40代以上の男性のなかには、健康診断などで以前よりも内臓脂肪に関する指摘を受ける回数が増えたと感じる人もいるでしょう。
内臓脂肪は肥満の原因になるだけでなく、内臓脂肪の蓄積による悪影響からほかの傷病につながる可能性もあります。
この記事では、40代以上の男性が該当する内臓脂肪型肥満や、意識しておきたい糖尿病の発症リスクなどをまとめました。
この記事でわかること
- 40〜50代の肥満男性のうち、84%が内臓脂肪型肥満に該当する
- 内臓脂肪の蓄積はインスリン抵抗性を高めて糖尿病リスクを高める
- 40歳~74歳の男性の約3割は内臓脂肪型肥満を包括するメタボが強く疑われる
- 内臓脂肪型肥満の改善は個人ごとの目標体重を設定して減量を目指す
- 毎日の食事管理や運動時間の確保から減量する
- 内臓脂肪面積の把握や具体的な改善策は病院で検査を受けてから専門家と相談する
健康診断の結果や腹囲の大きさが気になる40代以上の男性は、生活習慣を見直すきっかけとして、参考にしてください。
40代以上の男性は内臓脂肪型肥満に該当する可能性が高い

40代以上の男性は、生活習慣の乱れや加齢による代謝の低下から、内臓脂肪型肥満に該当する可能性が高いとされています。
内臓脂肪型肥満は、腹部の臓器周辺に脂肪が蓄積された状態です。
判断基準としては、腹部CTで測定した内臓脂肪面積が100cm²以上が目安として用いられています。
日本肥満症予防協会の啓発調査では、40〜50代の肥満男性のうち内臓脂肪面積が100㎠以上の人は、84%にのぼると報告されています。
参照:内臓脂肪型肥満と生活習慣に関する啓発調査-一般社団法人日本肥満症予防協会
内臓脂肪の蓄積によるインスリン抵抗性が糖尿病の発症リスクを高める
内臓脂肪が蓄積している場合、血糖値を下げるインスリンに抵抗性が生じて、高血糖からの糖尿病のリスクを高める可能性があります。
糖尿病診療ガイドライン2024では、肥満を伴う2型糖尿病の基盤病態として、内臓脂肪型肥満によるインスリン抵抗性が関与すると説明されています。
インスリン抵抗性が生じた場合、正常なときよりもインスリンを多く分泌する必要があります。
多量分泌を繰り返すとすい臓が疲弊して、インスリンを十分に分泌できず、血糖値を下げきれないまま高血糖や糖尿病に発展します。
参照:糖尿病診療ガイドライン2024 第3章 食事療法-日本糖尿病学会
40代以上の男性で内臓脂肪型肥満の人はメタボと診断される可能性も高い

40代以上の男性で内臓脂肪型肥満の人は、メタボリックシンドローム(メタボ)と診断される可能性も高い状態です。
厚生労働省の令和5年度におけるメタボに関する調査では、以下のような結果が出ています。
- 40歳~74歳の男性でメタボが強く疑われる割合は約3割
- 予備群を含めると、2人に1人がメタボに該当する
メタボは、腹部CTで測った内臓脂肪面積が100cm²以上の状態を前提として、以下の3項目から2項目以上該当したときに診断されます。
具体的な基準値は、以下のとおりです。
| 項目 | 基準値 |
|---|---|
| 血圧 | 収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上 |
| 血糖値 | 空腹時血糖値110mg/dL以上 |
| 脂質 | 中性脂肪150mg/dL以上、もしくは善玉コレステロールが40mg/dL未満 |
内臓脂肪型肥満を判断する腹部CTに加えて、血圧と血糖値、脂質も血液検査や尿検査から数値を判定します。
糖尿病は血糖値やHbA1cの数値を測定して治療や再検査を判断する
内臓脂肪型肥満で発症リスクが高まる糖尿病については、メタボとは別に血糖値やHbA1cの数値から判断していきます。
糖尿病診療ガイドライン2024における糖尿病型、および医療機関の精査が推奨される数値は、以下のとおりです。
| 項目 | 糖尿病型 | 医療機関の精査が推奨される数値 |
|---|---|---|
| 空腹時血糖値 | 126mg/dL以上 | 110〜125mg/dL |
| 随時血糖値 | 200mg/dL以上 | 140〜199mg/dL |
| 75g OGTT 2時間値 | 200mg/dL以上 | – |
| HbA1c | 6.5%以上 | 6.0〜6.4%(明らかな糖尿病症状を除く) |
上記の血糖値やHbA1cのいずれか1項目でも糖尿病型に該当すると、異常の原因が糖尿病であると確定するための2回目の検査が行われます。
2回目の検査でも糖尿病が確定できない場合は、3〜6か月の間隔で反復検査して経過を観察します。
糖尿病型に当てはまらない場合でも、空腹時血糖値やHbA1cが高めの結果が出た人は、医療機関で精査が必要です。
1回目の測定が偶然低かっただけで、既に糖尿病が進行している可能性があります。
参照:糖尿病診療ガイドライン2024 第1章 糖尿病診断の指針-日本糖尿病学会
内臓脂肪型肥満を改善する際は短期間の目標体重を設定する

内臓脂肪型肥満を改善する際は、短期間で達成できる目標体重を設定して、少しずつ体重を減らしていきます。
糖尿病および肥満関連のガイドラインにおける、肥満に伴う健康障害の改善を目的とした短期目標の基準は、以下のとおりです。
| 対象 | 短期目標 |
|---|---|
| 下記に当てはまらない肥満の人 | 現体重の3〜5%の減量 |
| 高度肥満や複数の健康障害を抱える症例を持つ人 | 現体重の5〜10%以上の減量 |
短期目標の基準はあくまで目安であり、実際に減らすべき体重は、医師や管理栄養士と相談して決定します。
目標体重の達成の有無にかかわらず、一定期間が経過するたびに相談を繰り返して、個人に合う減少ペースを見つけていきます。
参照:かかりつけ医のための糖尿病管理 2024年版-日本医師会、肥満症診療ガイドライン2022-日本肥満学会
毎日の食事は自分に必要な量の栄養素を調整しながら摂取する
内臓脂肪を減らすために毎日の食事を改善する際は、極端な摂取制限よりも、自分に必要な量の栄養素を調整しながら摂取していきます。
糖尿病診療ガイドライン2024では、過体重や肥満を伴う2型糖尿病に対して、エネルギー摂取量の制限が推奨されています。
ただし、糖尿病を発症する前の段階では、必ずしもエネルギー摂取の制限が必要になるとは限りません。
脂質や炭水化物も身体に必要な栄養素であるため、極端に摂取を制限すると、かえって症状を悪化させる可能性があります。
参照:糖尿病診療ガイドライン2024 3章 食事療法-日本糖尿病学会
内臓脂肪を減らすための運動は無理なく継続できる内容にする

内臓脂肪を減らすために運動を取り入れる際は、自分が無理なく継続できる運動量や運動時間で行います。
糖尿病関連のガイドラインでは、有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせた運動が推奨されています。
有酸素運動は、ウォーキングやランニングをはじめとした酸素を使いながら行う運動です。
運動時のエネルギー消費に脂肪を燃焼させる効果があり、毎日継続できると、食事で摂取した脂質も効率的に消費できます。
一方、レジスタンス運動は、自重トレーニングやスクワットをはじめとした筋肉に抵抗をかける運動です。
筋肉が鍛えられると基礎代謝が上昇して、運動していないときも代謝により脂質をエネルギーとして消費します。
筋力も毎日継続して維持できると、代謝を保ってリバウンドの防止につながるため、無理のない範囲で2つの運動を取り入れてみましょう。
参照元:高血圧の人を対象にした運動プログラム – 厚生労働省、身体活動・運動 – 厚生労働省
持病や体質から内臓脂肪型肥満の改善が難しい場合は投薬治療も検討される
持病や体質が原因で内臓脂肪型肥満の改善が難しい場合は、投薬による治療も検討されます。
食事や運動を改善しても、肥満以外の傷病や先天的な体質から、一般的な人よりも内臓脂肪が減らない人はいます。
根本的な難しい状態である場合は、肥満症治療薬による治療が必要です。
糖尿病および肥満関連のガイドラインでも、食事や運動などの生活習慣の介入で十分な改善が得られない場合は、薬物療法を推奨しています。
参照:糖尿病診療ガイドライン2024 13章-日本糖尿病学会、肥満症診療ガイドライン2022-日本肥満学会
個人に合わせた改善内容を設定するために病院の検査や診断を受ける
内臓脂肪型肥満を改善する際は、個人に合わせた改善内容を設定するために、必ず病院の検査や診断を受けてください。
血圧は自宅でも測定できますが、内臓脂肪面積や血糖値を詳しく把握するには、基本的に病院の検査が必要です。
健康診断は簡易的な検査で行われる場合もあるため、病院でより正確な数値や状態を把握したほうが症状の悪化を防げます。
食事や運動などの生活習慣も大きく改善する場合は、医師や管理栄養士といった専門家の意見を聞きましょう。
内臓脂肪の状態を把握して糖尿病やメタボを発症しないように改善する

40代以上の男性は内臓脂肪型肥満に該当する可能性が高く、内臓脂肪の蓄積から糖尿病やメタボを発症する可能性があります。
健康診断などで内臓脂肪型肥満と指摘された場合は、食事や運動から状態を改善していきましょう。
内臓脂肪型肥満の改善は短期間の目標体重を設定して、一定期間経過後に医師や管理栄養士と相談しながら減量を目指していきます。
ただし、ほかの持病や体質の影響から生活習慣の見直しのみで改善が難しいときは、投薬治療が必要です。
