朝起きてからすぐに測る血糖値が予想よりも高い場合、何も食べていないのにどうして血糖値が上がっているのか疑問に思う人もいるでしょう。
血糖値は基本的に糖質を摂取したときに上昇しますが、睡眠中も体調や体質など複数の要素から血糖値が上昇する可能性があります。
この記事では、朝の血糖値が高い具体的な原因や、血糖値を下げるための工夫などをまとめました。
この記事でわかること
- 就寝中のホルモン分泌や低血糖から朝の血糖値が高まる可能性がある
- 就寝前の夕食の時間帯や食事内容によっても朝の血糖値に影響が出る
- 朝の血糖値は空腹時血糖値の基準を目安にして個人ごとに目標値を設定する
- 血糖値管理にはHbA1cの数値も目標値に向けて調整する
- 専用の測定器や薬局を利用すると血糖値を自己測定できる
- 自己判断による食事や薬の使用量を避けて医師に相談する
定期的に血糖値の検査を受けている人や血糖値の自己測定を行っている人は、参考にしてみてください。
朝の血糖値は就寝中のホルモンの分泌や就寝前の行動によって上昇する
朝の血糖値は、就寝中のホルモンの分泌や就寝前の行動によって、上昇する可能性があります。
血糖値は基本的に食事で糖質を摂取した際に上昇するため、朝起きた直後で朝食を取っていない場合、血糖値はそこまで上昇していません。
しかし、以下のホルモンの分泌や前日の行動の影響によって、糖質を摂取していなくても朝から血糖値が高くなる場合があります。
- 就寝中の成長ホルモンやコルチゾールの分泌から血糖値が上がる
- 就寝中に低血糖になった場合、身体が血糖値を上げるホルモンを分泌する
- ストレスや睡眠不足から血糖値を上げるホルモンが分泌される
- 夕食の時間が遅く、寝るまでに血糖値が下がらないまま朝を迎える
- 夕食で糖質を多く摂取して、翌朝まで血糖値が高止まりする
- 糖尿病でインスリンの分泌不足や抵抗性ができている
血糖値管理をする際は、朝の血糖値を高めている原因の特定から始めて、治療や対策をしていきます。
就寝中も体質や体調の変化からホルモンが分泌されて血糖値が上昇する

就寝中も体質や体調の変化から血糖値に関連するホルモンが分泌されて、朝起きた時点で血糖値が高くなる可能性があります。
深夜3時頃から朝方にかけてのホルモン分泌による血糖値の上昇は暁現象と呼ばれており、通常はインスリンの働きで血糖値の上昇分が相殺されます。
しかし、高血糖や糖尿病でインスリンの働きが弱まっている場合は、上昇した血糖値を下げきれません。
睡眠不足やストレスも血糖値を上昇させるホルモンを分泌するため、暁現象と重なった場合、血糖値に問題ない人も上昇リスクがあります。
低血糖の傾向がある人は、就寝中にも低血糖を引き起こす場合があり、その際は身体が血糖値を上げようとホルモンを分泌します。
夕食の時間帯や食事内容によっては翌朝の血糖値を上昇させる
夕食の時間帯が遅い、もしくは夕食で糖質が多い場合は、翌朝の血糖値を上昇させる可能性が高い状態です。
食事で血糖値が上昇した場合、通常は食後2時間程度でインスリンの働きによって元の数値に戻ります。
就寝中もインスリンは分泌されますが、元々血糖値が高めの人や体質によっては、就寝中のインスリンの働きが弱まる可能性があります。
夕食の影響による血糖値の上昇を避けたい場合は、夕食で糖質の摂取量を調整して、食べ終わってから就寝するまでの間隔を空けましょう。
夕食を食べてからすぐに寝た場合、睡眠の質が悪くなる可能性もあります。
朝の血糖値は空腹時血糖値の基準を目安に個別で設定される

朝の血糖値が高い場合、血糖値を下げる際の基準としては、空腹時血糖値の基準を目安にしながら個別に設定されます。
日本糖尿病学会のガイドラインにおける血糖値管理の目標設定は、以下のとおりです。
| 項目 | 目標値 |
|---|---|
| 空腹時血糖値 | 130mg/dL未満 |
| 食後2時間血糖値 | 180mg/dL未満 |
朝の血糖値は基本的に朝起きて食事を取らずに血糖値を測定するため、空腹時血糖値が該当します。
しかし、上記の空腹時血糖値の目標値は、糖尿病に関連した合併症の発症や進行を抑制する観点から設けられた基準です。
糖尿病の初期段階や発症していない人については、さらに低い目標値を設定する可能性があります。
一方で、糖尿病以外の傷病や低血糖を起こしやすいなどの体質によって、上記の目標値よりも高めに設定しなければならない人もいます。
参照元:糖尿病診療ガイドライン2024 第2章 糖尿病治療の目標と指針 – 日本糖尿病学会
合併症や低血糖リスクを考慮して最適な血糖値の目標値を設定する
日本糖尿病学会のガイドラインでは、血糖値管理をする際に、合併症の有無や低血糖リスクも考慮して目標値を設定するものとされています。
糖尿病は複数の合併症を引き起こす可能性があり、合併症の種類によっては、ほかの人よりも血糖値を下げるのが難しい状態です。
高い目標値で達成できない内容にするよりも、段階を踏んで血糖値を少しずつ下げていくほうが、糖尿病患者への負担が減らせます。
低血糖は血糖値が高い糖尿病とは真逆ですが、糖尿病の人でも血糖値管理による食事制限や運動量の増加から糖質が不足する可能性があります。
血糖値管理の際は血糖値と併せてHbA1cの数値も重要視される

血糖値管理においては、血糖値を下げるだけでなく、HbA1cの数値の安定も重要視されています。
HbA1cは、赤血球内のヘモグロビンとブドウ糖が結合した割合を示す指標です。
HbA1cの数値は一度ブドウ糖と結合すると1〜2ヶ月間変わらず、血糖値が高い場合はHbA1cの割合も高い数値が保たれます。
そのため、検査日当日の血糖値のみでは具体的にわからない、過去1〜2ヶ月間の血糖値の状態を把握する手段として活用されます。
日本糖尿病学会のガイドラインにおけるHbA1cの目標値は、以下のとおりです。
| 目標 | HbA1c |
|---|---|
| 合併症予防のための血糖管理目標 | 7.0%未満 |
| 低血糖などの副作用はなく正常化を目指せる場合 | 6.0%未満 |
| 低血糖を起こす傾向がある場合 | 8.0%未満 |
目標値は個人の体質や傷病の有無などに合わせて設定されるため、上記の割合もあくまで例示的な数値として示されています。
血糖値は病院以外にも専用の測定器や薬局の利用から自己測定できる
血糖値は、病院の検査以外にも、専用の測定器や薬局で自己測定できます。
インスリン治療を行っている人は毎日の血糖値測定を推奨される場合があり、その際は自己測定をする必要があります。
病院以外で血糖値を自己測定する主な方法は、以下のとおりです。
| 血糖値の測定方法 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 簡易血糖測定器 | 指先採血式で血液を採取して、その場で簡易的な血糖値測定ができる |
| 持続血糖測定器(CGM) | 腕や腹部に小さなセンサーを付けて、24時間の血糖値の変動を測定する |
| ゆびさきセルフ測定室 | 薬局内に設置された指先採血式の測定器を利用する |
簡易血糖測定器や全国の薬局などに設置されたゆびさきセルフ測定室では、針を指に刺して採血してから、専用の測定器で血糖値を割り出します。
ただし、簡易血糖測定器とゆびさきセルフ測定室は採血した時点の血糖値を見るため、夜間の血糖値変動までは測定できません。
持続血糖測定器は、腕や腹部に装着した小さなセンサーで24時間の血糖値の変動を自動測定する医療機器です。
就寝中の血糖値の変動も把握できるため、ホルモン分泌や低血糖の影響など、具体的な原因を判定できます。
朝の血糖値の上昇時に自己判断による食事制限や薬による調整は避ける

朝の血糖値の自己測定を始めてから、上昇傾向が見られても、自己判断で食事制限や薬による血糖値の調整は避けてください。
自己判断による血糖値の調整は、低血糖などの予期しない副作用を招く危険性があるため、推奨されていません。
日本糖尿病学会のガイドラインでは、血糖管理において食事療法と運動療法を基本として、2〜3ヶ月間継続する基準が示されています。
食事や運動を継続しても血糖値の上昇が見られる場合は、医師の判断の下、薬物療法の開始や変更が検討されます。
朝の血糖値が高い場合の原因特定や改善内容は専門家の意見を取り入れる
朝の血糖値が高い状態が続いている場合、原因の特定や治療は専門家の意見を取り入れてください。
通院中の病院で定期的に血糖値を測定している場合は、血糖値が高くなった際も、比較的早く原因が特定できます。
しかし、健康診断以外では血糖値を測定しておらず、血糖値を把握する機会が年1回のみという人もいます。
健康診断で1度でも血糖値が高めと診断された人は、病院で定期健診として血糖値を測定する頻度を増やすと良いでしょう。
通院中の病院に管理栄養士が在籍している場合は、朝の血糖値を下げるための食事内容や食べる時間帯を相談できます。
朝の血糖値は医師の診察から原因を特定して改善できるように対策する
朝の血糖値は就寝中のホルモン分泌や低血糖、就寝前の夕食の糖質摂取量や時間帯の影響から、起床した時点で上昇する可能性があります。
日本糖尿病学会のガイドラインの血糖値管理においては、空腹時血糖値の基準が目安ですが、実際の血糖値の目標値は個人ごとに異なります。
朝の血糖値が高い原因の特定や治療内容については、医師の診察を受けて改善するための対策を講じていきましょう。
自己判断で食事の糖質摂取量や血糖値を下げる薬の投与を行うと、低血糖リスクなど血糖値の上昇以外の体調不良や傷病を引き起こします。
