食後の眠気は血糖値スパイク?今すぐできる対策5選

女性がラップトップの前で眠そうにうなだれている

「ランチのあと、どうしても眠くなって仕事に集中できない…」そんな悩みを感じているあなたへ。本記事では、食後の強い眠気の正体である「血糖値スパイク」に着目し、そのメカニズムから日常でできる予防法まで、誰でも始められる5つの対策を詳しく解説します。今日から早速、眠気知らずの生活を始めましょう!

1. 食後のひどい眠気の原因は血糖値スパイクかも。

多くの人が経験したことのある食後の眠気。夜しっかり寝たはずなのに、どうして食べた後はあんなに眠くなるのでしょうか?ここでは、そんな気になる眠気の原因を解説します!

1-1. 食後の眠気の原因は、血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」

食後に強い眠気を感じる場合、血糖値の急上昇が起きていることが考えられます。血糖値とは、「血液の中にどれぐらい糖分があるのか」を表す数値です。私たちがご飯を食べると、糖分が吸収されて、血糖値が上昇します。吸収された糖分は、血液によってカラダのさまざまな場所へ運ばれて、エネルギーとして使われます。これは私たちが生きていくための大切なメカニズムです。

糖代謝の流れを説明した図

血糖値は、食事のリズムによって、1日の中で穏やかに上がったり下がったりします。これ自体は、カラダの仕組みなので問題ないのですが、短時間で血糖値がぐっと上がるような、急上昇がおきてしまうと、悪い影響がでてきます。これが「血糖値スパイク」と呼ばれる現象です。血糖値のグラフが、食後にトゲ(スパイク)のように急上昇することからこの名がついています。

三井住友海上あいおい生命保険株式会社 「血糖値スパイク」

1-2.「血糖値スパイク」の恐ろしさは、血糖値の急上昇と急効果

そしてこの血糖値スパイクの恐ろしいところは、血糖値が急上昇したそのあと、今度は逆に血糖値の急降下が起きて、ジェットコースターのように上がったり下がったりを繰り返してしまうことです。このときに私たちはひどい眠気に襲われます。人によっては身体に強いだるさを感じて、食後はぐったり。しばらく動けないほどの影響を受けることがあります。なぜ血糖値スパイクによって眠気が生じるのかは、正確には明らかになっていないようですが、少なくともこの血糖値の乱高下が起きると、私たちは「強い眠気」に襲われることが分かっています。

2. 食後の眠気を防ぐ5つの方法

食後の眠気の原因が、「血糖値スパイク」であることは分かりました。では、眠気を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか?そうです!「血糖値スパイクを防ぐ」ことで、食後の眠気を防ぐことができます。食後もしっかりと集中できるように、ここからは、血糖値スパイクの防ぎ方について、順番に解説していきます。

2-1. 食べ方を調整して血糖値の急上昇を防ごう!

繰り返しになりますが、食後の眠気対策の基本は、血糖値の急上昇を防ぐことです。これから、生活の中で簡単にできる工夫をいくつかご紹介します。いずれも今日からすぐに実践できる、簡単な方法です。それらを組み合わせることで、しっかりと食後の血糖値対策ができるのです。

2-1-1. よく噛んでゆっくり食べる

「30回噛みましょう」と聞いたことないでしょうか。一口ごとによく噛んで時間をかけて食べることにより、糖の吸収が穏やかになり、血糖値の急上昇が起こりにくくなります。

2-1-2. 野菜から食べる

食事のときは「野菜から食べ」ましょう。野菜に含まれる食物繊維は、血糖値の上昇を穏やかにする作用があります。この野菜から食べるという方法は、「ベジタブルファースト」と呼ばれており、食べる順番を変えるだけという手軽さから、すぐに取り組むことができる方法です。外食するときには、必ずサラダもセットにして野菜から食べるようにしましょう。最近はコンビニでも、カット野菜が買えますので、毎食に取り入れることができます。

2-1-3. 血糖値を上げにくい低GIのものを食べよう

玄米の入った器

3つ目は、血糖値を上げにくい低GI値の食品を食べるようにすることです。GI値のGIとはグリセミック・インデックスの略で、「その食べ物がどれぐらい血糖値を上げやすいのか」を表す数値です。Maxは100で、数字が高ければ高いほど、血糖値を上げやすい食べ物となります。一般的には、GIが70以上ものは高GI食品、56~69の間のものは中GI食品、55以下のものは低GI食品と言われます。分かりやすい例でいうと、お米の場合には、白ご飯が88と高GIなのにたいして、玄米は55と中GIになります。パンも精製された小麦で作られた普通の食パンなどではなく、全粒粉を使ったパンの方が、血糖値が上がりません。

低GI(55以下) 中GI(56~69) 高GI(70以上)
穀類 そば、スパゲッティ、押し麦、春雨 玄米、コーンフレーク 白米、パン、餅、せんべい、お粥、赤飯、バターライス
果物 リンゴ、イチゴ、メロン、グレープフルーツ、ミカン パイナップル、柿、ブドウ 果物ジャム、缶詰
野菜 葉物野菜、ブロッコリー、ピーマン、キノコ類 さつまいも じゃがいも、里いも、長いも、人参
乳製品 牛乳、チーズ、ヨーグルト、バター アイスクリーム 練乳

出典:山梨県厚生連

2-1-4. ダラダラ食いをやめる

箸置きに箸が置かれている

ゆっくり食べることはお勧めしますが、食事と食事の間の時間をしっかりと空けることも重要です。お腹の中を空にすることで、胃腸の負担も軽減されて、体はリズムをとることができます。ダラダラとお菓子や間食を続けていると、胃腸の中には常に何かが入っていて、常に血糖値が上昇しやすい状況にもなってしまいます。きちっとしたリズムを取り戻すことが大切なので、間食などは控えましょう。

2-1-5. 食べ終わったら、散歩など軽い運動をする

ウォーキングしている様子

そして最後は、「食べ終わった後に軽い運動をする」です。この軽い運動は、例えば散歩など本当に軽い運動で大丈夫です。食べた後すぐに軽くカラダを使うことで、筋肉で糖が消費されて、血糖値が上がりにくくなります。お家にいるときは、掃除機をかけたり、お皿洗いをするなどでも大丈夫です。おススメの方法としては、家の近所のお店で外食して、歩いて帰るようにすると自然に、血糖値の上がりにくい生活スタイルになります。

3. あまりにひどい場合は、疾病の疑いあり!

ここまで、血糖値スパイクによる食後の眠気のメカニズムと、対策についてご紹介してきました。簡単な工夫で血糖値の上昇を穏やかにすることができると、ご理解いただけたと思います。ですが、もしこれらを実践しても、抗いようのないほど強い眠気を、長期にわたって感じる場合には、糖尿病などの疾病の可能性もでてきます。

3-1. 水をたくさん飲む、体がだるいなどの症状があるときは要注意!

糖尿病とは、血糖値が正常な範囲を超えて高い状態が、続いてしまう病気です。糖尿病になると、血液の中に糖が増えすぎて、血管を傷つけるなど、健康へのリスクが高まります。耐え難い眠気もその症状の一つですが、他にも以下のような症状が起きていないか、確認してみてください。

・強烈な喉の渇きが治まらず、とにかく水をたくさん飲む

・猛烈な体のだるさを感じる

・手や足のしびれ

血糖値

3-2. 思い当たることがあれば、内科を受診しましょう

もしこれらの症状など当てはまっている場合は、疾病の可能性があります。心配がある時には、早めにお医者様へ相談し、きちっとした検査を受けることが大切です。自覚症状が少ないケースもありますので、早めの対策が重要です。

検査表と聴診器

4. まとめ

今回は、食後の眠気、その原因と解決策をご紹介しました。ポイントは、いかに血糖値の急上昇を防ぐかです。まずは日々の生活の中での行動を少し変えてみましょう。

・よく噛んでゆっくり食べる

・野菜から食べる

・血糖値を上げにくい低GI食品を食べる

・ダラダラ食べない

・食べ終わったら散歩など軽い運動をする

でした。ぜひそれぞれの工夫を習慣化して、心も血糖値も穏やかな生活を、元気にお過ごしください。