日々の生活の中で感じる体のだるさや疲れは、糖質のとり方が関係している可能性があります。
糖質は、体を動かすための大切なエネルギー源で、脳を働かせるのにも欠かせない栄養素です。
しかし、糖質を必要以上にとると、生活習慣病などのリスクが高まるといわれています。
この記事でわかること
- 糖質疲労の原因
- 糖質疲労の症状やその原因
- 糖質疲労を引き起こす食品
- 糖質疲労を改善する生活習慣
- 糖質疲労と糖尿病
糖質のとり方や生活習慣の見直しは、元気に毎日を過ごすための土台になります。
これから先の健康を守るためにも、大切にしたいポイントといえるでしょう。
目次
糖質疲労は食後血糖値の乱高下に深く関連している可能性がある
糖質疲労とは、食後に眠たくなったり集中できなかったり、なんとなく体がだるく感じるような状態のことです。
このような状態が長く続くと、体調のバランスが崩れ、将来的に不調をきたす可能性があると考えられています。
私たちが糖質を摂取すると、体の中で消化吸収されてブドウ糖に変わり、血液中に取り込まれます。
食事をすると血糖値は上がりますが、健康な人であれば通常、140mg/dLを大幅には超えないとされています。
しかし、糖質を多くとったり短時間でとったりすると、食後の血糖値が140mg/dLを超える場合があるのです。
食後の血糖値が急に上がると、それを下げようと膵臓はインスリンというホルモンをたくさん分泌します。
その結果、今度は血糖値が一気に下がる場合があるのです。
血糖値スパイクが起こると体はエネルギーが足りていないと勘違いして、疲れやだるさ、眠気などを感じる人もいるといわれています。
このように、糖質をとった後に感じる体の不調は、こうした食後の血糖値の乱高下が関係している可能性があると考えられているんです。
糖質疲労の症状は血糖値の急激な変動が関係している可能性がある
糖質疲労の症状は、日々の生活の中で感じる体の不調と症状がよく似ているため、眠気や体のだるさは単なる疲れからくるものと勘違いされる場合があるのです。
しかし、このような体の不調は、糖質疲労が原因である可能性も考えられます。
糖質疲労に関わっていると考えられている症状には、以下のようなものがあります。
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- 体のだるさや疲れ
- 頭痛
- 集中力の低下
- 強い眠気
- イライラする
このような症状が出るタイミングは、食後すぐの場合や数時間経ってからの場合もあり、人によって違いがあるのです。
しかし、どの場合も、食後血糖値の変動が関わっていると考えられています。
食事の後に血糖値が急に上がると、それに対応してインスリンも多く分泌される傾向があります。
インスリンの分泌量が増えると、脳がエネルギーが足りないと勘違いしてしまい、体の疲れや強い眠気を感じる場合があるのです。
さらには、インスリンの影響で血糖値が大幅に下がった結果、脳に必要なエネルギーが不足して集中力や思考力の低下が起こると考えられています。
頭痛も、血糖値スパイクや低血糖が関係している可能性のある症状です。
食後の血糖値の激しい上がり下がりから低血糖が起こると、体がアドレナリンを分泌し、肝臓にためてあるブドウ糖を血液中に送り出すとされています。
このアドレナリンというホルモンが分泌されると心拍数や血圧を上げるため、血管を収縮させる働きがあると考えられています。
その結果、頭痛を感じたり、肩や首のこりといった症状を感じる場合があります。
さらに、アドレナリンが過剰に出るとイライラしたり眠れなくなったりと、心と体に悪い影響を及ぼす可能性もあるんです。
このような症状がある人は、血糖値スパイクや低血糖が原因の可能性もあります。
そのため、血糖値を急上昇させない食生活を心がけると、体調を整える助けになる場合があります。
糖質疲労に関係する食品には高GIのものが含まれている場合がある
糖質疲労を起こす背景には、食後の血糖値の大幅な変動が関係している可能性があり、その主な原因は糖質のとり方にあります。
糖質は、低GI食品と高GI食品の2つのタイプに分けられます。
GI値の高い食品を摂取すると、消化吸収のスピードが速いため、血糖値が急激に上がります。
血糖値が急激に上がった後は、今度は血糖値を下げるために膵臓からインスリンをたくさん分泌してしまうため、血糖値スパイクが起こる場合があります。
このように、糖質疲労と関係があると考えられているのは、糖質の中でも特にGI値が70以上の高GI食品です。
高GI食品には、以下のようなものがあります。
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- 食パン
- 精白米
- 赤飯
- うどん
- もち
- ジャガイモ
- 里芋
- にんじん
- とうもろこし
- 飴
- チョコレート
- ポテトチップス
- ケーキ
- こし餡
- 煎餅
- いちごジャム
- 大豆甘納豆
これらの食品の摂取は、血糖値の急激な上昇に関係するとされています。
しかし、高GI食品は普段主食として食べているお米やパンなどに含まれており、これらを全く食べないというのは無理です。
高GI食品をとる時には、とり方を工夫すると良いでしょう。
糖質疲労の予防には食生活の改善と適度な運動が推奨されている
糖質疲労を防ぐには、食後血糖値が急に上がったり下がったりするのを抑えるのが大切と考えられています。
そのためには、食後に高血糖にならないような食事を心がけると良いです。
糖質疲労を予防するためには、以下のような方法があります。
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- 糖質を過剰摂取しない
- 良質なタンパク質や脂質を摂取する
- 規則正しい食生活を送る
- 食物繊維を摂取する
- 食べる順番を工夫する
- 運動を行う
糖質を全く摂取しないという方法は、現実的ではありません。
糖質のとる量やとり方の見直しは、食後の高血糖を予防するのに効果があります。
このように食生活の見直しをすると、糖質疲労の症状を防いだり、やわらげたりできるでしょう。
糖質の適切な摂取量を知ると食後血糖値の上昇を抑える助けになる
糖質をたくさんとると、食後高血糖につながります。
しかし、糖質を含む炭水化物の中には、食物繊維も含まれているのが特徴です。
そのため、糖質をとる量を極端に減らすと、腸の調子が悪くなってしまう危険性があります。
糖質を過剰にとるのは避け、バランスの取れた食事に気をつける必要があります。
糖質をとる量は、1日70〜130g以内を目安にしましょう。
この目安から考えると、1食あたりの糖質をとって良い量は約20〜40gです。
他にも、糖質摂取において気をつけなければならないのは、ご飯以外にも糖質を含む食品が多くあるという点です。
糖質を含む食品には、他にもじゃがいもなどの芋類やにんじんなどの根菜類があります。
さらに、お菓子やジュースなどにも糖質が多く含まれています。
これらの食品を全て食べないというのは、日々の生活を送る上で困難です。
そのため、一緒に食べる食品や食べ方を工夫して、食後の高血糖を予防する必要があります。
脂質やタンパク質の摂取は食後の血糖値上昇の抑制に関係している
良質な脂質やタンパク質は、食後高血糖と関係していると考えられています。
脂質やタンパク質をとると、インスリンの分泌を助ける働きがあるインクレチンというホルモンが分泌されるといわれているのです。
さらに、脂質やタンパク質は満腹中枢を刺激する働きもあるため、食後の満腹感も得られます。
その結果、食べ過ぎの防止にもつながるでしょう。
しかし、脂質には体に良い脂質と悪い脂質の2種類があり、ナッツや青魚などは良い脂質に分類されます。
一方、悪い脂質は、マーガリンやケーキなどトランス脂肪酸を多く含む食品や酸化した古い油です。
食後高血糖を予防するためには、良質な脂質を摂取するようにしてください。
食後高血糖を防ぐためには規則正しい食生活を心がけると良い
1日3食をきちんと食べるのは、血糖値を安定させる上で非常に大切で、中でも朝ごはんは特に大事です。
朝食を食べると、1日の血糖値が安定し、昼食後の急激な血糖値上昇の予防につながる場合があります。
一方、不規則な食生活は血糖値の変動を激しくさせてしまい、血糖値スパイクを引き起こす原因と考えられています。
食後高血糖を防ぐためには、1日3食規則正しく食べると良いです。
さらに、1日3食しっかり食べると、間食の回数も減らせます。
ドーナツやジュースなど糖質を多く含むお菓子を食べると、血糖値は急激に上がってしまいます。
食物繊維は糖質の吸収を抑えて血糖値上昇を緩やかにするとされている
食物繊維は、糖質の吸収を緩やかにする働きがあるため、食後の血糖値の急上昇を防ぐのに役立つとされています。
食物繊維を多く含む食品は、以下のようなものがあります。
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- 玄米
- とうもろこし
- 大豆、小豆
- 納豆
- おから
- サツマイモ
- こんにゃく
- ごぼう
- キャベツ
- 柑橘類
- バナナ
- きのこ類
- 海藻類
これらの食物繊維は消化吸収されないため、糖質などの栄養素が胃や小腸の消化酵素に触れるのを抑える働きがあるとされています。
その結果、糖質の消化吸収がゆっくり進むため、食後血糖値の上昇を緩やかにすると考えられています。
さらに食物繊維は、腸内環境を整えてインスリンの分泌を助ける働きがあるのです。
このように、食物繊維を積極的にとると、糖質疲労をやわらげる効果が期待できるといわれています。
糖質を食事の最後にとると血糖値の急上昇を抑えられるとされている
食後高血糖や血糖値スパイクを予防するためには、食べる順番も大切です。
食事の最初からいきなり糖質をとると、血糖値は一気に上がってしまう傾向があります。
血糖値の急激な上昇を防ぐために、最初に食物繊維を豊富に含む食品を摂取すると良いです。
食物繊維をとった後は、タンパク質や脂質を摂取すると良いです。
インクレチンは、タンパク質や脂質をとった後に分泌されるといわれており、そのタイミングで糖質をとるのが望ましいです。
このように糖質を最後に食べる方法はカーボラストと呼ばれ、食べる順番を工夫するだけで、食後高血糖の予防につながります。
その結果、糖質疲労の抑制にも役立つ可能性があるのです。
食後の運動は摂取した糖質のエネルギー代謝を促進する可能性がある
食後に運動を行うと、摂取したブドウ糖がすぐにエネルギーとして使われるため、食後高血糖の予防に役立つ可能性があります。
運動をすると筋肉が増え、血流も良くなり、ブドウ糖の利用が促されると考えられています。
激しい運動でなくても、ジョギングなどの有酸素運動やスクワットなどの筋トレで大丈夫です。
このように食生活だけでなく、適度な運動を日々の生活の中に取り入れると、食後高血糖や血糖値スパイクの予防につながります。
その結果、糖質疲労の症状を防いだり、軽減したりできるでしょう。
糖質疲労のリスクは不規則な食生活や睡眠不足によって高まる
糖質疲労は、食後高血糖と血糖値スパイクが影響する場合があります。
そのため、食後の血糖値を急激に上げてしまうような生活は、糖質疲労のリスクを高める可能性があります。
糖質疲労に関係するとされる要因は、以下のとおりです。
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- 糖質を過剰に摂取する
- 乱れた食生活を送る
- 睡眠不足
- ストレス
糖質をたくさんとると食後高血糖が起こる可能性があるため、特に炭水化物中心の生活を送っている人は、食生活を見直してみてください。
さらに、甘いお菓子やジュースをよく口にする人は、食後高血糖になっている傾向があります。
こうした食品に含まれる糖質は、穀類などの糖質に比べて消化吸収が早いため、食後の血糖値上昇に影響すると考えられる糖質です。
そのため、糖質をとる量だけでなく、糖質の種類にも気を付ける必要があります。
さらに、食事を抜いたり早食いしたりなども食後の血糖値を急激に上昇させる要因となるため、1日3食を規則正しくよく噛んでゆっくり食事をすると良いでしょう。
睡眠が足りないとインスリンの働きが弱まり、ストレスを感じるとアドレナリンというホルモンが分泌されて、血糖値を上昇させるといわれているのです。
糖質疲労は、食生活だけではなく、睡眠不足やストレスなども関係していると考えられています。
食後の眠気やだるさは糖質疲労の可能性があり、予防には規則正しい食事と生活習慣が大切です。
糖質疲労の状態を放置すると糖尿病が発症する可能性がある
糖質疲労は、食後高血糖と血糖値スパイクが原因で起こり、将来的に糖尿病を招く恐れがあります。
糖尿病とは、食後に上昇した血糖値が下がらず、高血糖の状態が長く続く状態のことです。
通常、食後に上がった血糖値はインスリンの働きによって下がりますが、糖尿病になると分泌量が足りなかったりうまく働かなかったりして血糖値が下がりません。
糖質が多い食事が続くと、血糖値を下げようと膵臓はたくさんのインスリンを分泌しようとしますが、やがてその働きが追いつかなくなる可能性があります。
さらに肥満や運動不足といった生活習慣も、インスリンの反応を鈍くさせる要因の一つです。
その結果、血糖値の乱高下が長い間続くとインスリンの効きが悪くなり、やがて糖尿病の発症リスクが高まると考えられています。
加えて、血糖値スパイクは、健康診断で行われる空腹時の血液検査では発見されない場合があります。
そのため、実は血糖値の急上昇が原因となっている体のだるさや眠気などの症状に自分で気づくのが難しいのです。
糖質疲労の症状は食習慣や生活習慣を見直すと改善が期待できる
糖質疲労は、普段感じる体のだるさや眠気などと区別するのが難しいため、見過ごされる場合があります。
しかし、そのまま放っておくと、将来的には糖尿病を発症する可能性があるとされています。
糖質疲労を引き起こす主な原因は、偏った食生活や不規則な生活習慣です。
糖質をたくさんとったり食事を抜いたりすると、食後高血糖や血糖値スパイクを引き起こしてしまい、結果として糖質疲労の症状がなかなか改善しない状態に陥る場合があります。
最初に、体のだるさや眠気、集中力の低下などの症状がどのタイミングで出現しているかよく観察してみてください。
もしこれらの不調が食後に起こっているようであれば、糖質疲労が関係している可能性があります。
糖質疲労かもしれないと思う場合は、食事のリズムを整えたり糖質の種類やとり方を見直すと、症状がやわらぐ場合があります。
本記事は一般的な情報をまとめたものであり、医療的な判断や治療を目的としたものではありません。
健康状態に不安のある方は、必ず医療機関へご相談ください。