体の糖化とは、多くとりすぎた糖質が体の内でタンパク質と結びつき、老けのもとであるAGEsをつくることです。
AGEsは一度体の中にたまると外に出すのが難しく、腎臓や血管の働きを弱めてしまうおそれもあります。
今回は、糖化を改善して老化を防ぐたった3つの効果的な方法を解説します。
この記事でわかること
- 糖化が体に及ぼす悪い影響と、そのメカニズムを解説
- 体の糖化改善をめざすには、血糖値が急に上がるのを防ぐような食生活が大切
- 体の糖化の改善として運動が大切なため、日々の生活に取り入れる
体の糖化を防いで若々しくすごしたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
体の糖化が健康に及ぼす悪い影響とそのメカニズムを知る
体の糖化は、以下の症状が現れる可能性があるといわれています。
-
- 目や腎臓などの機能が低下
- 骨がもろくなる
- 血管へのダメージ
目のレンズにあるクリスタリンというタンパク質が糖とくっつくと、透明度が下がってしまい、白内障になるかもしれません。
AGEsが腎臓の糸球体という血管の壁にたまってしまうと、血管がかたくなり、血流が悪くなってしまう恐れもあります。
骨にAGEsがたまると、骨が弱くなり骨折してしまう可能性があります。
進行すると、骨粗しょう症という病気を引き起こす場合があるのです。
血管の壁にAGEsがたまると、血管が硬くなったり、せまくなったりする動脈硬化を引き起こすリスクもあるといわれています。
結果的に血液の流れが悪くなり、心筋梗塞や脳梗塞などにつながってしまうのです。
参考:糖化ストレスとアンチエイジング:12 糖化ストレスと認知症
糖化の進行は血糖値のコントロールがうまくできなくなる可能性がある
体の糖化がすすむと、血糖値がうまくコントロールできなくなる可能性があります。
糖化により生じたAGEsが体の中にたまり、インスリンの感度が下がると、インスリンの効果がうすくなるためです。
インスリンの効きが悪いと血糖値が高い状態が続き、さらに糖化がすすむといわれています。
高血糖と糖化のくりかえしを防ぐためには、食べる順番を工夫したり、軽い運動をしたりするのが効果的です。
結果的に血液の流れが悪くなり、心筋梗塞や脳梗塞などにつながってしまうのです。
以下に紹介する食事のとり方や運動のし方を参考にして、血糖値の安定につなげましょう。
体の糖化改善を目指すために血糖値が急に上がるのを防ぐような食生活が大切
体の糖化の改善をめざすには、血糖値が上がるのを防ぎ、AGEsを発生させないのが大切です。
血糖値が高くなると、余計な糖がタンパク質とむすびついてしまい、AGEsが発生する傾向にあります。
私たちはストレスや乱れた食生活などが原因で、知らず知らずのうちに体内で活性酸素や炎症を増加させている可能性があります。
体の糖化を防ぐために、食事では以下の3つのポイントを意識してください。
-
- 魚や豆などのタンパク質をとる
- 食間の時間を一定にする
- 低GI食品をえらぶ
ここでは、日々の生活の中で簡単に行える、体の糖化予防につながる食事方法を紹介しています。
実践すると、体の糖化を防ぎ、元気な毎日をすごす土台になるでしょう。
魚や豆などのタンパク質をとり体の糖化の予防につなげる
体の糖化を防ぐために、魚や豆などのタンパク質をとりましょう。
良質なタンパク質がたりないと、糖とむすびつく力が弱いタンパク質が増えるといわれています。
しかし、魚や豆などのタンパク質をとると、体が元気なタンパク質で満たされるため、糖化が起こる可能性を低減できるのです。
さらに、魚や豆などは赤いお肉や乳製品と比べると、AGEsが含まれる量が少ないとされています。
AGEsが少ない食べ物をとると糖化の予防になり、若々しい元気な体を目指せます。
糖化を防ぐために食べる順番を野菜やきのこなどを先にする
体の糖化の改善をめざすためには、野菜やきのこ、海藻など食物繊維を豊富に含む食べ物を初めにとるのが大切です。
水溶性の食物繊維は、腸の中で糖の吸収を遅らせるため、糖が体に吸収されるのをゆっくりにする働きがあります。
そのため、急に血糖値が上がるのを防げる可能性が高く、体の糖化の予防にもつながります。
食事の初めに、野菜やきのこをゆっくり5〜10分かけて食べるとよいでしょう。
最後にパンやごはんなどの糖質をとると、血糖のピークをぐっと抑えられる可能性が高まります。
食間の時間を一定にすると急な血糖の上がり下がりを防げる
体の糖化の改善のために、食間の時間を一定に保ちましょう。
早食いをすると、短時間で血糖が急に上がるといわれています。
このような食べ方は、血糖値がジェットコースターのように急に下がってしまい、体に負担がかかるのです。
急に血糖値が上がると、体の中でインスリンが大量にだされ、血糖コントロールが難しくなります。
血糖の急な上がり下がりを防ぐためには、2〜3時間ごとの間隔でゆっくりと腹八部目を意識するのが健康と血糖の安定につながります。
低GI食品をえらぶと食後の血糖値の上がり方がゆるやかになる
体の糖化を改善するために、低GI食品を多くとりましょう。
GI値とは、ブドウ糖をとった後の血糖値の上昇値を100とした場合、血糖値が上がる割合を表した数字のことです。
以下で紹介する食品をえらぶと、体の糖化を防ぐのに役立ちます。
-
- 全粒粉のパン
- 玄米
- サバやマグロなどの魚
- みかんやりんごなどの果物
- キャベツやトマトなどの野菜
食品をこがしてしまうと、AGEsが発生する可能性があるため、蒸したりゆでたりして食べるとよいでしょう。
低GI食品や野菜を毎日の献立に取り入れて、糖のとりすぎを控えると、糖化を防いで元気な体を目指せます。
体の糖化を改善するには運動が大切なため日々の生活に取り入れる
体の糖化を改善するためには、運動の習慣をつけるのが大切です。
運動をすると糖がエネルギーとして使われるため、血糖値が急に上がるのを防げるといわれています。
とくに、食後1時間は血糖値がもっとも上がるとされているため、この時間帯に運動をするとよいでしょう。
毎日30分〜1時間ほどのウォーキングをすると、気軽に日々の生活に運動を取り入れられます。
階段を使う、通勤のバスの中で立つなどの小さな習慣が、糖化を防いで未来を変えるかもしれません。
体の糖化を防ぐために食事や運動をととのえて十分な睡眠をとる
体の糖化を防ぐためには、運動や栄養バランスをととのえるだけでなく、睡眠をしっかりととるのも大切です。
睡眠が乱れると、体のメラトニンというホルモンの働きが悪くなり、免疫力が下がる傾向があります。
他にも、成長ホルモンの働きが悪くなるのも関係しています。
成長ホルモンは、こわれた細胞を治したり、筋肉や骨を支えたりするホルモンです。
さらに、メラトニンや成長ホルモンは、AGEsを分解したり、排泄したりする働きもあります。
そのため、睡眠が足りないとAGEsが体に蓄積されてしまい、周りに老けて見られてしまうかもしれません。
体を若々しく保つためには、下記の3点を意識してください。
-
- 同じ時間に寝たり起きたりする
- 夜は照明を暗くして、ブルーライトを控える
- ごはんは寝る2〜3時間前に終える
寝る時間と起きる時間を一定にすると、体のリズムをととのえられます。
メラトニンは明るい光により分泌が減るとされているため、寝る前のスマートフォンやタブレットの使用は控えてください。
寝る2〜3時間前にごはんを済ませて、消化を終えた状態で寝ると質のよい睡眠につながります。
体の糖化を防ぐために、食事や運動をととのえて、たっぷり睡眠をとりましょう。
体の糖化改善に関連する最新の医療研究を3つ理解する
体の糖化を改善する方法を、最新の医療研究結果をもとに3つ紹介します。
-
- AGEsが少ない食品を食べたグループは、血糖の悪化を抑えられた
- 朝ごはんを食べると、糖化を抑えるのにつながる
- ユズの皮やザクロなどは、AGEsを分解する作用がある
食べ物に含まれるAGEsを減らした食事を8週間続けたグループと、普通に食べたグループをくらべた研究があります。
結果的にAGEsが少ない食事を続けた人は体の中のAGEsが減り、炎症や血糖の悪化が抑えられたと報告されました。
キャベツやトマトなど野菜の次にお肉、そのあとにごはんの順で食べると、糖とインスリンのバランスが整う可能性が高まります。
他にも、朝食を食べないと昼食後の血糖が上がってしまうという研究結果も示されました。
そのため、朝食をきちんと食べて、糖化の抑制につなげましょう。
ユズの皮やザクロなどは、AGEsを分解する作用があると報告されています。
紅茶やヨーグルトに混ぜて食べると、香りも楽しめて簡単に生活の中に取り入れられます。
糖化改善には腹式呼吸でストレスケアをすると効果が期待できる
体の糖化の改善には、腹式呼吸でストレスケアをするのも効果的とされています。
ストレスが続くとコルチゾールというホルモンが分泌され、肌の新陳代謝や免疫が下がる可能性があります。
落ち込みやイライラを感じた場合は、以下の方法で腹式呼吸をするとよいでしょう。
- 背すじをのばして呼吸をととのえる
- 先に口から息を吐く
- 鼻から4秒ほど息を吸う
- 口から8秒かけて息を吐く
- 1〜4を3〜5回くりかえす
腹式呼吸はどこでも気軽にできるストレスケアの一つで、副交感神経が働き、脳をリラックスさせるのに効果的です。
ゆっくりとした呼吸は糖化の予防につながり、若々しい体へ導きます。
体の糖化を改善するためにつづけるとよい生活習慣は3つある
体の糖化を改善するには、食事や睡眠、運動など生活習慣をととのえるのが大切です。
野菜を先に食べたり、低GI食品をえらんだりすると食後の血糖の上昇がゆるやかになる傾向があり、糖化対策につながります。
食後30分〜1時間のウォーキングは、血糖値が急に上がるのを防ぎ、AGEsの生成を抑える働きがあるので習慣にするとよいでしょう。
他にも、質のよい睡眠はメラトニンや成長ホルモンの分泌をうながし、AGEsを体の外に出す効果が期待できます。
今回の記事を参考にして運動や栄養バランス、睡眠をととのえると、糖化の予防につながり健康で若々しい体を目指せます。
健康状態に不安のある人は、必ず医療機関へご相談ください。