血糖値測定器を買うとしたらこれ!血糖値測定器完全ガイド

血糖値測定器を買うとしたらこれ!

血糖値は、1日のうちに食事や運動、体調などによって変動します。インスリン治療をする場合は、病院の血糖値測定では頻繁に検査をすることが難しく、自宅用に血糖値測定器が必要になります。買うとなると高額なので、自分に合った血糖値測定器を失敗することなく選びたいですよね。あなたに合う血糖測定器が見つかるよう、商品のタイプ別に特徴を紹介します。

すぐに商品を探したい人は目次の2章「SMBG(血糖自己測定)の血糖値測定器製品」からご覧ください↓

目次

1.  血糖値測定とは

血糖値は血液の中のグルコース(糖)の濃度のことです。糖尿病の治療では、食前・食後などの血糖値を測定することで、血糖値の変化を知り血糖コントロールを行います。血糖値測定をするために、血糖値測定器が必要になります。

糖尿病でなくても、血糖値を調べて生活を見直したいという人のサポートとしても役立てます。自分の健康状態を把握して、食事や運動・睡眠などの生活習慣改善の参考にすることができます。また糖尿病の兆候を早めに見つけることもできるため、異常があれば医師に相談するなど、必要な対策ができます。

1-1. 血糖値測定器の選び方とは?

血糖値測定器を買うときに、どうやって選ぶのが良いでしょうか?
どのような 血糖値測定器に満足感をもつのか、実際に測定器を使ってみて「操作性」「安全性」「信頼性」「携帯性」「痛み」の 5 項⽬でアンケートをとった研究では、血糖値測定器を使った人は「携帯性」「操作性」「安全性」を特に重視するという結果になっています。

SMBG 機器の「使い勝手と満足度」に関する調査研究

そこで血糖値測定器を選ぶ基準として、①携帯性②操作性③安全性の3つを挙げたいと思います。

①携帯性

普段から外出の多い人に重視していただきたいのは、測定器の「携帯性」です。
血糖値を把握するには毎日決まったタイミングで血糖値測定を行う必要があり、毎食自宅で食事をしてずっと家にいるという人以外は、測定器を持って出かけることになります。血糖値測定器は種類が多く、2章で紹介する血糖値測定器でも40g~105gと本体の重量に差があります。持ち運ぶことを考えると軽量・小さいもの、もしくは専用のケースがあるものを選べると良いですね。

②操作性

血糖測定器の種類は測定方法によって2つに分けられます。血糖値を測定するSMBG(Self-measurement of blood glucose)と、間質液*中のグルコース値を測定するCGM(Continuous Glucose Monitoring)、FGM(Flash Glucose Monitoring)があります。用語について詳しくは次項で解説します。CGMは店舗やインターネットではご自身で購入できるものがないため、ここではFGMに限って紹介させていただきます。

・SMGBの操作方法

1. 穿刺*器具に穿刺針をセットする
2. 測定器に試験紙をセットする
3. 消毒した皮膚に穿刺して血液を出す
4. セットした試験紙に血液を付ける
5. 測定機に測定結果が表示される
6. 使用後の試験紙、穿刺針を廃棄する

・FGMの操作方法

1. センサーの準備をする
2. 装着部位を清潔にする
3. センサーを装着する
4. 測定器を使ってグルコース値を測定する

センサーは一定の期間が経過すると取り外し・交換が必要になります。

採血が必要なSMBGの方は手順が多く慣れが必要となりますが、その時点の血糖値を測ることができます。また操作方法を毎回分かりやすく教えてくれる測定器もあります。正しく測定できるか心配な方は、音声ガイドが搭載されたタイプなどを選ぶとよいでしょう。
FGMは採血がなく、センサーに測定器をかざすだけで間質液のグルコース濃度を測れます。センサーは1度装着すれば一定期間つけっぱなしにできるため、操作は簡単であるといえます。

*間質液(かんしつえき):組織液とも呼ばれ、血管の外にあり細胞の間を満たしている体液のこと
*穿刺(せんし):検査などのために体に針を刺すこと

③安全性

採血の必要なSMBGは、針を刺した箇所からの感染症のリスクがあります。そしてご家族や周りの人のためにも、採血後の針を正しい方法で廃棄することも大切です。そのため安全・清潔に行えるよう、測定方法をよく理解して行うことが重視されます。

また、安心して測定を行うために、測定の精度についても基準が設けられています。血糖自己測定器の精度の指標として、ISO(国際標準化機構)の規格が2013年に改定され、以前と比べると高い基準となりました。

ISO15197:2013についてものしり読本_ISO15197

これに準じて、血糖値測定器の精度向上が図られています。機種毎に精度試験を実施した報告によると、試験に用いたSMBG器7機種ではほとんど変動がみられませんでした。

血糖測定器の正しい知識と選択―糖尿病患者が抱えるストレスの軽減のための一助となる

安全に測定するには、測定方法の理解が重要であることが分かります。精度は機種によって大きく変動はないため、自分にとって操作しやすい機種を選ぶことで安心して測定することができます。

1-2. 測定方法の違い

先ほど紹介した2つの測定方法、SMBG(血糖自己測定)FGM(持続グルコースモニタリング)について解説します。SMBGとFGMの大きな違いとして「採血が必要or不要」「血糖値を測るor間質液中のグルコース濃度を測る」の2点があげられます。
SMBGとFGMそれぞれの特徴を説明します。

血糖値測定を行います

SMBG(血糖自己測定)
指先などで採血を行い、血糖値を調べます。指先で血液を採取する場合が多いため、痛みが苦手な方は不安に感じることもあると思います。採血量が少量で良いものや、痛点の少ない腕や太ももで採決できる種類もあります。
正しく測定を行うことができれば高い精度の数値を得ることができます。測定器の種類も豊富で、自分に合った操作方法や費用の商品を選ぶことができます。デメリットとして測定回数に上限がありランニングコストがかかる、痛みを感じやすい人にとっては測定が苦痛になることが考えられます。また測定時点での血糖値しかわからないため、急な低血糖や睡眠中などの変動を把握しづらい点があげられます。

採血が不要の測定器です

FGM(持続グルコースモニタリング)
腕などにセンサーを貼り付けて、間質液中のグルコース濃度を測定します。ほとんど痛みはなく、測定を行いながら通常の生活を送ることができます。
センサーは入浴時や睡眠中も装着しておくことができるため、持続的に測定できます。血糖値と間質液の糖濃度は高い相関関係があると分かっており、SMBGでは難しい血糖変動を把握しやすいと言えます。しかし、血糖値の急激な変化などで実際の数値とは違いが出る可能性があるため、場合によってはSMBGも行う必要があります。数週間貼り付けておくので、皮膚の弱い人はかゆみが出ることがあるようです。

測定時点での高い精度の血糖値が必要な場合は、SMGBタイプの血糖値測定器を使用します。健康管理のために血糖変動を把握したい方は、FGMタイプの血糖値測定器を使うと便利です。

2. SMBG(血糖自己測定)の血糖値測定器製品

SMBGタイプの血糖値測定器を紹介します。
種類が多く、操作しやすいもの・持ち運びやすいもの・測定結果をスマートフォンと共有できるものなど、自分の生活スタイルに合わせて選ぶことができます。ほとんどの機種は記録を確認できる機能があるので、それ以外の特徴を挙げていきます。(参考価格は2023年7月時点のものです)

2-1. 抜群の携帯性 「アキュチェックガイド」 Roche

アキュチェック参考価格:5,500~12,098円

測定器の本体が約40gと卵一個分と同じくらいの重さで、本章で紹介している測定器の中では最も軽量な機種です。80mm×47mm×20mm・約40g
血液量(約0.6μL)

アキュチェックガイド | Japan 

2-2. 持ち運びに便利 「メディセーフフィット」 テルモ

メディセーフフィット参考価格:8,500~9,900円 

体温計などで有名なテルモの血糖値測定器です。約42gと軽量な本体に、携帯ケースがついて持ち運びに便利です。
108mm×38mm×27mm・約42g
必要な血液量(直径 2.5 mm の球状)

メディセーフフィット | 血糖測定器 | 製品情報 | 製品をご使用中の皆さま | テルモ糖尿病ケアサイト

2-3. とにかく簡単に測定したい方へ 「メディセーフフィットスマイル」 テルモ

メディセーフフィットスマイル参考価格:6,700~8,590円

明るく分かりやすい画面、表示と同時に音声でも操作をガイドしてくれる、やさしい測定器です。血糖値のレベルを色で知らせてくれます。携帯ケースがついて持ち運びに便利です。
105mm×48mm×23mm(キャップを含む)・約80g
必要な血液量(直径 2.5 mm の球状)

メディセーフフィットスマイル | 血糖測定器 | 製品情報 | 製品をご使用中の皆さま | テルモ糖尿病ケアサイト

2-4. 測定記録が見やすい 「ワンタッチべリオビュー」 LifeScan Japan株式会社

ワンタッチべリオビュー参考価格:3,890~5,400円

測定記録の平均値やふりかえり情報が分かりやすく表示されます。本体はブルーとピンク2色から選べ、持ち運びに便利なケースがつきます。
109mm×55.5mm×25 mm・約105 g
必要な血液量(0.4μL)

ワンタッチべリオビュー®  | 自己検査用グルコース測定器 | OneTouch®

2-5. 血糖コントロールを頑張りたい方へ 「グルコカード プライム」 アークレイ

グルコカード プライム参考価格:7,678円

カラーの画面表示と音声ガイドで操作をガイドしてくれます。血糖値が高い・低い時に、なぜ基準値を超えてしまったのか原因を記録することができ、血糖コントロールの意識を高く保てます。データをBluetooth対応のスマートフォンなどへ送信できます。
45mm×120mm×14mm・約82g
血液量(約0.6μL)

アークレイ血糖自己測定器関連情報サイト

2-6. 指先以外でも測定できる 「ニプロフリースタイル フリーダム ライト」 ニプロ

ニプロフリースタイル参考価格:7,800~10,118円

必要な血液量は0.3μLと少量、約4秒ですばやく測定できます。指先以外の箇所からも採血でき、痛みを感じにくい上腕・太ももなどで測定することができます。
51mm×84mm×16mm・約45g
血液量(約0.3μL)

血糖自己測定器関連製品 | 血糖自己測定器 一般の皆さまへ | ニプロ株式会社

2-7. 電池不要の充電式 「ニプロケアファストR」 ニプロ

ニプロケアファスト参考価格:8,800~10,695円

充電式で厚さ13mmとかさばらない形の測定器です。血糖値によって数値の色が変わり、高値・低値がひとめで分かります。持ち運びに便利なポーチがつきます。
97mm×45mm×13mm・約52g
必要な血液量(0.4μL)

血糖自己測定器関連製品 | 血糖自己測定器 一般の皆さまへ | ニプロ株式会社

2-8. アプリでデータを確認できる 「グルテストアイ」 三和化学研究所

グルテストアイ参考価格:7,126~7,400円

大きい画面と音声ガイドで操作方法が分かりやすく、測定結果をアプリに転送できます。収納ケースがつきます。
49mm×101mm×20mm・約82g
採血(0.6μL)

グルテストアイ|糖尿病と血糖測定|三和化学研究所

3.  FGM(持続グルコースモニタリング)の血糖値測定器製品

採血の必要ないFGMタイプの血糖測定器は種類が少なく、一般の方が買えるものは僅かです。また実際の血糖値とは違いが出る可能性があり、採血の血糖測定が不要になることではありません。測定が簡単で、夜間の低血糖を防ぐことや健康管理に便利といえます。そのうち1つの商品を紹介します。

3-1. 採血が不要のタイプ  Freestyle ニプロ

リブレ

参考価格:7,680~9,900円

センサーを装着してリーダーをかざすと測定結果が確認できます。スマートフォンのアプリでも測定の履歴が表示できるため、血糖変動の把握がしやすい測定器です。服を着たままで測定できます。リーダーは血糖測定もできます。
センサー : 5mm×35mm・5g
リーダー : 95 mm×60 mm×16 mm・65 g

患者さん向け:FreeStyleリブレ・FreeStyleリブレLink特徴|FreeStyleリブレ情報サイト

コラム:尿糖検査

新ウリエース 新ウリエースGa|尿検査薬|テルモ 一般のお客様向け情報 

薬局やインターネットで買える「尿試験紙」は、尿に含まれているブドウ糖である「尿糖」を調べることができる検査薬で、血糖値を調べることはできません。あくまで、糖尿病が不安な方が自宅で尿検査を行うための簡易的な検査薬なので、血糖コントロールには向いていません。

4.  血糖値測定器はどこで買える?

血糖値測定器本体は「高度管理医療機器」のため、販売許可を持つ薬局・ドラッグストア等の店舗やインターネットで購入することができます。測定器の種類によっては取り寄せてもらう必要があるので、店舗で購入したい方は余裕を持って問い合わせておきましょう。

4-1. 測定器本体の他に必要なものは?

血糖値測定器は本体の他に、消耗品の「穿刺器具」「穿刺針」「試験紙」を購入する必要があります。穿刺器具や穿刺針についても、測定器本体と同様に販売許可を持つ薬局・ドラッグストア等の店舗やインターネットで購入することができます。試験紙(センサー・チップ)は他の消耗品とは違って、薬機法(医薬品、医療機器等についての法律)によりインターネットで購入はできません。そのため、試験紙は調剤薬局で購入する必要があります。在庫がない場合は取り寄せてもらいますが、取り寄せが難しいメーカーもあるようです。事前に薬局に取扱いを確認しておきましょう。

4-2. 消耗品の価格

測定を続けていくと、どれぐらいの価格になるのか、それぞれの目安をご紹介します。

4-2-1. SMBG(血糖自己測定)タイプ

穿刺器具 約2000~3000円 SMBGタイプの血糖値測定器は、血糖値測定のために皮膚に針を刺して血液を採取します。穿刺器具は、針(穿刺針)を取付ける採血器具です。「使い捨て」「針周辺部分が使い捨て」「針周辺部分が使い捨てではない」の3タイプがあり、測定器に合う商品が決まっています。

穿刺針 25本約600~800円(24~32円/1回) 穿刺針は、血液を採取するために穿刺器具に取り付けて使う針です。穿刺器具に合ったものを使用し、測定後は毎回交換します。

試験紙 25本約3000~4000円(120~160円/1回) センサーまたはチップとも呼び、血液を吸引するために測定器にセットして使います。試験紙は使用期限があり、適切な環境で保管する必要があります。測定後は毎回交換します。

また採血を行う部位は、清潔にするために消毒剤を使います。消毒剤は液体のタイプや、脱脂綿に消毒液を浸した個包装のタイプがあります。そして測定後に、血液の付いた試験紙や針を廃棄・保管する廃棄ボトルが必要です。これらは商品の指定がないため、自分に合うものを選べます。

4-2-2. FGM(持続グルコースモニタリング)タイプ

センサー 1個約7000円 腕などに貼りつけて測定し、数週間に1度貼りかえます。

選ぶ血糖値測定器によって、各消耗品の価格は変わります。なるべく価格を抑えたいという方は、消耗品も含めて考えるのがおすすめです。

コラム:血糖値測定器は中古で買える?

血糖値測定器本体は「高度管理医療機器」のため販売許可を持つ店舗でないと販売できません。針やセンサーなど消耗品であっても、正しい方法で保管されていないと測定ができない可能性があり、中古のものはおすすめできません。安全のためにも、信頼できる店舗やホームページで購入しましょう。

5.  測定器の貸し出し・保険適用になる場合

病院では保険点数の範囲内で、血糖測定器の本体の貸し出しや、測定に必要な穿刺器具、穿刺針、センサーの給付を行います。保険の対象にならない場合や、保険の対象になっていても保険点数の範囲を超える(医師の指示を超える)場合には、自費での購入が必要です。かかりつけの医師によく相談してみましょう。
他にも、一部の薬局等で血糖値や中性脂肪などの生活習慣病に関連する数値を測定することができる『検体測定室』のある店舗があり、「ゆびさきセルフ測定室」のホームページから対象の薬局を探すことができます。血糖値測定を毎日する必要はなくても、血糖値や健康が気になる・測定器を購入するか迷っている方は、利用してみてはいかがでしょうか。

ゆびさきセルフ測定室

ゆびさきセルフ測定室ナビ | 手軽な血液測定で、自分の健康をチェック!

6. まとめ・最新技術について

血糖測定器を選ぶときに考えるべきなのは①携帯性②操作性③安全性の3つです。血糖測定器は採血が必要なもの(SMBG)と採血が必要ないもの(FGM)の2種類に分けられ、それぞれのメリットとデメリットがありました。価格には、測定時に使用する消耗品も含まれます。病院などでの貸し出しや、保険適用になる場合もあるので確認してから選ぶようにしましょう。

ここからは、針を刺さずに血糖値測定のできる新しい測定方法の紹介です。

ライトタッチテクノロジー社は、先端レーザー技術を駆使し、世界初の採血が不要な血糖値センサーを開発しました。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援によりセンサーの大幅な小型化を実現し、在宅用医療機器やウェアラブルデバイスとして製品化することを目指しています。

開発品情報 | Light-Touch-Tech -ライトタッチテクノロジー株式会社

また、新しい技術の針を刺す必要のない血糖値測定器について、アップルはスマートウォッチ「アップルウオッチ」への搭載を目指すプロジェクトに取り組んでいると明らかにされています。

アップルウオッチで血糖値測定へ、技術開発が飛躍的進展-関係者 – Bloomberg

このように、針が必要ない測定器が研究・開発されています。将来血糖コントロールにも活用できる高精度で痛みのない血糖測定が開発されると良いですね。
ご自身に合った血糖値測定器を選ぶお手伝いができたでしょうか? 迷っている方への参考になれば嬉しいです。