年齢とともにお腹周りの脂肪が気になってきたり、生活習慣はほとんど変わっていないにもかかわらず、体重が増えてしまったりする人は多いです。
その原因は内臓脂肪の増加に隠されており、放置すると様々な健康への障害を引き起こします。
この記事では、年齢別の内臓脂肪レベルの平均値や内臓脂肪の増加によって起こる体内の変化について解説します。
この記事でわかること
- 内臓脂肪レベルの一般的な判断基準
- 年齢を基準とする内臓脂肪レベルの平均値
- 内臓脂肪と皮下脂肪の違い
- 内臓脂肪の蓄積がもたらす健康被害
- 内臓脂肪レベルの改善方法
- 内臓脂肪レベルの正しい測定方法
自分の内臓脂肪レベルが同世代と比べて一般的であるか疑問を抱えていたり、効果的にお腹周りをすっきりしたいと考えていたりする人は、ぜひ読んでみてください。
自分の内臓脂肪レベルが同年代の平均と比較してどの位置にあるかを知る

自分の内臓脂肪レベルが正常であるかどうかの把握は、生活習慣を見直すきっかけになるため重要です。
BMIや腹囲からおおまかな内臓脂肪の程度を算出できますが、皮下脂肪や筋肉も含まれてしまい、正確な把握はできません。
腹囲の異常値は女性が90cm以上、男性が85cm以上であり、その値を超えると内臓脂肪や皮下脂肪が高い状態である肥満と判断されます。
内臓脂肪レベルの正しい計測には、体組成計の利用が一般的です。
家庭用体組成計は3,000~10,000円で購入できるほか、スポーツジムや医療機関には無料で測定できる機械が用意されており、簡単に計測できます。
内臓脂肪レベルは基礎代謝に深く関係しており、基礎代謝は年齢によって変わるため、自分の年齢に合った内臓脂肪レベルの平均値の把握が大切です。
標準とされる内臓脂肪レベルの範囲と判定基準を正しく理解する
内臓脂肪レベルは、内臓脂肪面積が約10平方センチメートル増える毎に1つ段階が上がる目安とされています。
体組成計メーカーが設定する、一般的な内臓脂肪レベルの判定基準を下記の表に示します。
| 内臓脂肪レベル | 判定基準 | 判定の捉え方 |
|---|---|---|
| ~9.5 | 標準 | 内臓脂肪蓄積のリスクが低い |
| 10.0~14.5 | やや過剰 | 適度な運動とカロリー制限が必要 |
| 15.0~ | 過剰 | 積極的な運動と食事制限による減量が必要 |
内臓脂肪レベルは医学的に共通する単位ではなく、各メーカーが独自で設けた推定値であり、家庭用体組成計における基準です。
内臓脂肪レベルが10を超えている場合、生活習慣病になるなど健康に障害をもたらす可能性が高いため、具体的な改善策を実施する必要があります。
一般的に内臓脂肪レベルが10以上の人は、腹囲も女性は90cm、男性は85cmという基準値を超える傾向にあります。
年齢別の内臓脂肪レベルの平均値を理解して自分の立ち位置を知る

内臓脂肪が蓄積される原因は、過剰なカロリー摂取のほか、ホルモンバランスの変化や基礎代謝と筋肉量の低下です。
年齢とともに基礎代謝が落ちて筋肉量が減少すると、必然的に内臓脂肪は増加します。
自分の年齢に合った内臓脂肪レベルの平均値を知ると、健康状態が平均よりも良いのか悪いのかが判断できます。
以下の表は、年齢別の内臓脂肪レベルの平均値を示したものです。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 20代 | 6 | 3 |
| 30代 | 8 | 4 |
| 40代 | 9 | 5 |
| 50代 | 10 | 7 |
| 60代 | 12 | 6.5 |
若いうちから内臓脂肪レベルが平均値よりも高い人は、年齢とともに内臓脂肪が蓄積する傾向があるため、早めの生活改善が好ましいです。
内臓脂肪は静かに生活習慣病を引き起こす隠れ肥満である
内臓脂肪レベルが高い人は隠れ肥満といわれ、一見太って見えませんが、体には確実に悪影響を与えています。
内臓脂肪の特徴は、以下の通りです。
- 皮下脂肪より硬く、手で掴めない
- 体型などの見た目に表れなかったり、服で隠れてしまったりして肥満に見えない
- 女性より男性の方が蓄積される傾向がある
- 生活習慣病の原因になる
- エネルギーとして消費され、運動などを行うと容易に燃焼できる
皮下脂肪は外的要因から体を守る役割があり、内臓脂肪は内臓周囲に蓄えられてエネルギー不足の際に燃焼してエネルギー源となります。
女性は皮下脂肪が蓄積する傾向がありますが、これは子宮や卵巣など妊娠や出産に関連する臓器を守るためです。
反対に男性は女性より代謝が高く、多くのエネルギーを必要としており、内臓脂肪の方が優位に蓄積されます。
加齢に伴う基礎代謝の低下が内臓脂肪の蓄積に影響を及ぼす

基礎代謝量は歳を重ねるごとに低下するため、同じ生活をしていても、若い頃に比べて消費しきれない脂肪が蓄積されてしまいます。
食事や生活習慣が変わっていないのにもかかわらず、太ったような気がする場合、基礎代謝量の低下が原因のひとつです。
下記の表は、厚生労働省が出している日本人の基礎代謝基準値です。
| 男性の基礎代謝量(kcal/日) | 女性の基礎代謝量(kcal/日) | |
|---|---|---|
| 18~29歳 | 1520 | 1110 |
| 30~49歳 | 1530 | 1150 |
| 50~69歳 | 1400 | 1100 |
| 70歳以上 | 1290 | 1020 |
参照元:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~
特に男性の場合、20代と50〜60代の基礎代謝には120kcalも差があり、これは切り餅1個分のカロリーと同じです。
一方、女性は40代を過ぎると更年期に差し掛かり、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下します。
エストロゲンは内臓脂肪の蓄積を防ぎますが、分泌量が低下すると、そのバリア機能がうまく作用しません。
筋肉を増加させる働きを持つ男性ホルモンのテストステロンも、同じく40代以降に徐々に低下していきます。
テストステロンの機能低下に伴って筋肉が減ると、基礎代謝量が低下して、内臓脂肪の蓄積を助長します。
内臓脂肪は皮下脂肪よりも燃焼の効率が高く生活の改善に対する反応が良い
歳を重ねる毎に容易に蓄積されるようになる内臓脂肪は、皮下脂肪に比べるとエネルギーとして消費される優先順位が高い特徴を持ちます。
内臓脂肪型肥満は、ウエストまわりにある脂肪の蓄積によってお腹が膨らみ、丸くなった形がリンゴのように見えるリンゴ型に太ります。
内臓周囲にある位置関係から、臓器を動かす際のエネルギーとして消費される優先度が高いです。
一方、皮下脂肪型肥満は太ももやお尻など下半身に脂肪がつき、洋ナシ型に太ります。
寒さや衝撃から体を守る役割があるため、簡単には燃焼されません。
内臓脂肪蓄積の放置によって若々しさと健康が奪われる

体型に目に見える変化がなくても、内臓脂肪は基礎代謝量の低下や食事内容の変化によって静かに増えます。
内臓脂肪が産生する炎症性物質は、筋肉の合成を阻害したり、筋肉の分解を促進したりします。
年齢とともに筋肉量は自然に減少しますが、その流れを加速するのは炎症性物質の影響です。
筋肉の減少により、基礎代謝が低下して消費エネルギーが減るため、脂肪がさらに蓄積するという悪循環を招きます。
内臓脂肪の蓄積を放置した結果、以下のような身体の変化が現れます。
- 体重が変わらなくても体脂肪率は上昇
- 同じ生活習慣でも疲労が残り、回復力や体力の低下を自覚する
- 顔やお尻がたるみ、見た目年齢が上がる
- 猫背や腰痛など姿勢トラブルが増える
内臓脂肪の蓄積による若々しさの低下は、見た目のみならず、体調面にも現れ始めます。
筋肉量の低下と脂肪蓄積により見た目が老け込んでしまう
内臓脂肪が増えると体幹を支える筋力が低下し、背中や腰まわりに脂肪が集まって身体の重心が前方へ移動します。
その影響で猫背や反り腰などの姿勢不良をもたらし、首や腰への負担を増やして慢性的な痛みの原因になります。
筋肉量の低下は皮膚や皮下組織を支える力も弱めるため、下記のような変化をおこし、若々しい容姿を奪いかねません。
- 頬やフェイスラインの下垂
- お尻の位置が下がる
- 全体的に締まりのない体型になる
体重が変わらなくても脂肪と筋肉の比率が変わると見た目年齢は上がり、老け込んで見えます。
内臓脂肪の蓄積によりさまざまな生活習慣病を引き起こす
内臓脂肪の蓄積による影響は多岐にわたり、全身で臓器の機能低下や阻害をもたらします。
以下は、内臓脂肪の蓄積によって起こる具体的な体の変化です。
- インスリンの働きを阻害し高血糖が持続する
- 筋肉の合成阻害と分解促進による筋肉量低下
- 食欲を抑制するホルモンが抑制され食欲が増進する
- 中性脂肪や悪玉コレステロールが増える
- 肝臓にも脂肪が蓄積して機能が低下する
筋肉量の低下に伴って基礎代謝が下がっているにもかかわらず、食欲の増進で食べすぎてしまうと、さらに内臓脂肪が蓄積されてしまいます。
内臓脂肪がもたらす合併症は以下に挙げる通り、幅広くあります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 脳出血
- 脂肪肝
- 肝機能障害
- 高尿酸血症
- 痛風
- 変形性膝関節症
- 腰痛
内臓脂肪の蓄積が進むほど、生活習慣病を中心に様々な疾患が連鎖的に発症してしまうため、早めの対策が重要です。
代謝を味方に付けて内臓脂肪レベルを1つ改善させる

内臓脂肪は、無理な運動や食事制限による減量ではなく、代謝を上げて効率よく減らしましょう。
厳しい食事制限によって筋肉量が低下すると代謝が下がってしまい、運動をしても十分に脂肪が燃焼されません。
自分の年齢の内臓脂肪レベルの目安を確認し、最初にレベルを1つ下げる計画を策定します。
体温の上昇によって代謝も上がるため、ゆっくり湯船に浸かる習慣作りもおすすめです。
38〜40度の少しぬるめのお湯に10分以上浸かると、体温が緩やかに上昇してリラックス効果をもたらします。
ストレスホルモンが分泌されると食欲増進や内臓脂肪の蓄積が進みますが、入浴によってストレス解消が期待できます。
有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせて脂肪燃焼を加速させる
内臓脂肪の減少には、運動によるエネルギー消費と代謝向上の両立が不可欠です。
短時間のウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動では、開始直後は糖質の消費が優先されますが、20分前後を過ぎると脂肪利用の割合が高まります。
そのため、内臓脂肪を減少させるには、少し息が弾む程度の強度で下記のような有酸素運動を20分以上行う必要があります。
- ウォーキング
- ランニング
- 水泳
- サイクリング
- ラジオ体操
無理なく継続できるように、少し早めに家を出て一駅分歩いたり、買い物の前後に長めに散歩をしたりするなど日常生活に運動を組み込むようにしましょう。
一方で、筋力トレーニングは筋繊維に刺激を与えて筋肉量の維持と増加を促し、基礎代謝量の向上に効果的です。
特にお尻や太ももなどの主要な筋肉のトレーニングは、効率よく筋肉量を増加させて代謝の向上が図れます。
以下の筋肉トレーニングを、1セット10~15回として1日1~3セット行います。
- スクワット
- 階段昇降
- 腹筋
- 腕立て伏せ
- プランク
筋肉に強い負荷がかかっており、しっかりと回復期間を確保する必要性から、2~3日に一度のペースが適切です。
筋肉トレーニング後は成長ホルモンの分泌が活発になって代謝が引き上げられているため、直後に有酸素運動を組み合わせる流れが、内臓脂肪対策の近道になります。
糖質と脂質のバランスを整える低GI食品を取り入れた食事が内臓脂肪の減少を促す

内臓脂肪の対策では、単純なカロリー制限や脂質を抑えるのみでは十分な成果につながりません。
血糖値の急激な上昇はインスリンの分泌を増加させますが、インスリンには余分な糖を内臓脂肪として蓄えるよう指令を出す働きがあります。
そのため、内臓脂肪の蓄積を抑えたい場合は、食後の血糖値の上昇が緩やかな低GI食品を選びましょう。
低GI食品はインスリンの過剰分泌を抑えるうえ、満腹感も得られるため、食べすぎを防げます。
以下は、食品に含まれるGI値の目安を3つのレベル別に示した表です。
| 低GI食品(55以下) | 中GI食品(56~69) | 高GI食品(70~) |
|---|---|---|
| 玄米、雑穀米、オートミール、全粒粉パン、そば、納豆、大豆、レンズ豆、ヨーグルト、牛乳、チーズ、ナッツ類、キノコ類、りんご、いちご、レタス、キャベツ、たまねぎ | お粥、ライ麦パン、うどん、パスタ、かぼちゃ、さつまいも、バナナ、すいか、パイナップル | 白米、食パン、菓子パン、餅、うどん、ラーメン、フライドポテト、スナック菓子、ドーナツ、ケーキ、クッキー、アイスクリーム、砂糖入り飲料、じゃがいも、にんじん |
低GI食品を取り入れながら、同時に筋肉の材料となるタンパク質を十分に摂取すると基礎代謝の確保につながり、脂肪燃焼の土台が強化されます。
摂取したいタンパク質として挙げられる食材は、以下の通りです。
- 鶏むね肉
- ささみ
- 赤身肉
- 白身魚
- 豆腐
- 納豆
- 卵
肉や魚からタンパク質を摂る際には、脂質の少ない部位を選択して余計な内臓脂肪の蓄積を予防してください。
総摂取エネルギーを整えながら血糖値の上昇を緩やかにする食生活が、内臓脂肪をため込まない体質への転換を後押しします。
毎日決まった時間に内臓脂肪レベルを測定して正確なデータを記録する

決まった時間に同じ条件で内臓脂肪レベルを測定すると、データの信頼性が高まって効果を正確に確認できます。
たとえば、下記のように体組成計で内臓脂肪レベルを測るタイミングを決めます。
- 起床後にトイレを済ませてから測定する
- 入浴または食事の前に測定する
- 寝る前にトイレを済ませてから測定する
体内の水分量は食事や入浴、活動量の影響を受けて容易に変動するため、測定条件がばらつくと数値に誤差が生じて正しい評価ができません。
体型や体重の変化のみが指標の場合は取り組みの効果を正確に把握できず、努力の方向性が曖昧になりますが、客観的で正確なデータが蓄積されると体の反応が見えてきます。
小さな反応もすぐに把握できるようになり、食事や運動の修正が早い段階で行えます。
内臓脂肪レベルの測定をルーティン化し、生活習慣の一部に取り込んで自然に行える環境を整えましょう。
正確な数値把握に基づいた生活習慣の改善が将来の健康を守る
内臓脂肪の変化は自覚症状に乏しく、体型の印象と体重の変化では内臓脂肪レベルが正常の範囲内であるのか、判断がつきません。
体組成計や健康診断の数値を定期的に確認し、自分の年齢の平均値を知って、体の状態を正確に把握する姿勢が大切です。
内臓脂肪の蓄積を放置すると、糖尿病や脳梗塞などの命にかかわる病気を引き起こす場合もあります。
しかし、内臓脂肪の数値は食事や運動などの生活習慣の影響が比較的早く反映されるため、努力によって改善が期待できます。
内臓脂肪レベルを1つずつ確実に改善させていき、明るく健康的な将来を手に入れましょう。
