テレビや動画で紹介されたストレッチを見て、血圧に効くのかが気になった人もいるかもしれません。
血圧を下げるために主に行う運動は、有酸素運動です。
ここではストレッチの役割と、運動の強さや時間の目安をまとめます。
- 定期的な有酸素運動で上の血圧は3〜5mmHg下がると期待される
- ストレッチは関節の可動域や機能の向上のために組み合わせる運動
- 有酸素運動の強さはややきつい程度で毎日30分以上か週180分以上が目安
- 伸ばす時間は最低20秒で痛みがなく気持ちよい程度にとどめる
- 腹部を圧迫する種目では呼吸が止まって血圧が上がる場合がある
- 降圧薬は自己判断でやめずに主治医へ相談する
参照元:高血圧の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省
血圧を下げる運動の中心は有酸素運動でストレッチは補助的な位置づけ
速歩やスロージョギングのような有酸素運動が、血圧を下げる運動の中心です。
そのうえで、筋力を保つレジスタンス運動と、関節の可動域を広げるストレッチを補助として組み合わせます。
慣れてきたら、非常に軽い筋力トレーニングを加えても構いません。
効果の中心は有酸素運動にあり、ストレッチは役割の違う運動として併せて取り入れます。
| 運動の種類 | 運動の中の位置づけ | 期待される働き | 始め方の目安 |
|---|---|---|---|
| 有酸素運動 | 運動療法の中心 | 収縮期3〜5mmHgと拡張期2〜3mmHgの低下 | ややきつい程度で毎日30分以上 |
| ストレッチ | 補助的に組み合わせる | 柔軟性の向上と副交感神経活動が優位になる変化 | 最低20秒かけて痛くない程度 |
| 筋力トレーニング | 慣れてから加えてもよい | 有酸素運動との併用でフレイルとサルコペニアの予防 | 非常に軽い負荷で10〜15回を1〜2セット |
参照元:一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 | 日本高血圧学会
参照元:高血圧の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省
有酸素運動で期待される血圧の下がり幅と数字の受け止め方

では、有酸素運動で血圧がどのくらい下がるのかを数字で見ていきます。
定期的に有酸素運動を実践すると、高血圧のある人の収縮期血圧は3〜5mmHg下がると期待されます。
拡張期血圧の下がり幅は、2〜3mmHgが目安です。
数字の幅には違いがあるものの、どちらか一方の数字だけにこだわる必要はありません。
減塩と運動と減量が理想的に実施された場合、それぞれ数mmHgの血圧低下をもたらすとされています。
運動も、減塩や減量と並んで生活習慣を見直す手段に入ります。
必ず下がると読める数字ではなく、積み重ねの一部です。
参照元:高血圧の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省
高血圧の人に勧められる有酸素運動の強さと時間と頻度
有酸素運動を実践する頻度にも、目安があります。
運動の強さはややきつい程度にとどめ、時間の目安は毎日30分以上または週180分以上です。
あまりきつい運動は運動中に血圧が上がる可能性があるため、勧められていません。
運動施設などで指導を受ける場合は、10分以上の運動を合計して30分を週3〜5回とし、強い強度は避けます。
強さの目安は最高心拍数の50〜60%で、運動している本人が楽と感じる程度です。
自宅で始める場合も、楽と感じる強さの短い運動から日数を重ねていきます。
参照元:一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 | 日本高血圧学会
参照元:高血圧の人を対象にした運動プログラム | 厚生労働省
ストレッチに期待できる柔軟性やリラクゼーションの働き

ストレッチ自体にも、柔軟性やリラクゼーションに関わる働きがあります。
中でも期待が大きいのは、体の柔軟性を高める働きです。
準備運動や整理運動にも使われ、広い場所や道具がなくても実践できます。
30分ほどかけて全身の筋肉を順番に伸ばした前後では、心拍数が下がり、体を休める副交感神経が優位な状態へ変わりました。
それでも、体をほぐす習慣として続ける価値のある運動です。
強度が低く動きの少ない運動である一方、正しい方法で実施してこそ効果につながります。
有酸素運動や筋力トレーニングと併せて実践すると、健康づくりによりよい効果が期待できます。
寝た姿勢から始めたい人が安全にストレッチを実践するポイント
横になった姿勢から始めたい場合も、守りたい原則は同じです。
安全性が高いため、健康づくりでは反動をつけずにゆっくり伸ばす静的ストレッチを使います。
一人で実践できるため、補助者の技術に左右されません。
伸ばす時間は、最低20秒を目安にします。
最初の5秒から10秒は、適度な伸展の度合いを定めるための時間です。
伸ばす強さは、痛みがなく気持ちよい程度にとどめます。
伸ばしている間は、呼吸を止めないようにします。
腹部を圧迫する種目では呼吸が止まりがちで、そのために血圧の上昇が起こる場合があります。
血圧を指摘されている人ほど、この点は先に押さえたい原則です。
伸ばしている部位にも、しっかりと意識を向けます。
全身をくまなく伸ばすには何時間もかかるため、目的に応じて部位を選びます。
寝た姿勢で行うポーズや回数に、誰にでも合う決まった型はありません。
ストレッチから有酸素運動へ少しずつ広げる日常生活の工夫

寝た姿勢のストレッチから先へ進む道も、用意されています。
まとまった運動の時間が取れないときにも、出来る工夫があります。
具体的には、階段を使う方法と、近くの場所へ歩いて行く方法です。
掃除や片付けなど、日常生活の動きを増やす方法もあります。
こうした日頃の動きが、まとまった運動へ進む前の入り口です。
運動の組み方は、1回の時間を長くして回数を減らす方法と、強さを下げて回数を増やす方法の2通りがあります。
参照元:一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 | 日本高血圧学会
運動を始める前に確かめたい血圧の注意点と降圧薬の扱い
始める前に、確かめたい線が2つあります。
運動中は、収縮期血圧が200mmHgを超え続けないように注意します。
拡張期血圧では、105mmHgが注意の線です。
低強度の運動で血圧が著しく上がる人には、事前の運動負荷試験が要ります。
こうした事前の確認は、心臓や血管の合併症がないかを見て、運動療法を始めてよいかを判断するためのものです。
体調の悪い時と天候の悪い日は、屋外の運動を控えます。
薬を勝手に減らす行為も中止する行為も、危険とされています。
生活習慣の修正が続いて血圧が保てるようになると、薬を徐々に減らせる可能性もあります。
薬を減らすかの判断も、主治医との相談が前提です。
寝た姿勢のストレッチと日常生活の動きから始め、数値が気になる場面では医療機関に相談します。
