1. じゃがいもの栄養価
じゃがいもは、主食として食べられている国もあるほど「エネルギー」「炭水化物」の多い食材です。栄養成分はそれぞれ以下の通りです。
1-1. じゃがいもの栄養成分表
じゃがいもは100gあたり76kcalです。同量のお米と比べると168kcalなので、エネルギーは半分弱です。エネルギーとなる成分は炭水化物がほとんどで、100gあたりたんぱく質1.6g、脂質は0.1gとほぼ含まれません。
1-1-1. じゃがいもの糖質
じゃがいもの炭水化物のうち糖質は16.3gです。同量のお米は糖質36.8g、パン(食パン)は糖質44.4gと、他の主食と比べると糖質は少なめと言えます。
1-1-2. ビタミンC
じゃがいもにはビタミンCが100gあたり35mg含まれます。これはビタミンCが豊富で有名なみかん(うんしゅうみかん)と同じ量です。ビタミンCは美肌効果や風邪の予防に役立つ栄養素です。
1-1-3. ビタミンB6
じゃがいもにはビタミンB6が100gあたり0.18mg含まれます。ビタミンB6は補酵素としてアミノ酸の代謝を補助する働きがあります。
1-1-4. カリウム
じゃがいもにはカリウムが100gあたり410mg含まれます。カリウムを摂ることはむくみ対策になります。
1-1-5. 食物繊維
じゃがいもの食物繊維は100gあたり1.3gと、米(食物繊維0.3g)と比べて1g多いです。食物繊維は消化促進や便秘予防に役立ちます。
1-2. 種類による栄養素の違い
じゃがいもの種類によって栄養素は大きな差はありません。しかしデンプンの量が違うため、食感の違いが出るようです。男爵いもはデンプンが多く、加熱後はホクホクした食感です。一方メークインはデンプン量が少なめで粘り気があり、煮ても型崩れしにくい特徴があります。
1-2-1. デンプンの量で食感が変わるのはなぜ?
デンプンは炭水化物の中で「糖質」に分類されます。その中でもじゃがいものデンプンは甘味の強くない糖質で、片栗粉として料理にとろみをつけるのにも利用されます。デンプンの含有量によって食感が変わるのは、加熱によってデンプンの体積が大きくなり、細胞同士の引っ付き合う力が低下するためです。加熱後は男爵いものような種類がやわらかくなるのは、デンプン含量が高いのが理由です。
1-2-2. さつまいもとの比較
いもの仲間で他によく食べられるのは、さつまいもですよね。特にダイエット中のおやつに人気の食材だと思います。じゃがいもと比べると、さつまいもは100gあたり134kcal糖質29.7gとエネルギーと糖質の両方とも高めです。糖質制限をしていてじゃがいもとさつまいもで迷ったら、じゃがいもを選ぶ方が良いでしょう。
2. じゃがいもの健康効果
じゃがいもの主な栄養素について説明しました。続いて、その栄養素にどんな健康効果があるのかご紹介します。
2-1. 病気の予防になるもの
じゃがいもの栄養成分のなかで、病気の予防に繋がるものは次の2つです。
2-1-1. 血圧を下げる
じゃがいもに多く含まれているカリウムは、むくみ対策の他に血圧を下げる働きがあります。いも類はカリウムが多く、ゆでるなど加熱をしてもカリウムが流れ出しにくい特徴があります。
2-1-2. 血糖値の上昇を防ぐ
じゃがいもにはクロロゲン酸という成分が含まれます。クロロゲン酸はポリフェノールの一種で抗酸化作用があり、老化や癌の予防、糖尿病の予防効果が期待できます。皮に多く含まれるため、皮ごと調理をして食べるのがおすすめです。
2-2. ダイエット中にじゃがいもを食べていい?
じゃがいもの脂質は100gあたり0.1gと他の食品と比べてもとても低く、脂質を避けたい人にはぴったりの食材です。油を使わない調理方法であれば、じゃがいもはダイエット向きの食材です。
2-2-1. ダイエット中の糖質について
じゃがいもの糖質は100gあたり16.3gです。野菜の中では糖質多めですが、先ほど述べたように他の主食と比べると糖質は少なめ。じゃがいもを食べるときは、お米やパンなどの量を控えめにするなど意識すれば、糖質を摂りすぎる心配はないでしょう。
2-2-2. 食物繊維の役割
じゃがいもは100gあたり1.3gの食物繊維を含みます。食物繊維はおなかの中で水分を吸収して、かさが増えるため満腹感が得られます。同量のお米は食物繊維0.3gなので、じゃがいもはダイエット中に摂りたい食物繊維をお米よりも多く含んでいます。
3. じゃがいものおすすめレシピ
じゃがいもはカリウム・ビタミンCの多い食材ですが、これらは水に溶けやすい性質のある栄養素です。ゆでる・煮るなどの調理では、煮汁に流れ出てしまいます。じゃがいもは煮汁ごと食べられるスープやカレーなどがおすすめです。
3-1. レンジで作れる蒸しじゃがいも
じゃがいもは、鍋がなくても加熱できます。油を使わないのでヘルシーなじゃがいも料理です。煮汁を捨てずじゃがいもの栄養を丸ごと摂ることができます。
【材料】
塩、こしょう、パセリ(ドライ)…各少々
【作り方】
1. じゃがいもは一口大に切り、耐熱容器に入れる。ふんわりとラップをかけ、電子レンジで約3分30秒加熱する。
2. 塩、こしょう、パセリ(ドライ)各少々を加え、あえる。
3-2. 豆腐とじゃがいもの冷製ポタージュ
じゃがいもを冷やすと、でんぷんの一部がレジスタントスターチという分解物に変わります。温かいデンプンは消化吸収されますが、レジスタントスターチは消化吸収されない難消化性の成分です。冷やしておいしく食べられるレシピです。
【材料】
じゃがいも…1個
豆腐…150g
牛乳…150ml
豆腐…150g
おろしにんにく…1~2g
鶏ガラスープの素…小さじ1弱
黒胡椒…1つまみ
パセリ…約2g
オリーブオイル・塩…お好みで
【作り方】
1. じゃがいもを洗って水気を拭き取ったら、十字に浅く切れ目を入れてから、キッキンペッパーに包み、その上からラップで包む。
2. 1のじゃがいもを600Wのレンジで3分くらい加熱する。
※時間は目安。レンジによって多少異なるので調整してください。
3. 柔らかくなったら、皮をむく。
4. ミキサーに、豆腐、牛乳、おろしにんにく、鶏ガラスープの素、3のじゃがいもを入れてスイッチオン。
5. 器に流し入れて、黒胡椒、パセリを散らす。
4. じゃがいもの注意点
じゃがいもを食べるときに気をつけたいことは、「緑色になったとき」「食べる量」「赤ちゃんが食べるとき」です。
4-1. 緑色のじゃがいも
古くなったり、日に当たったりするとじゃがいもは緑色に変わってしまいます。この緑色は「ソラニン」や「チャコニン」などのグリコアルカロイドという成分で、味や食感にも変化が起きます。たくさん食べてしまうと、腹痛や胃腸障害、虚脱、目まい、眠気、下痢などの中毒症状が出るため、緑色になってしまった部分はしっかり取り除いて食べましょう。
またじゃがいもを緑色に変色させないためにも、冷暗所で保管して光が当たらないように気をつけましょう。
4-2. 食べすぎに注意
じゃがいもは栄養価が高い食材であり、カロリーオーバーにならないように食べる量には注意が必要です。適量を守って食べるようにしましょう。
4-2-1. じゃがいもは糖尿病リスクになる?
じゃがいもは白米に比べると血糖値を上昇させにくいとされています。じゃがいもの糖質は、吸収されるスピードは遅めで、血糖値の上がりにくいエネルギー源になります。また、じゃがいもが糖尿病リスクを上昇させることはないという研究結果があります。
参考:It’s not them, it’s you: why potatoes don’t deserve their bad reputation P. Pokharel, et al
野菜の中では糖質多めのじゃがいもですが、揚げ物にしないなど調理方法に気を付ければ、糖尿病リスクにはならないと言えます。
4-2-2. 赤ちゃんが食べても大丈夫?
加熱によって柔らかくなるじゃがいもは、離乳食初期の赤ちゃんでも食べることができます。じゃがいもを試すのは、おかゆなどの離乳食に慣れてきた時期にします。稀にアレルギーが起こる場合もあるため、初めて食べるときは、病院の開いている平日にしましょう。
5. まとめ
じゃがいもはビタミンC、ビタミンB6、カリウム、食物繊維が豊富で、栄養価の高い食材です。じゃがいものエネルギー源のうち、ほとんどは炭水化物ですが、他の主食に比べて糖質低めの食材で、ダイエット中にも食べられます。水に溶けやすい性質のビタミンCやカリウム・食物繊維が多いじゃがいもは、煮汁ごと食べられるスープやカレー、もしくは電子レンジで加熱する調理方法がおすすめです。食べすぎに注意して、効率良くじゃがいもの栄養素を摂りましょう。