トマトのパワー! 栄養満載で美味しく健康に

トマト栄養

トマトと言えば、切ってそのまま食べたり煮込み料理やソースに取り入れたり、ミニトマトであればお弁当に入れて彩りにしたり、普段から食べる機会が多い食材ですね。様々な料理で活躍するトマトですが、具体的にはどんな健康効果があるのでしょうか? トマトの原産地は複数の説がありますが、南米のアンデス山脈など砂漠のような乾燥地帯と考えられています。雨が少なくても水や栄養をたっぷりと蓄えることができる、そんなトマトの栄養価と身体への効果についてお伝えします。

1. トマトの栄養価と健康効果

はじめに、トマトの栄養成分とその効果についてご紹介します。

1-1. トマトの栄養成分

トマト100gあたりの栄養成分は次の通りです。トマトの栄養価

参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

トマトには、一般的な野菜に多く含まれるビタミンA(β-カロテン)やビタミンCが豊富です。さらにビタミンEやカリウム、食物繊維など、トマトの栄養成分は多くの種類でバランス良く入っています。

・β-カロテン

β-カロテンは、カロテノイドの一種です。カロテノイドとは、植物などが作る色素のことで、黄色や赤、橙などいろいろな種類があります。トマトには100gあたり540μgのβ-カロテンが含まれています。β-カロテンは強い抗酸化力をもつ栄養素で、さまざまな健康効果が期待できます。

・ビタミンC

トマトには100gあたり15mgのビタミンCが含まれています。抗酸化作用によって美肌効果や風邪の予防に役立つとされる栄養素です。

・ビタミンE

ビタミンEは脂溶性のビタミンで、抗酸化作用を持ち老化を抑制する働きがあります。

・カリウム

ミネラルの一種で、体内の余分な塩分排出を助ける働きがあります。

食物繊維

トマトには100g当たり1.0g食物繊維が含まれます。腸内環境を整え、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防・改善にも効果が期待されています。

コラム:トマトのGABAってなに?

GABA

最近は機能性成分としてGABA(ギャバ)も注目されています。GABAはγ-アミノ酪酸(Gamma Amino Acid)の略で人の脳内に存在し、緊張やストレスなどを緩和する抗ストレス作用があるといわれます。野菜の中でもトマトには多くのGABAが含まれており、トマトジュースなどの製品やトマト自体に機能性表示食品として届け出されているものがあります。

1-2. リコピンの健康美容効果

トマトの赤い色はリコピンによるもので、リコピンもカロテノイドの一種です。熟して赤くなったトマトほど多くのリコピンを含んでいます。人の体内では作り出すことができない成分で、トマトなどの食品から補うことができます。

リコピンには抗酸化作用があり美容に良いとされています。老化抑制効果について研究されている他、血糖値の改善効果が認められている成分です。

八木 典子 他「リコピン摂取が老化抑制に及ぼす効果について 」

八木 典子 他「老化促進モデルマウスに対するリコピンの投与期間が老化抑制に及ぼす効果について」

1-3. トマトの糖質

100gのトマト1個で19kcal、炭水化物は4.7gでそのうち糖質3.7g・食物繊維1.0gと糖質低めの食品です。

1-4. 栄養バランス

トマトはカロリーが低く、ビタミン類が豊富なためサラダなどの付け合わせにぴったりです。そのまま食べられて手軽なうえ、100gあたりの食物繊維は1.0gと野菜が不足しがちな人におすすめの食材です。

2. トマトの種類と調理方法

トマトといっても大きいサイズのものやミニトマトなど多くの種類があります。またトマトにはいろいろな食べ方があり、種類や調理方法による栄養価の変化についてお伝えします。

2-1. 大玉トマトとミニトマトの違い

トマトには大きさによって「大玉トマト」「ミニトマト」「中玉(ミディ)トマト」に分類されます(それぞれ100g以上・10-30g・30-60g)。トマトのなかで、1個あたり100g以上の大きさのものは大玉トマトと分類されます。

参考:トマトまるごと まるわかり!:農林水産省

ミニトマトの方が栄養価高め

大玉トマトとミニトマトを比べると、エネルギーやビタミンCはミニトマトの方が1.5倍程度多く含まれます。糖質は100gあたり大玉トマト3.7gミニトマト5.8gと、ミニトマトの方が2g程度多くなっています。ミニトマトの方が栄養価は高いですが、エネルギーや糖質が気になる時は、大玉トマトを選ぶと良いですね。

2-2. 加熱調理するとうまみアップ

世界で見るとトマトを生で食べる文化は少数派で、加熱して食べる方が一般的です。トマトは加熱することで「グルタミン酸」の働きでうま味がアップします。「グルタミン酸」はとくに種周りのゼリー部分に多く含まれます。また、植物由来の”うまみ”成分は動物由来の”うまみ”成分と合わせることでおいしさが増すということが分かっています。トマトソースがお肉料理や魚介料理によく合うことや、昆布とかつお節でだしをとったお吸い物でうまみが感じられるのは、植物由来と動物由来の”うまみ”成分をかけ合わせているからです。

参考:トマトのアミノ酸について:日本家政学会誌

2-3. トマト缶の栄養価

トマトのリコピンは加熱することによって効率よく吸収できるようになります。トマト缶は加熱処理が行われているため、リコピンの吸収率が生食のトマトよりも高くなります。また、カリウムはトマト缶がより多く含まれており、100gあたり生食のトマトは237mg、トマト缶は280mg程度です。これは、トマト缶の加工過程でトマトの水分が減り、成分が濃縮されるためです。一方で、ビタミンCは生食のトマトは100gあたり約13mgなのに対して、トマト缶は加工の過程で少し減り約7mg程度です。

2-4. 油との組み合わせで吸収率アップ

リコピンは脂溶性のため、油を使って調理することで摂取効率が高まります。リコピンは油と同時に摂取すると、吸収率が上がることが分かっています。いろいろな種類の油や牛乳をトマトと組み合わせて摂取する調査では、リコピンの吸収率が高まることが報告されています。また油の種類によってカロテノイドの吸収率を比べた研究では、オリーブオイルが最も吸収性が高い結果が出ています。

脇尚子 他「チーズとの組合せ摂取によるトマトからの リコピン吸収向上効果の検証」

鏑木幸子 他「脂肪酸組成の異なるオイルによるカロテノイド吸収性の比較」

3. 赤ちゃん・子ども向けのトマト調理法

栄養価の高いトマトは子どもの成長にも嬉しい成分が豊富で、赤ちゃんでもトマトを食べることができます。しかし、トマトが苦手という子どもが多いようです。

3-1. 離乳食にも使えるトマト

栄養の高いトマトは、離乳食としても使える食材です。ただし赤ちゃんはトマトの皮や種はまだ飲みこめないため、皮や種の部分は取り除いてあげます。

離乳食にトマトを使う時は、加熱調理したものから始めます。加熱すると栄養の吸収率が上がり、消化しやすく・甘みが増して食べやすくなります。

3-2. トマトが苦手な子どもにおすすめの調理法

トマトが嫌いになる理由についての調査では、食感や舌触り・酸味が大きな原因という結果になっています。

参考:エバラ食品「嫌いな野菜を嫌いな理由」を調査!|浅漬けマルシェ

先ほどお伝えした通り、トマトは生でなくてもしっかりと栄養がとれます。加熱調理をすると甘みが増して、食べやすくなります。

生のトマトが苦手なら、調理してトマトソースやスープにしたり、蒸したり焼いたりして食べるのもおすすめです。トマト缶を使えば下準備なしで作れるので、試してみてください。

酸っぱさが苦手なら、購入する時に完熟したトマトを選びましょう。次の章ではおいしいトマトの選び方についてご紹介します。

4. トマトの選び方と保存方法

新鮮で熟したトマトを見分けるようにしてみましょう。おいしいトマトの選び方と、トマトの保存方法についてご紹介します。

4-1. おいしいトマトの見分け方

おいしいトマト

おいしいトマトは、色が真っ赤で皮にハリがあり、重みのあるトマトとされています。へたは濃い緑色で、しおれていないものが新鮮です。

4-2. トマトの保存方法

トマトは追熟するので、すぐに食べない場合は赤味の薄いものを選び常温で保存します。熟したトマトはラップをするかビニール袋に入れて、野菜室で保管します。熟したら早めに食べるようにしましょう。

5. まとめ

トマトにはリコピンやビタミンC、食物繊維などが含まれる栄養価の高い食材です。カロリーは低めですが、大玉トマトよりもミニトマトの方がエネルギー・栄養成分が多く糖質も高いため、食事の制限がある方は注意して食べましょう。

トマトは加熱調理することで栄養価が高くなり、特に油と合わせることでリコピンの摂取効率が上がります。赤ちゃんや子どもの成長のためにも取り入れたいトマト、おいしく食べる工夫ができると良いですね。