MENU

健康診断で血糖値が高い際に再検査を受けて現状を正しく把握する方法

健康診断の結果表に再検査と記載されて、不安に感じている人もいるのではないでしょうか。

再検査の通知は糖尿病の確定診断ではありませんが、早期発見がその後の生活を左右する場合もあるため、放置せずに早期に医療機関を受診する必要があります。

この記事では、日本糖尿病学会の「診療ガイドライン2024」と厚生労働省の公的資料に基づき、再検査の方法や重要性を解説します。

この記事でわかること

  • 再検査による糖尿病型把握の必要性
  • 糖尿病型の検査と確定診断
  • 自覚症状の有無に関わらず再検査を受ける重要性
  • 原因特定や治療方針決定に役立つ生活記録
  • 定期検査の必要性
再検査は身体の状態を正確に把握するための確認プロセスであり、健康診断で血糖値の異常を指摘された場合は、速やかに医療機関を受診してください。
目次

糖尿病の確定診断は健康診断の結果ではなく再検査によって行われる

糖尿病の確定診断は健康診断の結果ではなく再検査によって行われる

健康診断は、病気の早期発見や早期治療を目的として実施する検査です。

特に糖尿病に関しては自覚症状が乏しいため、本人も気づかないうちに進行しているケースがあり、健康診断で発見される場合も多いとされています。

糖尿病の場合は、血液検査で血糖値HbA1c(ヘモグロビンA1c)と呼ばれる検査項目を調べて判定するのが一般的です。

ただし日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」では、血糖値またはHbA1cのどちらか一方のみが糖尿病型の数値を示しても、すぐに糖尿病と診断しないとしています。

1度の検査では確定診断せず、再検査によって確認する考え方が示されています。

再検査は血糖値の状態を正確に把握するために重要である

血糖値は食事や運動、採血時間帯などさまざまな要因で一時的に変動するといわれています。

そのため健康診断で血糖値が高い場合でも、その数値が本来の状態なのか、それとも何らかの影響を受けて一時的に変動しているものなのかを正確に把握するのが大切です。

もし1度の検査数値のみで糖尿病と診断してしまうと、適切な治療や生活指導が受けられない可能性があるため、日本糖尿病学会のガイドラインは再検査を原則としています。

ただし、血糖値やHbA1cが同一採血でともに糖尿病型の場合、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024 1章 糖尿病診断の指針」では糖尿病と診断するとしています。

それ以外のケースでは別の日に再検査を実施し、正確な数値の把握や合併症の出現がないか診察を行い、糖尿病を診断するのが一般的です。

再検査では血糖値だけでなく、HbA1cと呼ばれる検査項目も重要視されます。

HbA1cとは、過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値状態を反映した数値のことです。

採血当日の体調や食事の影響を受けないため、採血前の行動に左右される血糖値と組み合わせて多角的に評価を行い、正確な診断を行います。

こうした診断プロセスによって、健康診断で出た数値が一時的な変動なのか、継続して高血糖なのかを判断して適切な治療へとつなげます

参照元:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」

適切な治療介入は将来の深刻な合併症予防につながる可能性がある

適切な治療介入は将来の深刻な合併症予防につながる可能性がある

糖尿病は自覚症状が乏しく、高血糖の状態が続くと血管を傷つけてしまい、重大な合併症を引き起こす可能性があるといわれています。

厚生労働省の糖尿病対策資料でも、早期発見と治療介入の重要性が示されており、健康診断で異常を指摘された段階で速やかに再検査を受けるのが重症化予防には望ましいです。

しかし、健康診断で血糖値が高いと指摘されても、再検査を受けずに今までと同じような生活を送っていると徐々に病気は進行する場合があります。

慢性的な高血糖状態が続くと細い血管から順に負荷が蓄積され、網膜症腎症神経障害といった糖尿病の三大合併症を引き起こす危険性があります。

さらに、動脈硬化が進行してくると心疾患脳卒中を引き起こす可能性も高まり、早期の対策が欠かせません。

再検査を行い、血糖値の状態を正確に把握すると適切な治療介入が可能となり、重症化予防につながるといわれています。

参照元:糖尿病対策-厚生労働省

糖尿病型の確定診断は再検査や合併症の有無を含めて総合的に判断される

糖尿病型と判定される基準値は、厚生労働省および日本糖尿病学会の資料で明確に示されています。

糖尿病型の判定基準は、以下の4つのいずれかに該当する場合であり、これらの数値や症状を組み合わせて糖尿病を診断するとされています。

検査項目糖尿病型の基準値
空腹時血糖値126mg/dL以上
75gOGTT2時間値200mg/dL以上
随時血糖値200mg/dL以上
HbA1c6.5%以上

ただし、上記の数値は医師が診断の判断材料として参照するものであり、健康診断の結果から自己判断で用いないようにしましょう。

再検査の結果や合併症の有無などを医師が総合的にみて診断するため、数値はあくまで医師と照らし合わせる際の参考として使用してください。

参照元:糖尿病の新しい診断基準とHbA1cの国際標準化への対応-厚生労働省

健康診断で測定される血糖値は糖尿病型を判定するための重要な指標である

健康診断で測定される血糖値は糖尿病型を判定するための重要な指標である

空腹時血糖値とは、最低8時間以上の絶食後に測定した血糖値のことで、126mg/dL以上が糖尿病型の基準値です。

一方、随時血糖値は食事などの時間を考慮せずに測定した数値であるため影響を受けて変動するのが特徴ですが、この数値が200mg/dL以上の場合は糖尿病型と判定されます。

健康診断の採血は多くの場合空腹時に行われますが、この2つの違いを把握しておくと食事状況などを医師に詳しく説明ができるため、再検査の際にも正確な情報提供が可能です。

なお、これらの数値が糖尿病型であっても確定診断をするものではなく、別日に実施する再検査の結果を踏まえて総合的に判断されます。

ただし食後の経過時間に関わらず、血糖値が200mg/dLを超えている場合は速やかな対応が求められるため、早期に専門医の指導を受けましょう。

さらに日本糖尿病学会のガイドラインでは、口渇や体重減少など糖尿病の典型的な症状がある場合も、速やかに医療機関を受診する水準であると示しています。

糖尿病の診断は検査値や症状の有無に基づき判断される

糖尿病は1回の検査で確定するのではなく、2回以上検査を行って糖尿病型が認められた場合に診断するとされています。

診断においては、血糖値の他にHbA1cの値も重要な役割を果たします。

HbA1cとは、赤血球中のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を示す指標のことです。

1度結合したブドウ糖はヘモグロビンの寿命である約120日が尽きるまで離れないため、HbA1cの数値は過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値の状態を反映します。

そのため、HbA1cは健康診断当日の食事や体調による変動を受けず、6.5%以上の数値は慢性的な高血糖状態を示唆する指標といわれています。

HbA1c6.5%以上は糖尿病型の基準値のひとつですが、HbA1cのみを繰り返し測定しても糖尿病の確定診断には用いられません

ただし、血糖値とHbA1cが同一採血でともに糖尿病型を示す場合に限り、1回の検査で診断できると糖尿病診療ガイドラインで示されています。

さらに、空腹時や随時血糖値、75gOGTT2時間値が糖尿病型で以下の条件を満たしている場合も1回の検査で糖尿病と診断される可能性があります。

  • 口渇、多飲、多尿など糖尿病の典型的な症状がある
  • 糖尿病性網膜症を合併している

このように糖尿病の診断は1度の検査結果だけで確定するのではなく、再検査を通じて血糖値やHbA1cの推移、さらには合併症の有無などから慎重に診断されます。

再検査の通知を受けた際は早期に医療機関を受診するのが望ましい

再検査の通知を受けた際は早期に医療機関を受診するのが望ましい

再検査の通知を受けた人のなかには、自覚症状がない人も多くいますが、すでに高血糖の症状が現れている場合もあります。

しかし、高血糖の症状は普段の生活で感じる不調と似ているため、それが高血糖によるものであると気づくのが困難です。

厚生労働省の糖尿病診断基準に関する資料では、以下の症状が高血糖に伴う典型的な症状と示しています。

  • 喉の渇き
  • 大量の水分摂取
  • 尿量が著しく増える
  • 体重減少
健康診断で血糖値が高く再検査となった場合でも、これらの症状の出現がある時は、再検査の予約を待たずに内科や糖尿病内科を受診するのが望ましいです。

さらに、体は血液中のブドウ糖をエネルギーとして利用しますが、糖尿病の場合はブドウ糖を上手にエネルギーとして利用できなくなります。

その結果、体はエネルギー源として脂肪や筋肉を分解し始めるため、急激な体重減少が起こります。

そのため、数週間で数kgの体重が減少している場合も自己判断せず、医療機関で検査を受けてください。

ただし、自覚症状の有無に関わらず、検査結果の数値を客観的な事実として受け止めて再検査を必ず受けましょう。

糖尿病の初期段階では自覚症状を伴わない場合が多く、症状が出たころにはすでにある程度進行している可能性があります。

健康診断の結果は身体が発している異常なサインであるため、数値が糖尿病型に該当した際には速やかに医療機関を受診するのが大切です。

症状がない場合でも再検査を受けて現状を正確に把握するのが大切である

高血糖に伴う症状がなくても、糖尿病型の基準に該当する数値が出た場合は医療機関で再検査を受けるのが望ましいです。

糖尿病は自覚症状が乏しい疾患といわれていますが、再検査を受けずに放置していると、徐々に病気は進行して重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

そのため、健康診断で血糖値の異常を指摘された段階で早期に再検査を行い、適切な治療の開始が合併症予防において極めて重要とされています。

再検査を受ける際は、健康診断の結果表を必ず持参しましょう。

日本糖尿病学会のガイドラインでは、初回の検査方法によって再検査の内容は異なるとしています。

  • 初回がHbA1cのみの場合は再検査に血糖値による判定を含める
  • 初回が随時血糖値の場合は75gOGTTなど他の方法を組み合わせる

血糖値は常に変動するため、1度の検査や単一の項目のみで判断するのは難しく、血糖値の推移を正しく把握するのが大切です。

特に自覚症状がない場合は別の日に2回以上検査を行い、血糖値の推移を慎重に確認した上で診断するといわれています。

医師がこれまでの経過を正確に把握した上で、検査や治療方針を検討できるよう、健康診断の結果表を持参して受診してください。

生活習慣の記録は高血糖の原因特定や治療方針決定に役立つ

生活習慣の記録は高血糖の原因特定や治療方針決定に役立つ

糖尿病は生活習慣が深く関係している場合も多いため、再検査までの期間に食事や運動など日々の生活を記録しておくと受診時に役立ちます。

こうした生活データは診断の直接的な判断材料にならない場合もありますが、医師が生活習慣の傾向を把握し、より具体的な指導や治療方針を立てるのに貴重な情報です。

再検査までに以下のような項目を記録して、持参するのが望ましいでしょう。

  • 食事の内容や時間帯、間食の有無
  • 歩いた時間や距離、強度などの運動量
  • 睡眠時間
  • 疲労感や口渇の有無
  • 体重

厚生労働省は、糖尿病対策として生活習慣の改善を重要な取り組みとして位置づけており、日々の行動を記録する習慣そのものが自己管理の第一歩となるとしています。

これらの記録は再検査を受けるまでではなく、自分の生活習慣を可視化するのに役立つため、継続して記録を行うのも大切です。

記録を続けると、血糖値の上昇につながる食事のパターンや、運動量が少ない曜日の傾向が見えてきます。

さらに、睡眠不足や慢性的なストレスは血糖値を上昇させるホルモンの分泌に影響を与えるといわれているため、睡眠時間なども記録するのが血糖値の変動を把握する上で重要です。

生活記録と検査数値により、医師は食事や運動などを含めた多角的な視点から現状を分析できるため、個々の病態に即した適切な治療計画の立案に役立ちます。

参照元:糖尿病などの生活習慣病対策への厚生労働省のとりくみ

定期的な検査は治療効果判定のために必要不可欠である

再検査を受けた後も、血糖値やHbA1cの推移の確認を定期的に行い、糖尿病の発症や重症化を予防するのが大切です。

厚生労働省の生活習慣病対策に関する資料においても、糖尿病対策には適切な治療や生活習慣の改善を推奨しています。

食事に関しては特定の食品を極端に制限するのではなく、食事全体のバランス摂取方法を改善する必要があります。

さらに、運動も血糖値コントロールには必要とされているため、無理のない範囲で日常生活に取り入れるのが望ましいです。

ただし、再検査後に生活習慣に気をつけているからといって、自己判断で受診を中断してはいけません。

定期的に医療機関を受診して、生活習慣の改善が適切か、血糖値コントロールができているかなどの経過を医師と確認するのが重要です。

重症化を予防するためにも、定期的に検査を行い、血糖値の推移を確認していきましょう。

正しい知識に基づいて自分の身体と向き合う姿勢が健やかな未来を形作る

正しい知識に基づいて自分の身体と向き合う姿勢が健やかな未来を形作る

健康診断で血糖値が高いと指摘された場合、自覚症状の有無に関わらず、医療機関で再検査を受ける必要があります。

特に口渇や多飲、急激な体重減少などの症状がある場合は、速やかに内科や糖尿病内科を受診してください。

症状がなくても糖尿病は自覚症状が乏しいまま進行するといわれているため、早期に再検査を受けて適切な治療を開始し、糖尿病の発症や合併症を予防するのが大切です。

糖尿病は生活習慣が深く関わっている場合が多いため、再検査で糖尿病と診断されても適切な指導のもとで治療を行い、生活習慣を改善すると数値が改善する可能性もあります。

完治は難しくても、血糖値コントロールが良好になると、合併症予防につながるとされています。

そのため1度の検査で終わらせず、生活習慣の改善を継続しながら定期的に医療機関を受診し、重症化を未然に防いでいきましょう。

目次