あまり眠れなかったと感じる場合、体内で血糖値の変動が起きている可能性があります。
食事や運動には気をつけていても、睡眠の質と時間を見落としてしまうケースは意外に多いです。
睡眠時間と2型糖尿病の発症リスクには強い相関関係があり、睡眠時間は短すぎても長すぎても糖尿病発症リスクが上昇します。
この記事では、睡眠習慣と血糖値の関係性について解説します。
この記事でわかること
- 睡眠時間と2型糖尿病発症リスクの関係および適切な睡眠時間の目安
- 不眠やいびき、夜勤などの睡眠の乱れが血糖管理に影響を与える
- 仕事や家事など多忙な生活の中で睡眠時間を適切に保つ具体的な方法
- 睡眠改善の方法と継続のためのポイント
今回の記事を参考にして、糖尿病リスクを軽減できる適切な睡眠を確保しましょう。
睡眠時間の過不足が血糖管理の乱れと糖尿病リスクにつながる
食事と運動が生活習慣病予防の王道として語られる一方、睡眠の重要性は知られていない要素の1つです。
日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024では、睡眠時間と2型糖尿病の発症リスクに関する疫学的な知見が示されています。
参照元:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第21章 2型糖尿病の発症予防
特に日本人は国際的に見ても睡眠時間が短い傾向があり、日常的にリスクにさらされている可能性が指摘されています。
参照元:厚生労働省「解説書 良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」
睡眠時間と血糖管理の関係性について、以下の2点を通して解説します。
- 睡眠時間と糖尿病リスクにはU字型の関係がある
- 質の良い睡眠の確保は代謝機能を正常に保つために重要な要素
高血糖に悩む人は、食事や運動に加えて睡眠時間についても意識して、改善に取り組んでみましょう。
睡眠時間と糖尿病リスクにはU字型の関係がある

日本糖尿病学会のガイドラインによると、睡眠時間と2型糖尿病の発症リスクにはU字型の関係があるとされています。
7〜8時間の睡眠でリスクが最も低く、それより短くても長くても発症リスクが上昇する傾向があると示されています。
特に、短時間睡眠は現在の日本人の生活習慣において問題視されている課題です。
仕事や家事に追われ、十分な睡眠が確保できていない日本人が多いという現実があります。
1時間を超える昼寝が将来の血糖管理と糖尿病リスクに影響を与える
日本糖尿病学会のガイドラインでは、昼寝の時間と2型糖尿病リスクの関係が示されています。
1日1時間以上の昼寝を習慣としている場合、糖尿病の発症リスクが上昇するとされています。
さらに、昼寝は血糖管理への悪影響のみでなく、毎日の生活リズムの悪化につながる点も押さえておきたいポイントです。
昼寝は疲労回復に有用な側面がある一方で、1時間を超える長時間の習慣的な昼寝は、夜間の睡眠に悪い影響を与えます。
質の良い睡眠の確保は代謝機能を正常に保つために重要な要素

睡眠時間の長さだけでなく、睡眠の質も代謝機能の維持に関与します。
人間の体内では、眠りが深い間に成長ホルモンの分泌や組織の修復が行われています。
成長ホルモンの分泌や組織の修復は、インスリンの感受性に影響を与えるため、血糖管理においても重要な要素です。
睡眠の質が低下すると、同じ時間横になっていても代謝機能における恩恵が十分に得られません。
睡眠の改善を検討する際は、睡眠時間のみでなく睡眠の質に関しても考慮したほうが、代謝の改善および血糖管理に有効です。
慢性的な睡眠不足を解消すると心身の健康を効率的に維持できる
慢性的な睡眠不足は、一度十分に睡眠をとってもすぐに解消されるものではなく、継続的な改善が必要です。
十分な時間かつ質の良い睡眠を継続的に確保すると、2型糖尿病の発症リスクの低減につながると考えられています。
しかし、普段の睡眠時間の短さを改善するためとはいえ、生活スタイルを急激に変えて睡眠時間を増やす方法は難しいでしょう。
会社員の人は、勤務先の就業時間や残業の有無によって生活スタイルが左右されます。
主婦の人も、毎日の家事や育児の時間を大幅に削るわけにもいきません。
仕事や家事にかかる時間や手間を考慮しながら、支障のない範囲で徐々に生活習慣を改善し、睡眠時間を確保してください。
睡眠障害や不規則な生活リズムが糖尿病リスクに影響を与える
糖尿病リスクに影響を与える要因として、睡眠障害や不規則な生活リズムが挙げられます。
不眠症や睡眠時無呼吸症候群、さらには夜型の生活や交替制勤務といった生活リズムのずれなどさまざまな要因が、それぞれ異なる経路でリスクを高めます。
睡眠の時間に気を配るだけでなく、睡眠の質と生活リズムのバランスを総合的に見直して、将来の健康管理につなげましょう。
睡眠および生活リズムと糖尿病リスクの関係性について、以下の2点を通して解説します。
- 不眠症や睡眠時無呼吸が血糖管理に悪影響を与える
- 交替制勤務や夜型生活が体内時計を狂わせて血糖管理に支障を来す
血糖管理を効率よく行うために、睡眠や生活リズムとの関係性について理解を深めてください。
不眠症や睡眠時無呼吸が血糖管理に悪影響を与える

不眠症や睡眠時無呼吸など、睡眠に関するトラブルが血糖管理に悪影響を与えます。
不眠症は、入眠困難や中途覚醒および早朝覚醒や熟眠障害などの症状を発現し、2型糖尿病の発症リスクと強い関連性をもつ病気です。
不眠症に関連する症状を起因とした睡眠の乱れが体重管理に影響を与え、糖尿病リスクにつながります。
睡眠に問題があると感じる場合は、放置せずに専門医に速やかに相談しましょう。
いびきや中途覚醒などで睡眠の質が低下すると糖尿病リスクを高める
いびきや中途覚醒などで、睡眠の質を下げる状態が継続すると、糖尿病リスクが高くなります。
習慣的ないびきや中途覚醒は、睡眠の深さと連続性を損なうため、睡眠の質を低下させる代表的な症状です。
睡眠の質が低下すると、食欲を調節するホルモンのバランスが乱れ、過食や体重増加につながる可能性があります。
体重の増加は2型糖尿病のリスク要因のひとつであり、睡眠の乱れから肥満につながり、糖尿病に陥るケースが多いです。
睡眠時無呼吸症候群に伴う糖尿病リスクの増大を認識する
睡眠障害のうち、睡眠時無呼吸症候群も糖尿病リスクを高める可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり、または呼吸が浅くなったりする状態が頻繁に繰り返し起こる病気のことです。
睡眠時無呼吸症候群に罹患すると、いびきが強くなったり、日中に強い眠気を感じたりするケースが多くなります。
習慣的ないびきや日中の強い眠気がみられる場合は、睡眠中の呼吸停止が疑われるため、早期に専門医の評価を受けるとよいでしょう。
交替制勤務や夜型生活が体内時計を狂わせて血糖管理に支障を来す

交替制勤務などによって夜型生活が慢性化すると、体内時計が狂ってしまい、血糖管理に支障を来してしまう恐れがあります。
体内時計と実際の生活リズムのずれは、代謝機能や血糖調節に影響を与える可能性があります。
就寝時間が深夜に及ぶ習慣や交替制夜勤労働が2型糖尿病の発症リスクと関連するとされているため、生活リズムの乱れによる糖尿病リスクへの留意が必要です。
夜型生活における血糖管理上の問題について、以下の2点を通して解説します。
- 深夜に及ぶ就寝習慣が血糖管理の質を低下させる背景を理解する
- 交代制夜勤のリスク上昇を把握して個々の環境に応じた対策を講じる
夜型生活のリスクを十分に把握して、可能な範囲で生活習慣を改善しましょう。
深夜に及ぶ就寝習慣が血糖管理の質を低下させる背景を理解する
就寝が深夜に及ぶ習慣が血糖管理の質を低下させる背景を理解して、改善する意識をもちましょう。
就寝時間が深夜になっている人は、23時までに就寝している人と比較して、2型糖尿病の発症リスクが高い傾向があります。
これは、人の体内時計と実際の生活リズムのミスマッチが、代謝機能に悪影響を与えているためです。
残業や育児で就寝が遅れる生活が続く場合でも、就寝前のスマートフォン操作を早めに終えて照明を落とすなど、少しでも早く床に就く習慣をつける必要があります。
交代制夜勤のリスク上昇を把握して個々の環境に応じた対策を講じる
交代制夜勤による夜型生活の糖尿病リスクを把握して、個々の環境に応じた対策を講じる必要があります。
交替制夜勤労働者においては、2型糖尿病の発症リスクが上昇する傾向があります。
交替制勤務によって体内時計に不規則性を与えてしまい、代謝機能に悪影響を与える可能性が高いためです。
しかし、夜型生活がリスクのある勤務形態とわかっていても、すぐに変えられない場合も多いでしょう。
理想的な睡眠環境の構築と血糖管理の相関関係を理解しよう

2型糖尿病の予防においては、食事療法と運動療法に加えて、睡眠習慣の最適化が重要な役割を果たす可能性があります。
質の良い睡眠の十分な確保は、2型糖尿病の予防方法として推奨されています。
睡眠の深さや連続性といった質の面における改善も、血糖管理において重要です。
毎日の生活習慣の積み重ねが、将来の血糖管理を支えるうえで欠かせません。
食事や運動と同様、睡眠の血糖管理における重要性について、以下の2点を通して解説します。
- 質の良い睡眠を十分に確保して生活リズムを整える
- 食事や運動と並行して睡眠習慣を最適化し相乗効果を最大限活用する
睡眠を食事および運動と同等の優先事項として位置づけて、血糖管理に臨みましょう。
質の良い睡眠を十分に確保して生活リズムを整える
質の良い睡眠を十分に確保して生活リズムを整えると、血糖管理によい効果があります。
就寝および起床時間を毎日一定に保つ習慣が、体内時計を調整するうえで重要です。
休日に大幅に就寝および起床時間が変わるいわゆる社会的時差ぼけは、体内時計と生活リズムのずれを生じさせてしまいます。
寝だめや平日の睡眠リズムとの差など、休日の睡眠習慣の乱れは代謝機能に影響を与える可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。
睡眠の量と質の両面を高める意識が合併症予防に重要な役割を果たす
睡眠時間の確保のみならず、眠りの深さや途中で目覚めない連続性も血糖管理において重要な要素です。
就寝前のスマートフォン操作や強い光の刺激は睡眠の質を下げる場合があるため、寝室を暗く静かに整えるとよいでしょう。
高血糖を指摘された人は、食事および運動の改善と並行して、睡眠の量や質の改善にも取り組むと効果的です。
食事や運動と並行して睡眠習慣を最適化し相乗効果を最大限活用する

血糖管理を行う際は、食事および運動と並行して、睡眠習慣を最適化すると相乗効果を最大限に高められます。
2型糖尿病の発症予防においては、食事と運動を考慮する必要があります。
参照元:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第2章 糖尿病治療の目標と指針
しかし、食事と運動の効果を高めるためには、睡眠の改善による身体の整備も大切です。
食事や運動、睡眠のいずれか1つを改善するより、3つの要素を組み合わせて取り組むほうが生活習慣全体の質の向上につながります。
例えば、適度な運動は睡眠の質を高める効果も期待できます。
さらに、十分な睡眠は翌日の食事選択や運動への意欲に影響を与える側面もあるでしょう。
スマートデバイスで睡眠データと体調の変化を客観的に把握する
スマートデバイスを用いて、睡眠データと体調の変化を客観的に把握すると、血糖管理に役立ちます。
睡眠の改善に取り組む場合は、自分の睡眠状態を客観的に把握する必要があります。
その際は、スマートウォッチやスマートフォンのアプリなど、スマートデバイスの活用が便利です。
スマートデバイスは、睡眠時間や中途覚醒の回数および睡眠の深さなどを数値として可視化する機能をもっています。
本人はしっかりと眠れたと感じても、実際の睡眠の質が低い場合もあるため、客観的なデータを参考にしながら生活習慣の改善を図ると効果的です。
スマートデバイスの活用による睡眠管理について、以下の3点を通して解説します。
- 睡眠時間や中途覚醒の有無を可視化して生活改善の判断材料とする
- クロノタイプに合わせた最適な休息時間を客観的データで検討する
- 主観に頼らず信頼できる客観的な記録をベースにして体調管理を実施する
スマートデバイスがもつ便利な機能を上手に活用して、効率的に健康管理を行いましょう。
睡眠時間や中途覚醒の有無を可視化して生活改善の判断材料とする

睡眠時間や中途覚醒の有無について、スマートデバイスを用いて可視化し、生活改善の材料として活用しましょう。
スマートデバイスを用いた睡眠の記録は、生活習慣の改善に役に立つ情報を提供します。
就寝や起床時間のみでなく、中途覚醒の回数や深睡眠の割合といったデータを蓄積して管理すると、自身の睡眠の傾向を把握できます。
さらにスマートデバイスで得られた自身の睡眠に関する情報は、主治医と共有できると血糖管理に最大限に活かせるため有用です。
睡眠に関する情報を医師や専門家との相談の場に持参すると、より自分に適したアドバイスが受けられます。
クロノタイプに合わせた最適な休息時間を客観的データで検討する
スマートデバイスを用いて得られた客観的なデータを用いて、クロノタイプに合わせた最適な休息時間の検討ができます。
朝型と夜型では、体内の代謝リズムや最適な睡眠および活動時間帯が異なります。
自分のクロノタイプを把握し、適切な睡眠の仕方を検討するとよいでしょう。
自分に合った時間に睡眠を取ると、質のよい睡眠が確保できる可能性が高いです。
自分のクロノタイプを見極めるため、スマートデバイスを上手に活用してください。
主観に頼らず信頼できる客観的な記録をベースにして体調管理を実施する
睡眠について検討する際は、主観に頼るよりもスマートデバイスのような信頼できる客観的な記録を用いて体調管理をすると効果的です。
睡眠は、主観的な感覚と実際の状態が乖離する場合があります。
慣れてしまうと睡眠不足の状態を正常と認識してしまう傾向があるため、客観的なデータによる定期的な確認が重要です。
スマートデバイスの記録は、一定期間継続する過程で、生活習慣の変化が睡眠に与えた影響を具体的に評価する手段として活用できます。
適切な睡眠習慣により生活の品質を長期にわたり確保しよう

適切な睡眠の習慣化は、将来にわたる生活の品質確保につながります。
血糖管理は、24時間の生活の積み重ねによって実現されており、短期間の生活改善に達成できるものではありません。
食事や運動の対策に加えて睡眠の改善を組み合わせると、生活習慣が全体的に底上げされ、2型糖尿病の発症リスクを抑制できます。
睡眠の改善による生活品質の向上という側面について、以下の2点を通して解説します。
- 地道な睡眠改善の継続は毎日の生活を健やかに過ごす礎となる
- 最新の診療指針を生活に取り入れて自分に合った健康習慣を構築する
自分に合った睡眠習慣を取り入れて、血糖管理を含めた健康な生活を目指してください。
地道な睡眠改善の継続は毎日の生活を健やかに過ごす礎となる
睡眠習慣の改善は、すぐに劇的な変化をもたらすものではありません。
日々の積み重ねによって徐々に体内リズムが整い、代謝機能の安定につながっていきます。
就寝や起床時間を規則正しくしたり、昼寝を短い時間にしたりする、小さな改善の継続が重要です。
小さな改善を継続して実施すると、将来的な健康管理において効果を発揮します。
生活習慣を改善したいからといって、無理をして取り組みを継続できなくなると十分な効果は得られないでしょう。
最新の診療指針を生活に取り入れて自分に合った健康習慣を構築する
医療機関が示す最新の診療指針を生活に取り入れて、自分に合った健康習慣を獲得しましょう。
日本糖尿病学会のガイドラインが示す知見は、最新の科学的根拠に基づいた信頼できる指針です。
睡眠時間や睡眠障害への対応、生活リズムの整え方といった対策を自分の生活に取り入れると、公的指針に基づいた健康管理につながります。
正しい公的指針の内容を生活習慣に取り入れるためには、主治医との相談が欠かせません。
主治医との定期的な対話を通じて、自分の状態に合った適切な睡眠習慣を見つけていくと、医学的に根拠のある効果的な生活習慣が獲得できます。
すぐに始められる日々の睡眠改善の方法を実践しよう

睡眠改善の重要性を理解したものの、自分の生活にどのように落とし込んでいけばよいかわからない人もいるのではないでしょうか。
残業や育児などで睡眠時間が慢性的に不足している人でも、すぐに取り入れられる生活習慣を以下にまとめました。
- 就寝1時間前にスマートフォンの使用を終える
- 就寝時間を現状より30分前倒しする
- 寝室の照明を暗くして室温を快適に整える
- 昼休みなどを利用して15分程度の短時間の昼寝を習慣化する
日々の継続的な小さな取り組みが積み重なって健康な生活の礎となる点を理解し、できるものから始めましょう。
自分に合った適切な睡眠習慣を取り入れて血糖値の管理に努めよう
血糖管理においては、食事や運動に加えて睡眠改善の重要性が注目されています。
睡眠は、短すぎても長すぎても血糖管理に悪影響が及びます。
さらに、睡眠時間に加えて睡眠の質の向上も重要な要素です。
いびきや中途覚醒などに伴う睡眠の質の低下が、代謝に悪影響を与えます。
深夜勤務に従事している人など、急に生活環境を変えられない場合もあるため、自分の生活に合った睡眠習慣の改善に少しずつ取り組んでいきましょう。
健康習慣の確立は、一朝一夕でできるものではありません。
30分前倒しの就寝やスマートフォンの利用を早めに終えるなど、自分にできる部分から少しずつ継続して取り組んでみてください。
