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MCTオイルと血糖値の関係と置き換えて使うときのポイントを解説

MCTオイルを摂って血糖値が下がるのか、それとも上がるのかは、まだ分かっていません。

一方で、MCTオイルも油のため、使う場合はいつもの油と置き換えると摂るエネルギーを増やさずに済みます。

血糖値の治療を受けている場合は、使い始める前に主治医へ相談してください。

この記事でわかること
  • MCTオイルで血糖値に良い影響があるのかはまだ分かっていない
  • MCTオイルは中鎖脂肪酸でできた油で普通の油の多くは長鎖脂肪酸
  • 中鎖脂肪酸を含む油には体脂肪についての特定保健用食品の表示許可がある
  • 使う場合は足さずにいつもの油と置き換えて使う
  • 食前に摂って食後の血糖値の急上昇を抑えられるかは確かめられていない
  • 油は少しの量でもエネルギーが大きく足した分だけ脂質が増える
  • 血糖値の治療中は使う前に主治医と目標を確かめるべき

参照元:特定保健用食品の許可について | 消費者庁

参照元:栄養に関する基礎知識 | 国立循環器病研究センター 病院

目次

中鎖脂肪酸でできたMCTオイルと普通のサラダ油との違い

MCTは、中鎖脂肪酸という成分でできた油を指します。

油の成分の大部分を占める脂肪酸は、炭素が鎖のように繋がってできています。

繋がる炭素の数は4〜36個で、中鎖脂肪酸はそのうち5〜12個と、中くらいの長さです。

鎖の長さによって、脂肪酸は長鎖脂肪酸から短鎖脂肪酸までの3つに分けられます。

普段口にする食品に含まれる脂肪酸のほとんどは、長鎖脂肪酸です。

中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸と違い、腸で吸収された後に肝臓へ直接運ばれ、エネルギーを作るのに使われると説明されています。

脂の種類でいうと、中鎖脂肪酸は飽和脂肪酸の仲間です。

どの脂肪酸も、1gあたり9kcalのエネルギーを持っています。

糖質とたんぱく質が1gあたり4kcalであるのに比べると、脂質は同じ重さで倍以上のエネルギーを持ちます。

少ない量でもエネルギーが大きい点は、MCTオイルでも変わりません。

中鎖脂肪酸を含む油であるMCTオイルと体脂肪についての表示

中鎖脂肪酸を含む油であるMCTオイルと体脂肪についての表示

中鎖脂肪酸を含む食用の油の中には、特定保健用食品があります。

特定保健用食品は、製品ごとに有効性や安全性の審査を受け、表示について国の許可を受けた食品です。

表示では、この油が中鎖脂肪酸を含み体に脂肪がつくのを抑える特徴を持つと示され、体脂肪が多めの人や肥満気味の人に通常の油に替えて使うよう勧めています。

この油の1日の目安量は、14g程度です。

一方で、多く摂っても病気が治るわけでもより健康が増すわけでもないという注意も添えられています。

さらに、中鎖脂肪酸に期待される体重を減らす効果について、支持する明確な成績はないとまとめた報告もあります。

そのため、この表示は体脂肪が気になる人がいつもの油と替えて使う場合の話で、MCTオイル全般の効果ではありません。

参照元:特定保健用食品の許可について | 消費者庁

参照元:脂質・脂肪酸と心血管系疾患等に関する最近の知見:目標量の算定を主な目的として | 厚生労働科学研究成果データベース

MCTオイルを摂ると血糖値が下がるのかという疑問への答え

結論からいうと、MCTオイルで血糖値が下がるとも上がるとも、今の時点では言えません。

日本人が摂る栄養の量の目安として、国は日本人の食事摂取基準を定めています。

日本人の食事摂取基準の2015年版は、研究の数が足りず摂取量の見積もりも難しいという理由で、MCTを検討の対象から外しています。

検討の対象から外れた状態は、効き目がないという意味ではありません。

前の節の表示も、血糖値ではなく体脂肪について許可されています。

血糖値を下げる目的でMCTオイルを選べる材料は、まだ揃っていません。

使ってみる場合は、油を足さずに、いつもの油と置き換えて使うと良いでしょう。

その理由は、後の節で数字を使って説明します。

参照元:日本人の食事摂取基準(2015年版) 脂質 | 厚生労働省

ココナッツオイルとMCTオイルを同じ油として扱わない理由

ココナッツオイルとMCTオイルを同じ油として扱わない理由

ココナッツオイルは、やし油とも呼ばれる油です。

中鎖脂肪酸は、ココナッツ油や乳製品に多く含まれるとされています。

それでも、やし油には中鎖脂肪酸の他に、それより鎖の長い脂肪酸も混ざっています。

飽和脂肪酸の割合も高く、脂肪酸の総量を100gとした場合、そのうち91.2gが飽和脂肪酸です。

MCTオイルは中鎖脂肪酸でできた油のため、やし油と脂肪酸の中身が違います。

そのため、ココナッツオイルの成分の数字は、MCTオイルにそのまま当てはまりません。

一方で、エネルギーの大きさは2つの油で共通しています。

やし油は100gあたりのエネルギーが889kcalで、中身はすべて脂質です。

血糖値スパイクを防ぐためにMCTオイルを食前に摂る話の確かさ

血糖値スパイクは、食後に血糖値が急に上がる様子を指す言葉として使われます。

MCTオイルを食前に摂ると、この急な上がり方を抑えられるという話を見かける場合もあります。

食前にMCTオイルを摂って食後の急な上がり方を抑えられるかは、確かめられていません。

食後の血糖値の上がり方には、食事に含まれる炭水化物が大きく関わるとされています。

白米は、食後の血糖の上がり方を表す指標のグリセミックインデックスが高い食品です。

食後の血糖値が気になる場合は、油を足すより先に、食事に含まれる炭水化物の量を見直す方法があります。

糖尿病の食事でも、炭水化物の量に着目する考え方が取り入れられています。

MCTオイルを足しても、食事に含まれる炭水化物の量は変わりません。

参照元:糖尿病の治療ってどんなものがあるの? | 糖尿病情報センター

参照元:米飯摂取と糖尿病との関連について | 国立がん研究センター

MCTオイルを毎日の食事に足したときに増えるエネルギーと脂質の量

MCTオイルを毎日の食事に足したときに増えるエネルギーと脂質の量

油の量を量ったら、1gあたり9kcalを掛けてエネルギーを出します。

油を10g足すと、その脂質だけでおよそ90kcalが増える計算です。

体を動かして使う分より多くのエネルギーを摂ると、残りは体に蓄えられると説明されています。

脂質は、1歳以上のどの年代でも1日に摂るエネルギーの20〜30%、そのうち飽和脂肪酸は18歳以上で7%以下が目標です。

1日に2,000kcalを摂る人を例にすると、目標は次の量にあたります。

項目 1日のエネルギーに占める目標 1日2,000kcalの場合
脂質 20〜30% 400〜600kcal、約44〜67g
飽和脂肪酸 18歳以上で7%以下 140kcal以下、約15g以下

他の食事を変えずにMCTオイルを足すと、1日のエネルギーのうち脂質が占める割合が大きくなります。

10gを足した場合、2,000kcalの食事では脂質の割合が約4.5%分上がる計算です。

肥満の人が比較的少ない日本人でも、脂質の割合が高くなると、肥満や糖尿病などのリスクが増える懸念が示されています。

これは脂質全体の話で、MCTオイルそのものについての話ではありません。

さらに、飽和脂肪酸には、血液中のコレステロールを増やす働きがあるといわれています。

動物の脂に多い飽和脂肪酸に偏らず、植物油や魚の油とあわせて摂るよう勧められています。

普段の油をMCTオイルに置き換える場合の脂質の量の考え方

普段の油をMCTオイルに置き換える場合の脂質の量の考え方

普段使う油の一部をMCTオイルに置き換える場合は、脂質として摂る量は増えません。

体脂肪についての表示がある油も、普段の食用油と同じ量で置き換えて使うよう勧められています。

他の油10gをMCTオイル10gに置き換えても、摂る油の重さは10gのままです。

足すか置き換えるかで、1日の脂質の量は大きく変わります。

1日2,000kcalで脂質を25%摂る人は、脂質がおよそ56gです。

そこへ油を10g足すと約66gになり、目標の上限の約67gに近づきます。

一方で、脂質は減らすほど良い栄養でもありません。

脂質には、細胞膜を作る働きに加えて、ビタミンAやDなどを食品から取り入れる働きがあると説明されています。

脂質の目標に20%という下の値があるのは、必要な脂肪酸の不足を防ぐためです。

上の値の30%は、飽和脂肪酸を摂りすぎないよう考えて決められています。

そのため、油は1日の目標の範囲に収まる、ほど良い摂取量が重要です。

血糖値の治療中の人がMCTオイルを使う前に主治医へ相談したい理由

ここからは、血糖値の治療を受けている場合の話です。

血糖値をどこまで下げるかの目標や選択すべき方法は人によって異なるため、まず主治医と目標を確かめます。

糖尿病のある人には、血糖値の他に、体重や血液中の脂質にも目標があります。

標準体重は、身長をメートルで表した数を2回掛け、さらに22を掛けて求める体重です。

身長1.6mの人の場合、1.6×1.6×22で約56kgと計算できます。

標準体重より体重が多い場合は標準体重を目標に体重を減らし、かなり多い場合は今の体重の5%減を当面の目標にします。

血液中の脂質の目標は、LDLコレステロールが120mg/dL未満、中性脂肪が空腹時で150mg/dL未満です。

糖尿病の治療では、食事療法が良好な血糖値を保つための基本に位置づけられます。

特に肥満を伴う2型糖尿病では、1日に摂るエネルギーの量を適正にして肥満を解消すると、様々な状態の改善が期待されています。

油を足すと、1日に摂る脂質とエネルギーが増えるため、こうした目標とも無関係ではありません。

MCTオイルを使ってみたい場合は、使う量と使う料理を決める前に、主治医へ相談してください。

参照元:糖尿病の治療ってどんなものがあるの? | 糖尿病情報センター

参照元:日本人の食事摂取基準(2025年版)スライド集 | 厚生労働省

MCTオイルを取り入れるか決める前にキッチンで油を量る方法

MCTオイルを取り入れるか決める前にキッチンで油を量る方法

治療を受けていない人は、今使っている油の種類と1日の量を書き出すところから始めると良いでしょう。

スプーンの目分量より、キッチンスケールでグラムを量るほうが正確に分かります。

1日の油の量に9を掛けた数が、油から摂っているエネルギーのおよその量です。

その数を1日に摂るエネルギーで割ると、油だけで脂質の目標のどれくらいを使っているかが見えてきます。

食品そのものにも脂質は含まれるため、実際の脂質の割合はこの数より高くなります。

取り入れるか決めるときの材料は、次の表のとおりです。

確かめたい点 今の時点の答え
血糖値への影響 下がるか上がるかは今の時点で判断できない
体脂肪についての表示 中鎖脂肪酸を含む油に、通常の油に替えて使う前提で許可されている
食前に摂る話 食後の急な上がり方を抑えられるかは確かめられていない
毎日足した場合 脂質とエネルギーが増え、10gで約90kcal
置き換えた場合 脂質の量は増えない
治療中の場合 使う前に主治医と目標を確かめる

MCTオイルを使うかは、この表と自分の油の量を並べてから決めても遅くありません。

参照元:栄養に関する基礎知識 | 国立循環器病研究センター 病院

参照元:特定保健用食品の許可について | 消費者庁

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