ロカボとは、緩やかな糖質制限のことです。
2021年に江崎グリコ株式会社が行った調査では、約2人に1人がロカボという言葉を知っていると回答しました。
それでも、正しく理解しているのはそのうちのわずか約15%にとどまっています。
この記事では、世間から注目されているロカボについて詳しく解説します。
この記事でわかること
- 1日合計70〜130g を目安とする緩やかな糖質制限である
- ロカボは一般的な糖質制限と異なる
- ロカボは体脂肪の減少だけでなく、多くの健康効果がある
- 主食の見直しから始める
- 気軽な置き換え食や簡単な献立も多数ある
ロカボという言葉が気になる人、健康な身体で長く過ごしたい人はぜひ最後までご覧ください。
参照元:【2021年全国一斉『ロカボ』実態調査】-江崎グリコ株式会社
目次
ロカボという食事の考え方は継続が可能な糖質制限である
ロカボは、一般社団法人食・楽・健康協会が提唱する食事法で、英語のLowCarbohydrateに由来します。
日本独自の造語であり、海外では一般的に使われていません。
厳しい制限ではなく、1食あたりの糖質20〜40g、間食10g以内とした1日合計70〜130gを目安とする緩やかな糖質制限が特徴です。
厚生労働省が推定する最低必要糖質は約100g/日であり、これに近い範囲で健康的な調整を目指しています。
極端な糖質制限と区別され、無理のない糖質管理によって、健康的な身体を目指す方法です。
ロカボは一般的な糖質制限と違い健康的な方法である
ロカボと糖質制限はどちらも糖質を控える食事法ではあるものの、その厳格さに明確な違いがあります。
一般的な糖質制限は、目的や手法によってはかなり厳しく、医師の指導なしには継続が難しい食事療法です。
特に世界的に行われているケトジェニックダイエットは、1日あたりの糖質を20g以下に抑えるなど非常に厳しい制限を課します。
主食を完全に断つなど、急激な血糖値の調整や短期間での減量を目的とした方法です。
この方法は、体質や体調に影響がみられます。
それに対してロカボは、適度な糖質摂取を推奨します。
極端な糖質制限ではなく、主食や甘味も量を調整すると摂取してもよいとする柔軟な考え方です。
そのため、ロカボは継続的な実践ができる上に、生活習慣病の予防やダイエットに役立ちます。
参照元:いわゆるダイエット用健康食品による健康被害の防止に当たっての留意点について-厚生労働省
ロカボを実践すると多くの健康効果をもたらす
ロカボを実践すると、主に以下のような効果が期待できます。
-
- 体脂肪の減少
- 生活習慣病の予防
- 血糖値の改善
- 精神面の安定、集中力の向上
- 老化予防
糖質の摂取を抑えると、インスリンの分泌は穏やかになります。
インスリンは、脂肪の蓄積を促すホルモンです。
その分泌が減ると脂肪の蓄積も抑制され、体脂肪が減少し体重も減少します。
ロカボは糖質制限に比べて小さなストレスで続けられるため、リバウンドの防止にもつながるのです。
糖質の摂取を抑えると血糖値の急上昇を防ぎ、空腹感の制御ができるようになり、間食や過食を防ぐ効果もあります。
さらに内臓脂肪や血圧、中性脂肪などの指標も改善します。
それにより、予防できるのが生活習慣病です。
医療現場では、血糖値の改善も実証されています。
2型糖尿病患者にロカボ食を指導したところ、過去数か月間の血糖値の指標であるHbA1cが半年で改善し、その後も3年間にわたって効果が維持されたとの報告があります。
さらに健常者においても、食後の高血糖を防ぐと血管への負担が減り、これにより予防できるのが動脈硬化です。
さらに血糖値が安定すると、精神面の安定や集中力の向上にも寄与します。
血糖値の急変化で引き起こされる倦怠感や落ち着きのなさが軽減され、日常生活の質が向上したと感じる人も多いです。
ロカボは老化予防にも、効果が期待できます。
糖質を摂りすぎると、体内で糖化という反応が起こり、AGEsと呼ばれる老化物質が生成されます。
この老化物質がしみやしわ、たるみなど肌の老化の原因です。
糖質の摂取量を抑えると、肌だけでなく、血管や脳の若さも保つ助けになります。
ロカボは主食の見直しから始める
ロカボを始めるには、初めに主食の見直しから始めましょう。
白米やパンの量を減らして、代わりに玄米や全粒粉パンなどを選びます。
さらに、お菓子やジュースといった間食の見直しも重要です。
間食やデザートには糖質の少ないナッツ類やチーズ、糖質制限のお菓子を活用します。
たんぱく質や脂質はしっかり摂ってよいのが、ロカボの特徴です。
肉や魚、大豆製品などを積極的に取り入れ、栄養の偏りを防ぎます。
野菜も、根菜類を控えめにして葉物野菜やきのこ類を中心に摂取します。
最後に、食品表示を確認する習慣をつけ、糖質量を意識した選択が大切です。
最近ではスーパーやコンビニなどでも、商品にロカボマークが付いています。
買い物のときにこのマークを目印にすると、ロカボ初心者でも気軽に商品を選べます。
無理のないように続けるために、楽しみながらの取り組みが成功の鍵です。
ロカボは正しい知識で実践する必要がある
ロカボ食は健康的な糖質制限を目指す食事法であるものの、実践する上でいくつかの留意点やデメリットがあります。
初めに、極端な糖質カットはロカボの本来の目的と異なり、身体を動かす力が不足し体調不良の原因になります。
糖質は脳や筋肉の重要なエネルギー源であるため、必要最低限の摂取は必要です。
次に、糖質を減らすとたんぱく質や脂質が増える傾向にあるため、腎臓や肝臓に負担がかかる場合があります。
特に持病のある人は、医師と相談しながら実践してください。
さらに食物繊維が不足する傾向にあり、便秘になる可能性があります。
野菜や海藻、きのこ類などをしっかり取り入れ、栄養の偏りを防ぎましょう。
加えて加工食品の中には糖質が制限されていても、商品によっては添加物や脂質が多く含まれる場合があります。
食品表示をよく見て、内容を見極める力が必要となります。
参照元:極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険?日本人に適した食事スタイルは?8万人超を調査-一般社団法人日本肥満症予防協会
ロカボは食材の選択や簡単レシピで継続ができる
ロカボ食を実践するには、糖質を抑えつつ栄養価の高い食材の上手な選択が重要です。
主食の代替には、以下が便利になります。
-
- ブラン使用などの糖質制限パン
- こんにゃく麺
- カリフラワーライス
たんぱく源としては、以下が適しています。
-
- 鶏むね肉
- 豚ロース
- 豆腐
- 納豆
- 卵
- チーズ
- 魚介類
さらに副菜を選ぶ中でも、糖質の少ないものは以下です。
-
- 葉物野菜(ほうれん草、レタス)
- ブロッコリー
- アボカド
- きのこ類
- 海藻
ロカボ向けとして、以下のような献立が手軽に作れます。
1.豆腐グラタン
水切りした木綿豆腐に、チーズとツナをのせて焼く。
2.鶏むね肉のピカタ
卵と粉チーズを衣にして、鶏胸肉を焼く。
3.カリフラワー炒飯
ご飯の代わりに刻んだカリフラワーを使用し、卵や野菜と炒める。
4.おからパンケーキ
おからパウダーと卵、豆乳を混ぜて焼く。
これらの食材と献立を活用すると、おいしくロカボを続けられます。
参照元:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年-文部科学省
ロカボは気軽に生活に取り入れられる方法である
ロカボは、無理をしないで続けられる健康的な食事法とされています。
その理由は、糖質を極端に制限するのではなく、適正糖質の考え方に基づいているためです。
この範囲では主食を完全に抜く必要がなく、食の楽しみも失いません。
日本糖尿病学会も糖質制限を短期間の血糖管理の手段として一定の評価をしており、医師の指導のもとでは生活習慣病の予防にも効果があるとされています。
総じてロカボは制限ではなく、選択の食事法です。
楽しみながら継続できる点で、健康的な生活習慣の一部として取り入れられます。
自分の生活習慣に合わせたロカボの実践によって、健康目標の達成が可能となります。
参照元:糖尿病センター《ゆるやかな糖質制限食=ロカボ》で効果的でおいしく楽しい食事療法を糖尿病センター長山田悟-北里大学北里研究センター