲料は避け、お茶無糖の炭酸水を選ぶ
  • よく噛んで、時間をかけて食べる
  • 夜遅くの糖質摂取は控える
運動を取り入れる 食後に15~20分程度のウォーキングや、階段昇降をする
睡眠の質を保つ
  • 就寝前のスマホやテレビを控える
  • 早寝早起きを心がけ、7~8時間の睡眠を確保
ストレス発散する
  • 深呼吸軽いストレッチでリラックスする
  • 趣味運動でストレス発散する


これらの工夫を組み合わせると、血糖値スパイクを抑え、
眠気やだるさの軽減につながります。

本当に効果が得られているか不安に思う場合は、日記やカレンダーでその日実践した行動を記録しておくのも1つの手です。

参考:ゆっくりよく噛んで食べていますか?:農林水産省
睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

Managing Diabetes – NIDDK

Stress Management Improves Long-Term Glycemic Control in Type 2 Diabetes | Diabetes Care | American Diabetes Association

血糖値スパイクが健康を脅かす理由は血管にダメージを与えるため

血糖値スパイクが健康を脅かす理由は血管にダメージを与えるため

血糖値スパイクが身体に悪影響を与える理由は、血管を傷付けて他の病気も招く可能性があるためです。

その影響は以下の流れで長期的な健康被害にまで及び、糖尿病合併症心筋梗塞脳卒中など生命に直結する疾患まで引き起こす場合があります。

    1. 食後に血糖値が急に上がると、血管の内側が傷付く
    2. 活性酸素というサビのようなものが増え、血管の壁を劣化させる
    3. 血管が硬くなったり、血の流れが悪くなったりする
    4. 血管が詰まる可能性や、糖尿病合併症を引き起こす可能性が上がる
    5. 血管が詰まると、心筋梗塞や脳梗塞を発症する


このように日常的な血糖コントロールが健康維持に直結するため、日頃の行動が重要になるのです。

毎日のちょっとした工夫が血管を守り、将来の病気を防ぐと理解しておきましょう。

参考:糖尿病 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
Mitochondria and Reactive Oxygen Species. Which Role in Physiology and Pathology? | SpringerLink

手遅れにならないために血糖値スパイクを放置せず向き合う必要がある

血糖値スパイクは自覚症状が乏しいため、放置すると長期的な健康被害を発症するリスクが高く、早めに向き合う必要があります。

先述した通り、食生活の工夫や運動習慣など、生活習慣の改善が欠かせません。

その上で自己測定や健康診断などで、血糖値の変化を把握しておくのが重要です。

状況によっては、医師や専門家へ相談するタイミングに悩む場合もあるでしょう。

そのような人向けに、専門家へ相談するタイミングを以下にまとめました。

    • 食後に強い眠気やだるさ、動悸を感じる場合
    • 健康診断で、血糖値や検査値の異常を指摘された場合
    • 家族に糖尿病や心臓疾患の既往がある場合
    • 食事や運動に気をつけても改善が見られない場合


こうしたタイミングで、放置せず早めに医師管理栄養士へ相談すると、血糖値の改善につながります。

参考:糖尿病対策 |厚生労働省
糖尿病は早く見つけましょう | 糖尿病情報センター
Genetics of diabetes and diabetes complications – PMC

Standards of Care in Diabetes—2023 Abridged for Primary Care Providers – PMC

血糖値スパイクの原因を正しく理解すると健康的な生活を継続できる

血糖値スパイクの原因を正しく理解すると健康的な生活を継続できる

血糖値スパイクの原因を知っておくと、私生活で改善すべき箇所を見直せて、結果的に健康的な生活を続けられるようになります。

食事の工夫や食後の軽い運動、規則正しい睡眠など、科学的に効果が確かめられた方法を取り入れるのが重要です。

糖尿病の人や血糖管理に苦労している人に限らず、血糖値の急上昇を防ぐと身体が疲れなくなったり、気分も安定したりする利点が得られます。


正しい知識は無理なく続けられる工夫につながり、将来の糖尿病心筋梗塞などの合併症リスクを減らすのです。

血糖値の嵐の原因を知り、小さな工夫を積み重ねて、健康的な毎日を送りましょう。

穏やかな血糖値の波を保つ行動は、あなたの未来の保全につながります。