健康診断で血圧が高いと指摘された際、何を食べると血圧が下がるのかを調べ始める人もいるでしょう。
ネット上には血圧を下げる食べ物について、ランキング形式で紹介する記事が存在します。
しかし、厚生労働省や日本高血圧学会のガイドラインでは、血圧に効果的な食べ物の順位付けはされていません。
食べ物から血圧を管理する場合は、複数の食品を組み合わせて、必要な栄養素を摂取していきます。
この記事では、公的指針に基づく食品グループの選び方と、日常に定着させる食事の考え方を解説します。
この記事でわかること
- 食事で血圧を改善したい場合は特定の食べ物のみに頼らない
- 血圧を下げるための減塩に加えて、血圧改善につながる栄養素を取り入れる
- アルコールも血圧に影響するため、飲酒する人は栄養素と併せて調整する
- コンビニや外食時も栄養成分表を確認して血圧を上げない商品を選ぶ
- 血圧を改善する食事は毎日無理なく続けられる内容にする
食事から血圧の改善を始めようと思っている人は、食品選びの考え方として参考にしてください。
高血圧の判定基準は血圧を測定する場所によって変わる

血圧は測定する場所によって、高血圧と判定される基準が変わります。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインに示されている基準は、以下のとおりです。
| 血圧の測定場所 | 高血圧の基準 |
|---|---|
| 病院、診察室 | 収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上 |
| 家庭内 | 収縮期血圧135mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上 |
病院や診察室では緊張から家庭よりも高い血圧が出る傾向があり、高血圧の基準値も少し高めに設定されています。
日常的に血圧を確認する際は、家庭内で測定する人がほとんどであるため、基本は家庭内における基準値を参照しましょう。
慢性的に高血圧の基準値を超える場合は専門医への相談を優先する
健康診断や家庭内の測定で慢性的に高血圧の基準値を超える場合は、一度主治医へ相談しましょう。
血圧が高い状態を長期間放置すると、血管の内壁に負荷がかかり続けます。
血管の負荷から動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などの深刻な疾患へのリスクが高まります。
血圧に関する相談は内科や循環器科で受け付けているため、普段から風邪などで内科にかかっている人は主治医に相談してください。
加齢によって低下する血管の柔軟性は食事内容で進行を緩やかにできる
血管は加齢によって硬くなるため、年齢を重ねるほど血圧は上がる傾向にありますが、食事内容の改善で進行を緩やかにする効果が期待できます。
健康診断や病院の診察で血圧に問題がないとされた人も、年齢的に血圧が気になる場合は、食事の見直しをしてみましょう。
健康的な食生活は血圧に限らず、生活習慣病などのほかの症状や病気の改善にもつながります。
特に肥満や高血糖の診断を受けた経験がある人は、症状の悪化から血圧にも悪い影響が出る可能性があります。
血圧を下げる食べ物を選ぶ際はランキング上位よりも栄養素を重視する
血圧を下げるために食べ物から改善したい場合は、ランキング上位に入る食べ物を食べ続けるのではなく、栄養バランスを重視して決めましょう。
ネット上の血圧を下げる食べ物ランキングで上位に登場する食品は、以下のような特徴を持っています。
- カリウムが多い
- 食物繊維が多い
- 低脂肪
- 低塩
しかし、上記のような栄養素を含む食品が血圧を下げる点で優れているという記載は、厚生労働省や医療機関向けの公的指針には存在しません。
公的指針では特定の食品のみに頼るのではなく、不足している栄養素を補って、バランス良く食べられるような食品の選び方を推奨しています。
血圧を管理する際は減塩と併せて血圧の改善に効果的な成分を摂取する

血圧を管理する際は、食事における減塩と併せて、血圧の改善に効果的な成分を取り入れてください。
健康診断で血圧が高めと診断された場合、医師から塩分の摂取量を抑えるように指示される場合があります。
血圧を下げる対処法としては間違っていませんが、単に減塩するのみでは血圧が十分に改善されません。
公的指針では血圧に影響がある栄養素の摂取量を減らしながら、血圧の改善に効果的な食品を増やす視点が重要視されています。
そのため、食品選びや食事では塩分以外の栄養素についても、血圧の状態や体質と照らし合わせて調節していきましょう。
公的指針が推奨する血圧管理に役立つ栄養素と食べ物の例
厚生労働省および医療機関向けの資料では、血圧管理に役立つ栄養素と、それらを多く含む食べ物の例が紹介されています。
| 食べ物 | 主な栄養素 | 代表的な食材 |
|---|---|---|
| 野菜類 | カリウム 食物繊維 | ほうれん草 小松菜 キャベツ ブロッコリー |
| 芋類 | カリウム 食物繊維 | さつまいも じゃがいも |
| 果物 | カリウム ビタミン | バナナ キウイフルーツ |
| 海藻類 | マグネシウム 食物繊維 | わかめ ひじき 昆布 |
| 豆類・大豆製品 | たんぱく 質食物繊維 | 納豆 豆腐 枝豆 |
| 青魚 | EPA DHA | サバ イワシ サンマ |
上記の食べ物を複数組み合わせて、1日の食事全体でバランス良く取り入れると、血圧の改善効果が期待できます。
カリウムは体内の余分な塩分を排出して血圧を下げる効果がある
栄養素のカリウムは、腎臓から塩分の主成分であるナトリウムの排出を促進して、血圧の上昇を緩やかにする効果があります。
カリウムを多く含む食べ物の代表例は、以下のとおりです。
| カリウムを多く含む食べ物 | 代表例 |
|---|---|
| 野菜類 | ほうれん草 小松菜 ブロッコリー |
| 果物 | バナナ キウイフルーツ |
| 芋類 | さつまいも じゃがいも |
野菜類は食物繊維も含んでいる食品が多いため、カリウムと食物繊維の2つの効果から血圧の改善が期待できます。
ただし、腎機能に問題がある場合は、カリウムの過剰摂取に気を付けなければいけません。
食物繊維による脂質代謝の改善が間接的に高血圧のリスクを防ぐ

食物繊維は、腸内でコレステロールや胆汁酸を吸着して体外に排出する働きがあり、脂質代謝の改善から高血圧のリスクを軽減させます。
脂質代謝の改善は体脂肪の蓄積を抑えたり、インスリンの働きも高めたりするため、肥満や高血糖に伴う高血圧も予防します。
加えて、食物繊維は腸内で善玉菌の餌となり、善玉菌の増加から腸内環境を整える効果もある栄養素です。
安定した腸内環境においては、血管を正常に保ちながら血圧を下げる働きがある乳酸菌が正常に機能します。
そのため、食物繊維の摂取量を増やして肥満や腸内環境が改善されると、間接的な血圧の低下にもつながるでしょう。
食物繊維を多く含む食べ物の代表例は、以下のとおりです。
| 食物繊維を多く含む食べ物 | 代表例 |
|---|---|
| 葉野菜 | ほうれん草 小松菜 キャベツ |
| 根菜 | ごぼう にんじん |
| きのこ類 | しめじ えのき まいたけ |
| 海藻類 | わかめ もずく ひじき |
| 豆類 | 大豆 納豆 豆腐 枝豆 |
大豆製品は、食物繊維に加えて、良質なたんぱく質やカルシウムも同時に摂取できます。
日本糖尿病学会でも、大豆製品は食事改善の重要な食品群として位置づけられています。
動物性たんぱく質の一部を大豆製品に置き換えると、飽和脂肪酸の摂取を抑えながらたんぱく質を確保できるため、有用です。
海藻類はマグネシウムなどのミネラル成分が豊富に含まれており、低カロリーで満足感を得られる食材として活用できます。
青魚に含まれる良質な油が血液の流れをスムーズにして血管負担を軽減する
青魚に含まれるEPAとDHAは良質な脂質であり、中性脂肪の低下や血小板凝集の抑制から血管への負担を軽減させる効果があります。
厚生労働省の学会ガイドラインにおける食事療法等に関する資料でも、魚介類を含む食事が高血圧の予防や改善に有効であると示されています。
EPAとDHAを多く含む青魚の代表例は、以下のとおりです。
- サバ
- イワシ
- サンマ
- アジ
青魚は、週2〜3回を目安に主菜として取り入れると、EPAとDHAの摂取量を効率的に底上げできます。
水煮や味噌煮などの缶詰の活用によって、調理の手間を省きながら、青魚を日常食に組み込めます。
飲酒する人は栄養素と併せてアルコールの摂取量も適切に管理する

普段から食事の際に飲酒する人は、栄養素と併せて、アルコールの摂取量についても管理が必要です。
お酒に含まれるアルコールは、過剰に摂取すると血圧を上昇させて、食事による血圧の改善効果を相殺する可能性があります。
厚生労働省の食事療法関連資料でも、高血圧の管理においてアルコールの制限が重要と示されています。
節度ある飲酒の目安として、純アルコール量で1日20g程度が一般的な基準です。
ただし、アルコールの許容量は個人で異なるため、実際には基準値よりも少ないほうが良い場合もあります。
コンビニや外食時には栄養成分表示を確認して不足する栄養素を補う
コンビニや外食を多用する人は、栄養成分表示を確認して、不足する栄養素を補える商品を選びましょう。
血圧を管理するうえでは、栄養素の調整のために毎食自炊が理想的ですが、仕事や家事が忙しい現代では自炊が難しい人も多くいます。
しかし、コンビニや外食でも商品やメニューの栄養成分表示から、栄養素の把握は可能です。
血圧を下げる点を重視する場合は、食塩相当量を確認して、日常的な塩分摂取量を調整してください。
塩分を抑えたうえで、カリウムや食物繊維が不足する場合は、栄養素を補える商品を追加で購入します。
サラダや海藻の小鉢を追加してカリウムや食物繊維の摂取量を意識的に増やす
カリウムや食物繊維の摂取量を意識的に増やしたい場合は、サラダや海藻の小鉢の追加が有用です。
コンビニや外食ではおにぎりやパン類や麺類など、炭水化物の多い主食のみの食事になる傾向があります。
主食のみの食事はカリウムや食物繊維が不足する可能性が高いため、野菜類や海藻類が多いサラダや小鉢、和え物を一品追加で購入しましょう。
ただし、サラダにかけるドレッシングは、種類によって塩分が高い場合があります。
可能な限り塩分量の少ないドレッシングを選び、個別の袋からかける際は、全部を使い切らないような調整が必要です。
麺類のスープを飲み干さずに残して塩分量摂取を大幅に減らす
ラーメンやうどんなどの麺類は、麺本体よりもスープの塩分量が多いため、スープは飲み干さずに残して塩分摂取量を減らしましょう。
コンビニのカップ麺やうどん屋などは気軽に使えますが、麺類はスープのみでも1食あたり3〜4gの塩分を含んでいます。
血圧を管理する際は、麺類自体の食事回数を減らし、食べる場合は麺のみにするなどの工夫が必要です。
麺類以外にも外食でよく食べられる丼ものやカレーライスも、単品で塩分量が多くなる可能性があります。
セットで付けられるみそ汁をサラダに置き換えるなど、ほかの食べ物で塩分量を調整してください。
血圧を下げる食べ物の中から毎日無理なく食べられるものを探す

血圧の管理を継続的に行うためには、血圧を下げる食べ物の中から毎日無理なく食べられるものを探してください。
有効成分が多い食べ物であっても、人によっては味や食感などが苦手で、毎日取り入れられない場合があります。
血圧は数回の食事で食べ物を変化させるのみでは改善されないため、継続的に食べられる食べ物のほうが優先されます。
食べ物の味や種類にこだわりがない場合は、季節に合わせた旬の食べ物を取り入れてみましょう。
旬の食べ物は栄養価が高くなり、商品の価格もほかの季節よりも安く抑えられます。
特定の食品に依存せずに血圧に影響のある栄養素をバランス良く摂取する
血圧を下げる食べ物は、特定の食品のみで改善するよりも、複数の食べ物から栄養バランスを考えて摂取しましょう。
ネット上のランキング上位に示される食べ物も間違いばかりではありませんが、単一の食べ物のみに頼ると、体調を崩す可能性があります。
血圧に関する公的指針では、血圧に影響のある塩分の摂取量を減らし、血圧の改善につながる栄養素の摂取量を増やす方法が示されています。
食品選びや食事内容の改善は、数日で効果が出るわけではなく、毎日継続して食べ続ける姿勢が必要です。
自分の病気や体質に対して適切な摂取量がどの程度であるか医師に相談するとともに、毎日無理なく食べられる食べ物を選んで血圧を改善してください。
