血糖値は食事内容だけでなく個人の体質にも左右され、血糖値が上がりやすい人には共通する特徴があります。
同僚と同じランチを食べたにもかかわらず、自分のみが強い眠気に襲われた経験を持つ人もいるでしょう。
血糖値の上がりやすさは、糖質を処理する能力によって差が生まれます。
今回は血糖値が上がりやすい人の特徴と数値を左右する要素、体質を効率的に改善する習慣について解説します。
この記事でわかること
- 血糖値が上がりやすい人には共通する特徴がある
- すい臓と肝臓の働き、筋肉量が体質を左右する
- 自律神経も血糖値に影響を及ぼす
- 高血糖予防には血糖値の変動を把握するのが大切
- 体質を効率的に改善できる習慣がある
食後に気になる症状がある人や糖尿病を予防したい人は、ぜひ参考にしてください。
血糖値が上がりやすい人には遺伝以外にも共通する特徴がある
血糖値が上がりやすい人には遺伝や糖質を処理する能力、生活習慣など共通する特徴があります。
家族が糖尿病を患っている人は糖尿病を発症する確率が高まり、たとえば両親が糖尿病の場合に子供が糖尿病にかかる確率は約40〜50%です。
しかし、糖尿病の発症には糖質を処理する能力も大きく影響しており、具体的には食事から摂取した糖質をエネルギーとして利用する能力を指します。
食事から摂取した糖質は体内でブドウ糖に分解され、脳や体のエネルギー源として使われます。
生活習慣も血糖値に影響を及ぼし、以下にあてはまる人は血糖値が上がりやすい傾向です。
- 甘い食べ物や飲み物が好き
- 白米や麺類など炭水化物が中心の食事が多い
- 朝食抜きや早食いをする習慣がある
- ついつい食事を食べ過ぎてしまう
- 揚げ物などの脂っこいメニューをよく食べる
- 肥満である
- 喫煙や過度な飲酒の習慣がある
- 運動不足である
遺伝的な要素にこれらの生活習慣の乱れが重なると、糖尿病を発症するリスクが大幅に高まります。
インスリンの分泌量や効きの低下により糖質を分解する能力が落ちる

インスリンの分泌量や効きの低下により、糖質を分解する能力が落ちて糖尿病を発症するリスクが高まります。
インスリンの効きが低下しているために体にうまく糖を取り込めない状態をインスリン抵抗性と呼び、すい臓が疲弊して次第に分泌能力自体が低下していきます。
国内の糖尿病患者の約95%が2型糖尿病であり、インスリンの分泌量や効きの低下が原因で血糖値が慢性的に高くなる病気です。
糖質を分解する能力は耐糖能とも呼ばれ、血糖値を一定に保つ役割を果たします。
耐糖能が低下するとブドウ糖を効率良く細胞内に取り込めなくなるため、血糖値が下がりきらずに高い状態が続きます。
健常者は血糖値が食後2時間ほどで正常値に戻りますが、糖尿病患者は高血糖の状態が継続するのが特徴です。
耐糖能が低下する要因には、以下が挙げられます。
- すい臓の疲弊
- 生活習慣の乱れ
- 加齢
- 遺伝的要素など
これらの要因が複雑に絡み合い、糖質を効率良く体内で利用できなくなって血糖値が上昇します。
生活習慣の乱れは食後高血糖や血糖値スパイクを引き起こす恐れがある
悪い食習慣や運動不足などの生活習慣の乱れは、食後高血糖や血糖値スパイクを引き起こす恐れがあります。
食後高血糖とはインスリンの分泌や効きの不足により、食後2時間後の血糖値が140mg/dL以上である状態のことです。
食後高血糖の状態が続くと血管を損傷して動脈硬化や糖尿病のリスクが高まり、悪化すると心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。
食後高血糖や血糖値スパイクが起こる主な原因は、先ほど血糖値が上がりやすい人の特徴として紹介した生活習慣の乱れです。
食後の強い眠気や集中力の低下は、食後高血糖や血糖値スパイクが原因で起こっている可能性があります。
血糖値を安定させて健康な体を維持するためには、自分の体質を理解するのも効果的です。
血糖値に影響を及ぼす内臓の働きや筋肉量が個人の体質を左右する

血糖値はすい臓と肝臓の働き、筋肉量の3つの要素が関係し、個人の体質を左右して血糖値の数値に差を生じさせます。
すい臓はホルモンの分泌によって血糖値を一定に保つ、いわば司令塔です。
血糖値を下げる効果があるホルモンはインスリンのみであり、すい臓の機能が低下すると血糖値コントロールが悪化します。
血糖値コントロールとは高血糖を解消して血糖値を可能な限り正常値に近付けることで、糖尿病の予防に役立ちます。
肝臓は数値が高い時は糖質をグリコーゲンとして貯蔵し、数値が低い時はグリコーゲンをブドウ糖に変換して血液に戻す、血糖値の調整役です。
糖質をグリコーゲンとして貯蔵できる量には限りがあり、余った分は中性脂肪として体内に蓄えられます。
肝臓の働きによって空腹時や運動後などもエネルギーが供給され、数値が一定に保たれます。
筋肉は食事から摂取したブドウ糖をグリコーゲンとして蓄え、運動時にはエネルギー源として放出する糖質の貯蔵庫です。
高血糖が続くとすい臓の機能が低下して糖代謝の悪循環が起こる
高血糖が続くと過剰なインスリンの分泌ですい臓の機能が低下し、さらに血糖値が下がりにくくなるという糖代謝の悪循環が起こります。
インスリンの分泌能力には遺伝的な要素も関係していますが、生活習慣が密接に関係しています。
高血糖になる生活習慣の具体例は、以下のとおりです。
- 糖質や脂質が多い食事
- 甘い飲み物やアルコールの飲み過ぎ
- 不規則な食生活
- 運動不足
- 睡眠不足など
これらの生活習慣がすい臓に負担を与え、インスリン抵抗性や血糖値の上昇につながります。
すい臓の負担を軽減して血糖値コントロールを良好に保つには、悪い生活習慣の見直しが大切です。
肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝はインスリン抵抗性を引き起こす

肝臓の細胞全体のうち30%以上が脂肪化した状態を脂肪肝と呼び、インスリン抵抗性を引き起こして糖尿病を発症するリスクが高まります。
肥満の人やお酒をよく飲む人だけでなく、痩せている人やほとんど飲酒をしない人も発症する可能性があります。
初期症状がほとんどなく自覚症状がないまま進行する恐れがあり、早期発見には定期的な健康診断や人間ドックの受診が必要です。
高血糖はインスリン抵抗性や脂肪細胞の増加につながり、脂肪肝を悪化させるため、糖尿病患者の6〜8割は脂肪肝を合併しているといわれています。
アルコール性の脂肪肝は禁酒や節酒、非アルコール性の脂肪肝には生活習慣の改善や体重管理を心がけましょう。
運動不足による筋肉量の低下が血糖値コントロールを難しくする
筋肉には血糖値を調整する働きがあり、運動不足による筋肉量の低下が血糖値コントロールを難しくします。
筋肉はブドウ糖の受け皿となりますが、筋肉量が少ないと貯蔵できる量が減り、血液中にあるブドウ糖の濃度が高くなります。
血糖値コントロールを良好に保つには、筋力トレーニングによって筋肉量を増やすのが効果的です。
筋肉が増えると体内のブドウ糖が効率良く利用されるようになり、インスリン抵抗性の改善にもつながります。
筋肉量を増加させるには継続した運動が必要なため、無理のない範囲の負荷で筋力トレーニングを始めてみましょう。
血糖値は生活習慣だけでなくストレスや自律神経の影響も受ける

血糖値は生活習慣だけでなくストレスや自律神経の影響も受けるため、多角的なアプローチが有効です。
ストレスによって交感神経が優位となり、アドレナリンとコルチゾールというホルモンが腎臓にある副腎から分泌されます。
アドレナリンとコルチゾールは肝臓から糖質が放出されるのを促進する働きがあり、血糖値を上昇させます。
自律神経が乱れて交感神経が優位になるとアドレナリンとコルチゾールが分泌され、血糖値が上昇します。
そのため血糖値を安定させるにはストレスを減らし、自律神経を整えるのが重要です。
自分に合ったリラックス法によるストレスの緩和で血糖値が安定する
自分に合ったリラックス法でストレスが緩和されると、血糖値を上昇させるアドレナリンやコルチゾールの分泌が減り、血糖値の安定につながります。
体がリラックスしている状態は副交感神経が優位になり、インスリンの分泌も促進されます。
ストレスケアに役立つリラックス法の具体例は、以下のとおりです。
- 深呼吸
- ぬるめのお湯につかる
- ヨガやピラティス
- 軽いストレッチやウォーキング
- アロマセラピー
- 趣味に没頭する
- 瞑想など
リラックス法を実践する際は、マインドフルネスを意識すると効果的です。
ストレスを完全になくすのは難しいですが、自分に合ったリラックス法を見つけてストレスを解消するように心がけましょう。
血糖値コントロールを良好に保つには自律神経を整える

自律神経と血糖値は互いに影響し合っているため、血糖値コントロールを良好に保つには自律神経を整えるのがポイントです。
自律神経はホルモンを分泌したり、交感神経と副交感神経のバランスを調整したりして血糖値を一定に保つのに役立ちます。
自律神経の乱れは体内時計やホルモンバランスを狂わせ、血糖値にも悪影響を与えます。
自律神経が乱れる主な要因は、以下のとおりです。
- ストレス
- 不規則な生活
- 天候や気温の変化
- 栄養不足
- 腸内環境の悪化など
不規則な生活や夜型の生活は体内時計がズレる原因となり、インスリン抵抗性を引き起こして血糖値を上昇させます。
急激な気温の変化は体温を調節するために過剰な反応が起こり、体が疲労して自律神経のバランスを崩す要因の1つです。
ビタミンB群や鉄、タンパク質などの栄養素が不足するとストレスから回復する力が弱まり、自律神経を乱れさせます。
腸内環境の悪化によって悪玉菌が増加し、腸の炎症や不調が脳に伝わって自律神経にも悪影響を与えます。
高血糖を防ぐには日々の血糖値の変動を把握するのが大切
高血糖を防ぐには定期的に血糖値を測定し、日々の血糖値の変動を把握するのが大切です。
健康診断は空腹時の血糖値を測定するため、食後に高血糖が起こっている人も異常なしの結果が出る場合があります。
初期の糖尿病は自覚症状がない場合も多く、気付かないうちに症状が進行している可能性もあるでしょう。
糖尿病の初期症状には、以下が挙げられます。
- 喉の渇き
- 目のかすみや視力の低下
- 強い疲労感や倦怠感
- 手足のしびれやむくみ
- 体重減少
- トイレの回数が増えるなど
体の異変や血糖値の乱高下に気付き、生活習慣の改善や早期治療を行うのが健康の維持につながります。
血糖値の乱高下で起こる症状が体に現れていないか確認する

食後の高血糖や血糖値コントロールの乱れに気付くには、血糖値の乱高下で起こる症状が体に現れていないか確認するのが効果的です。
先ほど解説した糖尿病の初期症状以外にも、食後高血糖は以下のような症状が現れます。
- 食後30分〜2時間以内に強い眠気を感じる
- 集中力が低下する
- 気分の落ち込みやイライラを感じる
- 異常な空腹感を感じるなど
ランチを食べた後の眠気がひどい、午後は集中できなくて仕事の効率が下がるというような不快な症状は食後高血糖が原因の可能性があります。
気になる症状がある人は、生活習慣を見直して血糖値を安定させるように心がけましょう。
医療機関の検査や血糖測定器による自己測定で血糖値の変動を知る
高血糖や血糖値スパイクが起こっているか知るには、医療機関の検査や血糖測定器による自己測定で血糖値の変動を知るのが有効です。
医療機関では血液検査で血糖値やHbA1cを測定し、必要に応じてブドウ糖負荷試験を行います。
ブドウ糖負荷試験とは75gのブドウ糖が溶けた飲料を飲み、一定時間が経過した後の血糖値を測定する検査のことです。
血糖値を一定に保つ糖代謝能力がわかるため、食後高血糖や血糖値スパイク、糖尿病予備軍を発見するのに役立ちます。
自己測定には指先から採血する方法と皮膚にセンサーを貼る方法があり、日常生活のさまざまな時間帯に測定できます。
人によって適した機種が異なるため、機器を購入する際は医師や薬剤師に相談するのが大切です。
血糖値が上がりやすい体質を効率的に改善するための習慣を解説

血糖値が上がりやすい体質を効率的に改善するためには、自分の弱点をカバーできる習慣を取り入れるのが効果的です。
効率的に血糖値コントロールを改善できる方法には、以下が挙げられます。
- 食材選びや食べる順番に気を配る
- 食後に短時間の運動をする
- 睡眠や入浴を見直す
食べる量をなかなか減らせない人や以前よりも太りやすくなった人は、食事を見直すのが効率的です。
同じ食事内容でも食べ方の工夫で血糖値の上昇を抑えられるため、食事を楽しみながら血糖値コントロールができます。
普段運動する習慣がない人や運動不足の人は、食後に負荷が少ない運動から始めると良いでしょう。
食事と運動に対する取り組みを組み合わせると相乗効果が生まれ、数値の改善が期待できます。
日頃からストレスを感じている人や睡眠不足の人は、入浴や睡眠などの生活習慣を見直して自律神経を整えるのが有効です。
ここでは、体質を改善するための具体的な方法について解説します。
食事に水溶性食物繊維が多い食品や低GI食品を積極的に取り入れる
ついつい食べ過ぎてしまう人や食事量を減らせない人は、食事に水溶性食物繊維が多い食品や低GI食品を積極的に取り入れるのがコツです。
水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状となり、腸の中で糖質を包み込んでゆっくり移動します。
消化吸収の速度が遅くなると血糖値の上昇もゆるやかになるため、食後高血糖や血糖値スパイクの予防に有効です。
水溶性食物繊維は海藻や納豆などの大豆製品、ごぼうやオクラなどの野菜に多く含まれています。
低GI食品も消化吸収に時間がかかり、血糖値の上昇がおだやかになって血糖値コントロールに役立ちます。
低GI食品の具体例は、以下のとおりです。
- 玄米やそばなど精製されていない穀物
- きのこ類
- ブロッコリーやほうれん草などの野菜
- 大豆製品
- 乳製品
- 肉や魚
- ナッツ類など
血糖値を安定させるには食べる順番も重要であり、食事の際は食物繊維を含む食品や低GI食品を先に食べるのがポイントです。
これらの食品は満腹感が得られるため、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。
食後の短時間の運動で糖質が効率的にエネルギーとして使われる

血糖値を安定させるには継続的な運動が必要となり、食後の短時間の運動で糖質が効率的にエネルギーとして使われます。
血糖値が上がり始める食後30分〜1時間以内の有酸素運動が効果的ですが、特に食後15分以内に数分間のウォーキングや散歩をすると血糖値スパイクを防ぐ効果が期待できます。
食後の運動量を増やすための具体例は、以下のとおりです。
- 外食後は少し遠回りして帰る
- エレベーターに乗らずに階段を使う
- 立って洗い物や掃除をする
- 食後に近所を散歩する
- 歯磨きをしながらかかとの上下運動をするなど
外で運動する時間が取れない場合は、室内の足踏み運動や立って行う家事でも効果があります。
血糖値コントロールには筋肉量を増やす必要がありますが、普段運動する習慣がない人は食後の軽い運動から始めるのが最適です。
食後の運動に慣れてきた人は、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせで相乗効果が期待できます。
生活リズムが不規則な人は睡眠や入浴を見直して自律神経を整える
生活リズムが不規則な人や日頃からストレスを感じている人は睡眠や入浴を見直し、自律神経を整えるのが大切です。
睡眠不足は血糖値を上昇させるコルチゾールを分泌させたり、インスリン感受性を低下させたりして血糖値コントロールを乱します。
血糖値を安定させるには睡眠時間を1日7〜9時間確保し、睡眠の質を高めるのが重要です。
ノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りは副交感神経が優位となり、自律神経を整えてインスリンの効きを高めます。
睡眠の質を高める生活習慣には、以下が挙げられます。
- 規則正しい生活を送る
- 朝に太陽の光を浴びる
- 日中は適度な運動をする
- 夕食は就寝の2〜3時間前に済ませる
- 就寝1〜2時間前に入浴する
入浴時は好きな香りの入浴剤を入れたり、浴室の照明を暗くして間接照明で過ごしたりするとリラックス効果を高められます。
入浴後は肌触りが良くゆとりがあるサイズのルームウェアやパジャマを着用し、軽いストレッチやマッサージを取り入れると効果的です。
睡眠や入浴はストレス解消に効果があるため、日頃からストレスを感じている人のストレスケアにも役立ちます。
自分の体質や弱点を理解して血糖値コントロールを良好に保とう

自分の体質や弱点を理解して効率的な習慣を取り入れると、血糖値コントロールを良好に保つのに役立ちます。
血糖値が上がりやすい人には共通する特徴があり、食習慣などの生活習慣は数値に影響を及ぼす要因の1つです。
すい臓や肝臓の働き、筋肉量が個人の体質を左右し、内臓機能の低下や筋肉量不足は血糖値の上昇につながります。
血糖値は生活習慣だけでなくストレスや自律神経の影響も受けるため、ストレスを減らして自律神経を整えるのが大切です。
高血糖を予防するには、体に気になる症状がないか観察し、定期的に数値を測定して血糖値の変動を把握します。
食材選びや食後の運動、睡眠や入浴の見直しは血糖値への効果が高く、効率的に血糖値コントロールの改善を目指せます。
食後の眠気や集中力の低下などの気になる症状がある人は、自分の血糖値の状態や体質を理解し、効率的な習慣で糖尿病を予防しましょう。
