見た目が太っていなくても、お腹の中に内臓脂肪が溜まる状態があるとされています。
体重計の数字や鏡の前の印象では、その量までは分かりません。
健診の結果票では、腹囲だけでなく血圧や血糖、脂質の欄もあわせて見ます。
- BMIが25未満でもメタボリックシンドロームと診断される場合がある
- 内臓につく型と皮下につく型では脂肪の溜まる場所が違う
- 18歳でやせていた男性は中年に体重が増えると内臓脂肪がより増える
- メタボリックシンドロームの診断で腹囲だけは必須の項目
- 血圧や血糖などの異常が重なる女性でも約65%は腹囲が基準を下回る
- むくみや腹水があると面積の測定値は当てにならない
参照元:2型糖尿病患者さんでも隠れ肥満を簡単に判定 | 国立循環器病研究センター
痩せて見えても内臓脂肪が溜まる隠れ肥満という状態
一見して肥満に見えなくても、お腹の中に脂肪が溜まる内臓脂肪蓄積型の肥満は、俗に隠れ肥満症と呼ばれます。
内臓脂肪蓄積型の肥満は体脂肪全体の蓄積よりも、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患と強く関連するとされています。
BMIが25未満でも、腹囲と血圧や血糖などが基準に当てはまる場合はメタボリックシンドロームと診断されます。
BMIは体重を身長の2乗で割った体格の指数で、18.5以上25未満が普通体重にあたります。
BMIが普通体重の範囲にあっても、診断の対象から外れるわけではありません。
痩せて見える人のリスクを表す言葉に、痩せメタボがあります。
見た目や体重だけでは内臓脂肪の量が分からない理由

肥満は、脂肪の溜まる場所によって大きく2つの型に分けられます。
脂肪が内臓につく型を内臓脂肪型肥満、皮下組織につく型を皮下脂肪型肥満と呼びます。
内臓脂肪型肥満は腸管などの内臓の周囲に脂肪が溜まる型で、お腹がぽっこりと出て男性に多い傾向です。
体重計に表示される数字は、この2つの型を区別しません。
がん検診の受診者を調べた研究では、BMIの高低に関わらず、内臓脂肪の体積が大きい群で大腸腺腫のリスクが高いという結果でした。
BMIが低い人の中にも、内臓脂肪の体積が大きい人がいました。
参照元:内臓脂肪体積と大腸腺腫との関連 | 国立がん研究センター
若い時にやせていた人ほど中年で内臓脂肪が増える傾向
若い頃の体格も、中年以降の内臓脂肪の増え方に関わるとされています。
42歳から64歳の男性549人を調べると、18歳の時にやせていた人ほど、体重が1kg増えたときの内臓脂肪面積の増え方が大きい結果でした。
ここでいうやせ型は一般的な基準より広く、18歳時点のBMI20.14未満を指します。
それでも、痩せて見える人ほど内臓脂肪と縁が薄いという見方は成り立ちません。
若い時の痩せすぎと中年になってからの著しい体重の増加は、どちらも避けたい変化です。
若い頃に痩せていた人ほど、中年以降に体重が増えたときは健診の腹囲や血圧などの数値も確かめましょう。
参照元:若い時のやせと中年太りは内臓脂肪のもと | 国立長寿医療研究センター
内臓脂肪を確かめる目安になる腹囲85cmと90cmの数値

体の中を直接見なくても確かめられる手段が、腹囲です。
腹囲はへその高さで測り、男性85cm以上と女性90cm以上が内臓肥満の指標とされています。
この腹囲の値は、男女ともに内臓脂肪面積100平方センチメートル以上に相当する目安です。
体の中の面積を直接測る代わりに、外から測れる値が使われています。
腹囲はメタボリックシンドロームの診断基準でも、必須の項目に置かれています。
ただし、健診の結果票に腹囲の欄があっても、この数値だけで内臓脂肪の量が決まるわけではありません。
腹囲の数字だけでは見逃しや空振りが起こる理由
健診を受けた男女629人を調べた研究では、ウエストとウエストヒップ比とウエスト身長比、BMIの4つの指標が比べられました。
ウエストが最もよく関連していたものの、4つの指標のあいだの違いは統計的に意味のある差ではありませんでした。
いまの日本の基準値を当てはめた場合の結果は、次のとおりです。
ここでいうリスクの重なりは、血圧や血糖、脂質の異常が同時にある状態を指します。
腹囲が基準を下回っていても、リスクが重なる人は含まれるという結果です。
一方で、手軽さを考えるとウエストが最もよい指標といえます。
腹囲は目安として役に立つ一方、これだけで内臓脂肪の量は決まりません。
| 確かめ方 | 分かる範囲 | 限界 |
|---|---|---|
| 見た目 | お腹の出方の印象 | 内臓脂肪と皮下脂肪を区別しない |
| 体重とBMI | 全身への脂肪の蓄積 | BMIの高低に関わらず内臓脂肪の体積に差がある |
| 腹囲 | 内臓脂肪面積100平方センチメートル相当の目安 | 女性で約65%の見逃しと男性で約40%の空振り |
| 健診の血圧や血糖、脂質 | リスクが重なる状況 | 腹囲と合わせて2つ以上で診断になる |
| 医療機関で測る内臓脂肪面積 | 面積そのもの | むくみなどがあると正確に測れない |
参照元:身体指標とメタボリックシンドロームとの関連について | 国立がん研究センター
腹囲に血圧と血糖そして脂質を重ねて健診で見る仕組み

腹囲の数字は、単独で診断につながる値ではありません。
BMIが25未満でも、腹囲が男性85cm以上か女性90cm以上で、血圧と血糖と血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れた場合はメタボリックシンドロームと診断されます。
言い換えると、血圧と血糖と血清脂質のうち2つ以上の項目に当てはまらない場合は診断に至りません。
健診の結果票には、腹囲の欄と並んで血圧や血糖、脂質の欄があります。
前の節の見逃しと空振りを踏まえると、腹囲の欄だけで判断しない読み方が現実的です。
痩せて見える人ほど、腹囲以外の欄も確かめる必要があります。
医療機関で内臓脂肪面積を測るCTとインピーダンス法
内臓脂肪の面積そのものを測る方法も、医療機関にはあります。
医療機関では、内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上の場合に内臓脂肪蓄積と判定されます。
内臓脂肪蓄積型肥満の判定には従来、腹部CTでへその位置の内臓脂肪面積を測る必要がありました。
近年の簡便な機器では、インピーダンス法による計測も行われています。
2型糖尿病で入院した98人を調べた研究では、体に余分な水分が溜まっていない人に限ると、CTとインピーダンス法で測った内臓脂肪面積に高い相関がみられました。
反対に、心不全や腹水、むくみなどで体に余分な水分が溜まっていると正確に測れません。
対象が2型糖尿病の入院患者に限られている点も、あわせて押さえたい条件です。
参照元:2型糖尿病患者さんでも隠れ肥満を簡単に判定 | 国立循環器病研究センター
痩せて見える人が内臓脂肪を確かめるために健診で注目したい項目

健診の結果票を前にしたとき、痩せて見える人が注目すべき欄は決まっています。
結果票では、腹囲の欄と血圧や血糖、脂質の欄をあわせて確かめます。
腹囲と体重だけでは、内臓脂肪の量までは分かりません。
体重の変化も判断材料の1つで、中年になってからの著しい増加には気をつけましょう。
前の年の結果票が手元にある場合は、体重と腹囲の動きを並べて見る方法もあります。
医療機関へ相談するときに持参すべきものは、健診の結果票です。
内臓脂肪の面積を測る必要があるかも、その場で相談できます。
