たっぷり食べても低糖質!栄養も豊富な白菜の健康パワーと簡単レシピ

1.白菜の特産地と種類をご紹介

体をポカポカ温める鍋料理やシチューの具材として、冬に大活躍する白菜。日本で広く流通するようになったのは、意外と最近のことなのです。ここでは、そんな身近になった白菜(料理)の栄養や糖質量そして健康パワーや簡単レシピまで徹底ガイド致します。

1-1.日清・日露戦争で戦った兵隊が種を持ち帰った

アブラナ科の野菜である白菜は、北東ヨーロッパからトルコにかけてが原産地といわれています。中国に伝わってから品種改良が加えられ、11世紀ごろには現在の白菜の姿になりました。日本で白菜の栽培が本格的に行われるようになったのは、明治の半ばを過ぎてからです。日清・日露戦争に従軍した農村出身の兵隊たちが、中国大陸で白菜を食べて、その種を日本に持ち帰ったのがきっかけでした。現在、白菜は北海道から沖縄まで幅広く栽培されており、特に生産量が多いのは長野県と茨城県です。2019年の白菜生産ランキングによると、長野県は全国シェアの26.6%、茨城県は同じく26.0%。つまり、日本に流通している白菜の半分以上は、このふたつの県で生産されたものなのです。

1-2.白菜の甘みが増すのは晩秋から冬にかけて

年間を通して市場に出回っている白菜ですが、おいしさが増すのは畑に霜が降りる晩秋から2月ごろにかけてです。凍らないように白菜自らが糖を蓄えるためで、この時期の白菜はサラダにしても自然の甘みをたっぷり味わえます。なお、白菜にはいくつかの品種があり、最も一般的なのは内側の葉が黄色で、頂上部の葉がキュッとまとまっている結球白菜です。そのほか、片手でつかめるほどの大きさのミニ白菜、内側の葉がオレンジ色のオレンジ白菜も最近では人気を集めています。頂上部の葉が開いている長崎白菜、チンゲン菜のように濃い緑色の葉が重なっている広島菜など、地域の特産となっている白菜も流通しています。

2.低糖質の白菜は糖質制限中でも安心

自然の甘みあふれる冬の白菜ですが、糖質量はぐっと少なめ。血糖値や体重のコントロールのために、糖質制限をしている人でも安心して食べられます。

2-1.白菜の糖質量とカロリーはどれくらい?

白菜1玉の重さは約2000gで、糖質量は38g、カロリーは280kcalあります。とはいえ、実際にそれだけの量の白菜を1日で食べることはまずないでしょう。そもそも、野菜の摂取量の目標値は1日350gで、そのうち白菜のような淡色野菜は230g食べることがすすめられています。キャベツ、玉ネギ、ゴボウ、レンコンなどその他の淡色野菜も食べることを考えると、白菜を食べる量は多くても1日200gで十分でしょう。大きめの白菜の葉2枚でそれだけの分量になります。この白菜200gの糖質量は3.8g、カロリーは28kcalしかありません。しかも、先にあげたほかの淡色野菜とくらべても、白菜は明らかに低糖質。糖質制限中に食べる野菜としては理想的です。

・主な淡色野菜の糖質量(100g中)

白菜 1.9g

大根 2.7g

カブ 3.1g

キャベツ 3.4g

玉ネギ 7.2g

ゴボウ 9.7g

レンコン 13.5g

2-2.人気の白菜料理の糖質量をチェック

糖質制限を行う際は、1食で摂る糖質の量を20~40gにすることが目安となります。白菜はもともと低糖質なので、ほかの食材や調味料と合わせて調理しても、糖質量はさほど多くなりません。豚肉と合わせたボリュームたっぷりの鍋料理でも、1人前の糖質量は約10gほどです。なお、あまり神経質になることはありませんが、白菜の漬けものの場合、浅漬けよりもキムチの方が一般に糖質量は多くなります。漬け込み液にくだものや砂糖が使われていることが多いからです。

・主な白菜料理の糖質量(1人前)

白菜の浅漬け(30g) 0.5g

キムチ(30g) 1.6g

白菜とツナのサラダ 3.5g

白菜と油揚げの炊き上げ 4.9g

白菜と鶏肉のクリーム煮 5.6g

白菜と豚バラ肉の鍋 9.7g

3.血糖コントロールにも注目!白菜に含まれている主な栄養素

さっぱりとクセのない味わいながらも、白菜に含まれる栄養素は豊富かつバランスがよいことが特徴。血糖値を整えるために役立つミネラルの補給にも適しています。

3-1.ビタミンC

皮膚や血管を構成するコラーゲンの生成を助けることが、ビタミンCの大きな役割のひとつ。活性酸素による体内の酸化(細胞がサビついて老化すること)を防ぐ作用もあり、全身の組織の若々しさを守ってくれます。また、ビタミンCはウイルスや細菌を排除する白血球などの免疫細胞にも含まれています。そのため、ビタミンCを十分に補給することが、体内の免疫システムの調節に役立つと考えられています。

3-2.ビタミンK

ビタミンKは健康な骨を維持するために大切な栄養素。骨の材料であるカルシウムの沈着を助けるほか、カルシウムが骨から溶け出て、血液中に漏れることを抑える作用もあります。特に女性の場合、加齢とともに女性ホルモンの分泌量が減ると、カルシウムが骨から溶け出す量が増えていく傾向にあります。そのため、日ごろの食事でカルシウムと合わせて、ビタミンKを積極的に摂取することがすすめられています。

3-3.カリウム

カリウムは細胞内の水分量を調節するミネラルであり、さらに血液中に水分を呼び込むナトリウムの排泄にも働きます。その結果、血液の水分量が適正に保たれると、血圧のコントロールにもつながることになります。

3-4.亜鉛

血糖値をコントロールするためには、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが不可欠。インスリンは筋肉などの細胞に血糖を届けて、エネルギーとして消費されるように促します。それによって血糖値が調節されるわけです。白菜に含まれている亜鉛は、このインスリンの重要な構成成分です。すい臓のインスリン分泌をスムーズにするには、亜鉛不足におちいらないことが肝心といえます。

3-5.イソチオシアネート

ファイトケミカルと呼ばれる植物の苦みや辛みの成分は、体内で貴重な働きをすることが昨今注目されています。白菜にはファイトケミカルの一種である、イソチオシアネートが豊富に含まれています。イソチオシアネートはビタミンCと同様、体内の酸化を防ぐ抗酸化作用があり、さらに免疫細胞の数を増やす作用があるとして話題を集めています。

4.栄養素を逃がさない!白菜の上手な選び方・食べ方のコツ

白菜をおいしく食べて、体に必要な栄養素を余さず補給するには、白菜の選び方や食べ方にいくつかポイントがあります。

4-1.表面に浮いている黒点に注意したい

丸ごと1玉の白菜を買うときは、頂上部の葉がしっかりと閉じていて、ずっしりと重みがあるものがおすすめ。緑の外葉がシャキッとしているかどうかもチェックしましょう。なお、白い筋の部分にポツポツと黒点がついている白菜もときに見かけるもの。このように白菜の黒点が目立って浮き出ることをゴマ症といいますが、黒点の正体は色素成分のポリフェノールなので、食べても心配はありません。ただし、ゴマ症は白菜が栽培・保存されている間に受けるストレスから現れるもので、こうした白菜は甘みが落ちているともいわれています。黒点がないか、なるべく少ない白菜を選ぶとともに、ゴマ症の白菜であれば早めに食べきることもすすめられるでしょう。

4-2.カットした白菜を選ぶときは断面を見る

1/2、1/4にカットしてラップに包んだ白菜を選ぶときは、その断面をチェックしてみましょう。白菜はカットしてからも成長を続けるので、時間が経過すると断面の葉が盛り上がり、ラップがふくらんできます。断面が黒ずんでいるものはさらに鮮度が落ちています。逆に断面がピッタリと平らで葉がみずみずしい白菜であれば、カットしてから時間がたっておらず、より新鮮ということです。さらに、内側の葉が先まで白いものより、黄色味を帯びている白菜の方が甘みが強くおいしいといわれています。

4-3.切り方にひと工夫して煮汁までしっかりいただく

鍋ものやシチューの具として白菜を使うときは、5~6cmの食べやすい大きさに切るのが基本。手でちぎると断面がギザギザに増えて、だしなどの風味が浸み込みやすくもなります。また、白菜をサラダにするときは繊維に沿って千切りにすると、シャキッとした歯ごたえが楽しめます。スープの具にするときは、逆に繊維を垂直に断つように千切りにすると口当たりがよくなるでしょう。なお、白菜に含まれているビタミンCやカリウムは水に溶け出す性質があります。そこで、鍋ものや煮込み料理に白菜用いた場合は、汁までしっかりいただくことで、体に役立つ栄養素を丸ごと摂り入れることができます。

5.おいしくて体にいい!白菜の簡単レシピ

白菜料理の栄養バランスを整えるポイントは、白菜にあまり含まれていないタンパク質が豊富な食材と合わせること。タンパク質は体内でコラーゲンの原料となり、白菜のビタミンCがその合成を促すことで体づくりをサポートするという利点もあります。肉類、大豆製品、牛乳などを活用しておいしくいただきましょう。

5-1.白菜と豚肉のミルフィーユ鍋

・材料(4人分)

白菜…1/2玉(約1000g)

豚バラ肉の薄切り…300g

顆粒だし…大さじ2

水…1200ml

しょう油…大さじ2

塩…小さじ1/2

薬味(白髪ねぎ、小ねぎの小口切り、ショウガの千切りなど)…適量

・作り方

①水、しょう油、塩を混ぜ合わせて容器に取っておく

②白菜の葉をはがして、豚肉と交互に4~5回重ねてから5cm幅に切り、鍋のふちに沿って縦に敷きつめる。

③2を3~4回繰り返して鍋いっぱいに敷きつめたら、顆粒だしを全体に振って、1を加えて火にかける

④沸騰したらふたをして、豚肉に火が通ったらできあがり。好みで薬味を全体に散らす

・ここがポイント!

豚肉をはじめ肉類は全体に糖質量が少なく、糖質制限中でも控える必要はありません。汁までいただくことで、白菜のビタミンCやカリウムを余さず補給できます。ただし、鍋のシメとして雑炊、うどんなどを入れて食べると、糖質摂取量がはね上がってしまうので要注意です。なお、白菜、豚肉の量は鍋の大きさに合わせて調節してください。

5-2.白菜のゴマクリーム煮

・材料(4人分)

白菜…400~500g

チーマージャン(白ゴマをすりつぶし、油で溶いて伸ばしたもの)…大さじ3

砂糖小さじ1

塩…小さじ1

コショウ…少々

牛乳…180cc

鶏がらスープ…1と1/2カップ

水溶き片栗粉…片栗粉大さじ1、水大さじ1

・作り方

①白菜は熱湯でサッと茹でて、幅3cm、長さ7cmほどに切り、鍋に入れて鶏がらスープで柔らかくなるまで煮る

②チーマージャン、砂糖、塩をボウルに取って、1の鶏がらスープを適量加えて伸ばしておく

③1に牛乳を加え、2を加えてコショウを振り、水溶き片栗粉を加えてひと煮たちさせたらできあがり

・ここがポイント!

白菜は消化がよい野菜で、温めた牛乳とともに胃腸にやさしい一品です。牛乳180mlの糖質量は約8.6gで、この程度なら糖質の摂取オーバーを気にする必要はありません。また、牛乳に豊富なカルシウムは、白菜に含まれているビタミンKの働きによって骨への沈着が手助けされます。

5-3.白菜と油揚げの炊き上げ

・材料(4人分)

白菜…400~500g

油揚げ…1/2枚

水…400cc

顆粒だし…小さじ1

酒…大さじ2

薄口しょう油…大さじ2

・作り方

①白菜はひと口大に切り、水でサッと洗ってザルに上げておく。油揚げは2cm幅に切る。

②鍋に水、顆粒だし、酒、薄口しょう油を入れて煮立たせる

③2に白菜と油揚げを入れて、しんなりするまで煮たらふたをして、弱火で5分ほど煮てできあがり

・ここがポイント!

大豆食品である油揚げはタンパク質の補給に役立つとともに、糖質量は0g。糖質制限中のおかずとして最適の食材です。なお、ひと手間加えて油揚げをまずお湯で軽く煮て、油抜きをしておくと味が浸み込みやすくなります。

6.まとめ

糖質量が少なく、ビタミンCや亜鉛など貴重な栄養素を摂り入れることができる白菜。血糖値や体重のコントロールを助ける意味でも、毎日の料理に幅広く活用したいものです。