更新:25/10/16改訂
「オリーブオイルは身体に良い」という話を聞いたことのある方も多いはず。健康や美容などで体を普段から気にかけている人にとっては、オリーブオイルは身近なスーパーで買うことができる調味料の一つです。一方で、オリーブオイルは油でもあり「太る」と心配される方もいるのではないでしょうか?ここで、もし本当にオリーブオイルを摂ることが肥満に直結しているのであれば、オリーブオイルを購入された方にとってはこれから使うべきか大問題になります。
そこで、この記事では、オリーブオイルで太るのかを正しい根拠を元にお伝えしていきます。また、オリーブオイルを使うことで、健康にも美容にもダイエットにも活用できる「正しい使用法」も合わせてご紹介していきたいと思います。
目次
1.オリーブオイルの適量は太りにくい
ではまずはオリーブオイルは太るのか、太らないのかというお話です。「いくらオリーブオイルと言っても油だし、太るんじゃないの?」と思うかもしれませんが、結論から言ってしまえば、オリーブオイル適量なら太りにくいです。
1-1.オリーブオイルの糖質量はほぼゼロ
オリーブオイルは、糖質がほぼゼロであることから、血糖値への影響が非常に少ない食品です。実際、100gあたりの糖質量は0〜0.1g程度とされており、糖質制限中の食事にも適しています。
1-2.健康的な脂質「オレイン酸」
オリーブオイルに含まれる脂質の質が高く、主成分である一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)は、脂肪燃焼や血糖値の安定などを通じて太りにくい体づくりをサポートする脂質です。 オレイン酸は、特にオリーブオイルに豊富に含まれており、心血管疾患のリスクを低下させるなど、健康面で多くのメリットがあるとされています。
ここで、米国国立衛生研究所のケヴィン・ホール氏による脂質中心の食事と炭水化物中心の食事の代謝への影響を比較した臨床試験では、脂質中心の食事が炭水化物中心の食事よりも代謝を高める可能性があることが示唆されています。ただし、この研究結果は特定の条件下で得られたものであり、すべての人に当てはまるわけではない点には注意が必要です。
地中海沿岸の国々(例:イタリア、ギリシャ、スペイン)は、欧米諸国と比べて肥満率が低い傾向にあります。オリーブオイルは地中海式食事法の中心的な脂質源であり、「太らない油」ではなく「太りにくく、健康的な脂質」として位置づけられ、肥満予防や健康維持に大きく貢献する要素です。サラダ、パン、魚料理などに生のままかける使い方が理想的です。加熱しすぎると栄養が損なわれるため注意が必要です。
1-2-1.「オレイン酸」は悪玉(LDL)コレステロールを抑制する
近年の日本人の脂質摂取量は増加傾向にあると言われます。糖質制限ダイエットや健康ブームの影響で炭水化物の摂取が減り、代わりに肉などのタンパク質を多く摂取することから脂質の摂取も大きく増えました。令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査によると、脂肪エネルギー比率が30%を超える人の割合は、20歳以上の女性で約46.4%と報告されています。
オリーブオイルが健康に良いとされる理由は、オリーブオイルに含まれる「オレイン酸」という成分にあり、オリーブオイルの50~80%近くはこのオレイン酸でできています、オレイン酸は悪玉(LDL)コレステロールを抑制する効果があると言われています。以前はオレイン酸の摂取量は不足していましたが、最近はサラダ油からでもとれるようになったこともあり、摂取過多になってしまっている方も少なくありません。
1-2-2.「オレイン酸」は便通改善と代謝サポートに役立つ
オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、小腸で吸収されにくく大腸まで届くことで腸壁を刺激し、蠕動運動を促進します。また、腸内の潤滑油として働き、便通をスムーズにする効果も期待されます。
オリーブオイルには30種類以上のポリフェノールが含まれており、これらのポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化成分は腸内環境を整え、善玉菌の活動を助ける働きがあります。1日15〜30ml(大さじ1〜2杯)の摂取が理想的とされていて、加熱することなくそのまま摂ることで栄養をより活かせるため、サラダやヨーグルトにかける方法が推奨されています。
1-3.オリーブオイルは日本人にとって「太らない油」ではない
オリーブオイルは地中海式食事法の中心的な油として知られ、心血管疾患の予防や抗酸化作用など、数多くの健康効果が報告されています。その主成分であるオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)は、悪玉コレステロール(LDL)を下げ、善玉コレステロール(HDL)を保つ働きがあるとされます。
しかし、日本人にとって「オリーブオイル=太らない油」とは言い切れません。医学博士・奥田昌子氏によると、日本人が必要以上にオリーブオイルを摂取すると、内臓脂肪が増加し、生活習慣病のリスクが高まる可能性があると指摘されています。これは、欧米人と比べて日本人は脂質代謝や体質に違いがあり、同じ食事法が必ずしも適応するとは限らないためです。
※参考:オリーブ油は日本人にはリスクあり!? こんなに違う「人種と健康」
また、オリーブオイルは大さじ1杯で約119kcalと高カロリーであり、摂取量を意識しなければ、日常的な「追いオイル」やドレッシングの使用で総摂取カロリーが容易にオーバーし、体脂肪の蓄積につながることもあります。日本人にとってオリーブオイルは「太らない油」ではなく、「適量を守れば健康的に使える脂質」として理解することが重要です。
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2.オリーブオイルは約20〜23g/日
いくらオリーブオイルが太らないからと言って、何事も摂り過ぎれば体に良くありません。ではどれくらいの量を目安に摂れば良いのでしょうか?
オリーブオイルは、レイン酸)を豊富に含んでおり、日々の食生活に取り入れたい油のひとつです。しかし、いくら体に良いとはいえ、摂りすぎは禁物。脂質バランスの観点から見ると、オリーブオイルの適切な摂取量は、1日あたり約20〜23g(大さじ1.5〜2杯)が目安とされています。
オリーブオイルに含まれる脂肪酸の構成から、主成分であるオメガ9脂肪酸(オレイン酸)は全体の約70〜80%を占め、血中の悪玉コレステロール(LDL)を下げる働きがあるとされています。さらに、オメガ6脂肪酸(リノール酸)も約10%前後含まれていますが、これは過剰に摂取すると炎症を引き起こす可能性があるため、適量を守ることが大切です。一方で、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)はごく微量しか含まれていないため、魚やアマニ油、えごま油などから別途補う必要があります。
この摂取量の目安は、米国食品医薬品局(FDA)も心疾患予防の観点から「1日約23gのオリーブオイル摂取が有益」とする見解を示しています※1。ただし、オリーブオイルは大さじ1杯で約119kcalと高カロリーであるため、肉類や乳製品、菓子類など他の脂質とのバランスを考慮することが重要です。また、オメガ3脂肪酸を補うためには、青魚の摂取を併用するのが理想的です。
オリーブオイルには普通の油とは違った特徴があるので、同じように調理をしてしまうとせっかくのメリットが半減してしまう事も。そこで、オリーブオイルの使い方をチェックしておきましょう。
3.オリーブオイルたっぷりのアヒージョは食べ方・量に要注意
アヒージョはオリーブオイルをたっぷり使う料理で、アヒージョ1人前(約145g)で約317〜329kcalのカロリー摂取になります。オリーブオイルだけで200kcal以上を占めるため、非常に高カロリーな料理で、食べ方や量よっては「太る原因」になり得ます。
オリーブオイル自体は一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)を豊富に含み、適量なら心血管疾患予防や代謝改善に役立つとされています。しかし、アヒージョのようにパンと一緒に大量に摂取するなどすると、脂質・糖質ともに過剰になりやすいです。特に日本人は脂質代謝が欧米人と異なり、内臓脂肪が蓄積しやすい傾向があるため注意が必要です。オリーブオイルは「太りにくい油」ではありますが、料理全体のバランスと量を意識することが大切です。
4.まとめ
オリーブオイルは「痩せる油」ではありませんが、適量を守ればダイエットの味方になります。 主成分のオレイン酸は満腹感を持続させ、食べ過ぎを防ぐ効果が期待されます。 また、腸の動きを活性化し、便通改善にも役立つため、代謝のサポートにもつながります。 ただし、大さじ1杯で約119kcalと高カロリーなので、摂りすぎは逆効果になります。 痩せたいなら「油を減らす」より「質の良い油を適量摂る」ことがポイントです