GI値は食品を食べたときの血糖値の上昇度を示す数値であり、GI値が低い食品ほど血糖値の上昇を抑えられます。
しかし、一般的な商品にはGI値が表記されていないため、どの食品が低GIに該当するかわからない人も多いでしょう。
GI値を詳しく知らずに取り入れた場合、低GI食品の摂取でも健康的ではなくなる可能性もあります。
この記事では、低GIに該当する食品のランキングやGI値を食事に正しく取り入れる方法などをまとめました。
この記事で分かること
- GI値は55以下の数値が低GI食品に該当する
- 低GI食品の多くは糖質の吸収を緩やかにする食物繊維が多く含まれる
- 低GI食品でも調理や加工によっては高GIに変化する可能性がある
- 糖質の多い炭水化物でも原材料によってはGI値を抑えられる
- 野菜は低GI食品に該当するものが多いが、高GIの野菜もある
- 低GI食品だけでは栄養素が偏るため、中GIや高GIも工夫して取り入れる
- 食物繊維を先に摂取した場合、後から食べる高GI食品も血糖値の上昇を抑えられる
- 低GI食品でも食べ過ぎは栄養素の偏りやカロリー過多につながる
血糖値の高さが気になる人は、GI値の参照から血糖値の上昇対策につながるため、参考にしてください。
GI値は血糖値の上昇度を示す指標で数値が低いほど血糖値を上昇させない

GI値は食品を食べた際の食後血糖値の上昇度を示す指標であり、GI値によって以下の3つに分類されます。
| 分類 | GI値 |
|---|---|
| 高GI | 70以上 |
| 中GI | 69〜56 |
| 低GI | 55以下 |
血糖値の上昇は食事で糖質を摂取した際に起こり、体内で分泌されるインスリンによって、正常な数値に戻されます。
しかし、糖質の過剰摂取で血糖値が急上昇した場合はインスリンの分泌量が追い付かず、血糖値を下げきれません。
高GIに分類される食品は血糖値の急上昇を引き起こす可能性が高いため、食べ過ぎに気を付けるべき食材です。
一方、低GIに分類される食品は血糖値の上昇が少なく、食品によっては高GI食品の摂取による血糖値の上昇も抑えられます。
食物繊維の含有量が多い食品は血糖値の上昇を緩やかにできる
GI値の算出にはさまざまな基準がありますが、低GIには食物繊維を多く含む食品が分類される傾向があります。
食物繊維のうち、水溶性食物繊維を摂取した場合、体内で以下のように変化して血糖値の上昇を緩やかにします。
- 水溶性食物繊維は体内で消化されず、水分を吸収して粘着力のある物質に変化する
- 粘着力のある物質は胃や腸に残り、糖質などの摂取された栄養素にくっついて、消化吸収を遅らせる
- 糖質の消化吸収が遅れると血糖値が緩やかに上昇する
そのため、食物繊維を多く含む食品は低GIでありつつ、糖質による血糖値の急上昇を抑えられる食品です。
低GI食品でも調理や加工によっては高GI食品に変化する
GI値は同じ原材料を使ったものでも、調理や加工によって変化する場合があります。
たとえば、イチゴはGI値29の低GIですが、イチゴジャムに加工された場合はGI値82の高GIです。
実際にGI値を参照した食生活を始める際は、イチゴのように元々のGI値が低い食品でも、調理の仕方に気を付けましょう。
特に甘みが足りないと思って砂糖を加えてしまうと、血糖値を直接的に上げる糖質からGI値は高まります。
一方で、高GI食品でも食べるときの工夫や調理方法によっては、血糖値の上昇を抑えられます。
低GI食品に該当する日本の食卓で主要な食品のランキング

低GIのGI値55以下に該当する食品のなかで、日本の食卓でも多く見られる食品の数値は、以下のとおりです。
| 食品 | GI値 |
|---|---|
| ほうれん草 | 15 |
| 昆布 | 17 |
| ひじき | 19 |
| ピーナッツ | 20 |
| もやし | 22 |
| きゅうり レタス 小松菜 しらたき 豆乳 ピスタチオ | 23 |
| モロヘイヤ こんにゃく | 24 |
| ブロッコリー グリーンアスパラ 牛乳 プレーンヨーグルト アーモンド | 25 |
| ピーマン キャベツ なめこ | 26 |
| しめじ アボカド | 27 |
| オクラ 長ネギ マイタケ エリンギ | 28 |
| トマト 玉ねぎ 卵 バター 大豆 枝豆 納豆 | 30 |
| レモン ブルーベリー | 34 |
| キウイ | 35 |
| まぐろ アジ エビ イカ ししゃも しらす あさり | 40 |
| 豆腐 | 42 |
| ウニ シジミ あわび | 44 |
| ごぼう 鶏肉 牡蠣 | 45 |
| 豚肉 ハム ソーセージ 厚揚げ | 46 |
| ベーコン | 49 |
| ツナ缶 全粒粉パン 全粒粉パスタ 麦 中華麺 | 50 |
| そば | 54 |
| 玄米 ライ麦 パンオートミール さつま芋 バナナ | 55 |
GI値30以下の食品では野菜やキノコ類、豆類が多く、これらの食品は食物繊維を多く含んでいます。
糖質を多く含む炭水化物の食品でも原材料によってはGI値が低い
糖質は血糖値を直接的に上げるため、糖質の多い炭水化物の主食であるご飯やパン、麺類はいずれもGI値が高い食品です。
しかし、原材料が変わると同じご飯やパンでも、GI値を抑えられる場合があります。
代表的な炭水化物の主食におけるGI値の例は、以下のとおりです。
| 分類 | 一般的な主食のGI値 | 低GIの主食 |
|---|---|---|
| 米 | 精白米:88 もち:85 赤飯:77 | 玄米:55 |
| パン | 食パン:95 フランスパン:95 | 全粒粉パン:50 |
| 麺 | うどん:85 そうめん:80 パスタ:65 | そば:54 中華麵:50 全粒粉パスタ:50 |
低GI食品でもGI値は50前後ですが、一般的な主食と比較した場合、20〜30程度GI値を低くできます。
普段から主食をたくさん食べている人は、低GIの主食への置き換えを検討してみましょう。
間食で食べる食品も商品に含まれる成分量によってはGI値を抑えられる

空腹が長く続くと、次の食事で食べる量が増えて、食べ過ぎから血糖値の急上昇につながる可能性があります。
そのため、おやつなどの間食は栄養素や食べる量を意識した場合、空腹を一時的に抑えられる点で血糖値の上昇対策につながります。
間食でよく食べられる甘いお菓子類の多くは砂糖を含んでいるため、GI値は高い部類です。
しかし、以下のように健康的な商品を選んだ場合は、低GI食品で間食できます。
| お菓子類 | GI値 |
|---|---|
| チョコレート | 91 |
| 高カカオチョコレート | 18~27 |
高カカオチョコレートは低GIの商品が販売されており、甘さを残しつつ血糖値の上昇を緩やかにできる商品開発をしています。
チョコレート以外でも健康を意識した商品が販売されているため、間食が必要な人は商品の特徴を見て選びましょう。
高GI食品も栄養素のために低GI食品と組み合わせて取り入れる

GI値を参照した食事を始める場合、血糖値の高い人が高GI食品を一切食べてはいけないわけではありません。
高GI食品のなかには栄養価が優れた食品もあるため、低GI食品のみでは足りない栄養素を補えます。
毎日食べる食品はなるべく低GI食品から探しつつ、中GIから高GIの食品も工夫しながら取り入れていきましょう。
具体的なGI値を参照した食事における工夫は、以下のとおりです。
- 食べる順番を意識して、食物繊維の後にGI値の高い食品を食べる
- 調味料を活用して、血糖値の上昇を緩やかにする
- 体質に合う場合はご飯の温度や麺類の茹で時間を調節する
特に栄養素の食べる順番は、簡単に実践できるため、食事で意識してみてください。
高GI食品より前に食物繊維を摂取して血糖値の上昇を緩やかにする
食物繊維の血糖値の上昇を緩やかにする働きは、体内に残っていれば後から食べた食品にも効果を発揮します。
そのため、食事で高GI食品を食べる際は、食物繊維の後に摂取しましょう。
血糖値の上昇対策として有効な栄養素を摂取する順番は、以下のとおりです。
- 食物繊維
- たんぱく質
- 糖質
たんぱく質は消化吸収に時間がかかり、食物繊維と併せて後から摂取した糖質の消化吸収を遅らせます。
高GI食品は糖質が多い傾向があるため、基本的には肉類や魚類などのたんぱく質の後に食べてください。
油やお酢を使って調理した食品は体内で糖質の吸収を遅らせる
調味料のうち、お酢や油は体内で食物が胃から移動する動きを遅らせる性質があります。
食物繊維と同様に血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できるため、高GI食品を調理する際は活用したい調味料です。
ただし、油は脂質の過剰摂取につながる可能性があり、脂質はインスリンの働きを妨げる肥満の原因になり得ます。
一方、お酢も過剰摂取は推奨されませんが、基本的には毎日の摂取で以下の健康効果が得られます。
- 食後血糖値の上昇抑制
- 内臓脂肪の減少
- 血圧の低下
- 身体的な疲労感の自覚軽減
そのため、油は炒め物などで使い過ぎないようにしつつ、味付けにおいてはお酢を活用してみましょう。
冷ましたご飯や茹で時間の短い麺は通常よりも糖質の吸収を遅らせる

高GIのご飯や麺類について、以下の工夫をした場合、GI値を少し下げられます。
- 炊いた米を一旦冷ますと、難消化性でんぷんのレジスタントスターチが増加して、消化吸収が遅れる
- 麺の茹で時間を短くして、麺の芯が少し残った硬めの状態にすると、でんぷんが固まった状態で消化吸収が遅れる
どちらもでんぷんが固まった状態にした場合、食べた後の消化吸収を遅らせる効果が期待できます。
麺についてはパスタにおけるアルデンテと呼ばれる状態であるため、美味しく食べられる範囲です。
一方、冷ましたご飯については、ご飯の美味しさは少し損なわれてしまいます。
冷ましたご飯や芯が残った麺は通常よりも消化に悪く、体質によってはお腹の調子を崩す可能性があります。
低GI食品でも食べ過ぎると栄養素の偏りやカロリー過多につながる
GI値はあくまで血糖値の上昇度を示す数値であり、低GIに該当する食品の栄養価の高さや健康効果を証明するものではありません。
低GI食品であっても、食べ過ぎた場合は栄養価の偏りやカロリー過多につながる可能性があります。
特にカロリーについては、GI値の低さを優先して見落とす可能性が高い部分です。
GI値を参照した食事は栄養バランスが整った状態が前提になるため、食品ごとの栄養素やカロリー表記も確認してください。
自分が摂取すべき栄養素がわからない場合は、病院の医師や栄養士に相談するのも良いでしょう。
低GI食品のランキングを参考にしながら栄養バランスの良い食事を心がける
GI値のなかでも低GIに該当するものは、食事で食べた際の血糖値の上昇が緩やかな食品です。
毎日食べる食事で優先的に取り入れられると、血糖値の上昇対策として機能します。
しかし、栄養バランスの面で考えると、中GIから高GIに該当する食品も摂取する必要性が出てきます。
GI値を参照した食事を始める際は、食物繊維を優先した食べる順番や調味料のお酢を活用してみてください。
自分だけで摂取すべき栄養素や食品選びの判断が難しい場合は、医師や栄養士に頼るのも1つの手です。
GI値から現在の食生活を見つめ直して、高血糖や糖尿病につながる血糖値の急上昇を防いでいきましょう。
