ダイエットで糖質制限と脂質制限のどっちを選んでも、同じエネルギー量であれば痩せ方に大きな差は無いとされています。
どっちを選ぶかはふだんの食事と健診の数値で変わるため、健診を受けた人は結果票を手元に置き、2つの方法の良い点と注意点から組み合わせ方まで読み進めてください。
- 同じエネルギー量であれば糖質制限と脂質制限の痩せ方に大きな差は無い
- 糖質と脂質のうちふだん多く取っているほうから減らす
- 糖質制限でも主食を抜かず炭水化物をゼロ近くまで減らさない
- 脂質を全く取らない食事は体のバランスを崩す
- 中性脂肪が高めの人は甘い物とお酒から見直す
- LDLコレステロールが高めの人は脂の種類を変え糖質制限でも肉の脂で補わない
- 糖質制限と脂質制限は組み合わせてよいが減らした分をたんぱく質で補い過ぎない
参照元:日本人の食事摂取基準(2020年版)各論 炭水化物 | 厚生労働省
糖質制限と脂質制限で痩せ方に差はあるのか

どちらの方法も1日の総エネルギー量を下げる点は同じで、痩せ方は糖質と脂質のどちらを減らすかではなく総エネルギー量で決まるとされます。
| 見る点 | 糖質制限 | 脂質制限 |
|---|---|---|
| 主に減らすもの | ご飯・パン・麺類・甘い物 | 脂身の多い肉・油 |
| 良い点 | 主食の重ね食べや甘い物を減らすと1日に取るエネルギーを抑えられる | 脂質は炭水化物より高カロリーなため同じ量を減らしてもより多くのエネルギーを抑えられる |
| 注意点 | 減らした分を肉や油で補い過ぎない | 脂質を全く取らない食事は避ける |
ただし、糖質や脂質を減らした分をほかの食品で補って総エネルギー量が変わらない場合、減量の効果は期待できないとされています。
体重を短期間に大きく落とそうとするとたんぱく質やビタミン、ミネラルの不足が続いて筋肉が減り、リバウンドを繰り返す可能性が高いといわれています。
参照元:日本人の食事摂取基準(2020年版)各論 炭水化物 | 厚生労働省
参照元:糖尿病の食事のはなし(献立編) | 糖尿病情報センター
参照元:食事療法について | 国立循環器病研究センター 病院
参照元:不適切な減量は将来のサルコペニアを招く? | 日本栄養士会
主食の量を減らす糖質制限の良い点と注意点

糖質制限は主食を減らして総エネルギー量を下げられる一方、減らし方や補い方によっては体に負担がかかる可能性があります。
食事全体のエネルギー量は変えずに糖質だけをゼロ近くまで減らす方法は効果や安全性が証明されておらず、長続きも困難なため、現時点では勧められていません。
日本人では、炭水化物が少な過ぎても多過ぎても死亡のリスクが高まる傾向があるとされています。
ただし、調べた人たちのうち炭水化物がもっとも少なかった群でも割合は平均43%ほどで、それより下げた食事を長く続けた場合の影響はまだわかっていません。
海外でも炭水化物を減らした食事を続けた人の死亡のリスクが高かったといわれており、主食は抜かずに量を控えめにします。
最初に、ラーメンとライスやパスタとパンのような主食どうしの重ね食べと、ご飯のおかわりや大盛りの習慣を見直しましょう。
砂糖の主成分であるショ糖は血糖の上昇や肥満を助長する可能性があるため、甘い物も減らします。
減らした分を補う場合は、肉より植物性の食品から脂質やたんぱく質を取ります。
参照元:糖尿病の食事のはなし(献立編) | 糖尿病情報センター
参照元:日本人の食事摂取基準(2020年版)各論 炭水化物 | 厚生労働省
参照元:低炭水化物食と死亡リスクとの関連 | 国立がん研究センター
参照元:糖質制限食による死亡リスク | 国立国際医療研究センター 糖尿病研究センター
脂身や油を減らす脂質制限の良い点と注意点

脂質制限では脂身や油を減らして総エネルギー量を下げ、体に必要な脂質は残します。
魚以外の動物性脂肪に多い飽和脂肪酸は、日本人では取る量が多い人ほど心筋梗塞のリスクが高く脳卒中のリスクは低い傾向があり、取り過ぎても少な過ぎても良くないと報告されています。
そのため脂質制限でも肉などの動物性の脂を献立から無くさず、脂身や油の量を控えめにしましょう。
脂身の多い肉を控え、しゃぶしゃぶや網焼きのように脂を落とす調理を選ぶと、1日に取るエネルギーも抑えられます。
参照元:食事療法について | 国立循環器病研究センター 病院
参照元:飽和脂肪酸摂取と循環器疾患発症の関連について | 国立がん研究センター
健診の数値ごとに糖質制限と脂質制限のどっちが向いているのか

健診で中性脂肪が高めだった人は甘い物を減らす糖質制限から始め、それ以外の人は糖質と脂質のうちふだん多く取っているほうを減らしましょう。

どちらを多く取っているかは、ここ数日の食事を書き出すと見当がつきます。
主食の重ね食べや甘い物の回数が多かった人は糖質制限を、脂身の多い肉の回数が多かった人は脂質制限を選びます。
| 健診の項目 | 保健指導の対象になる値 | 向く方法 | 先に見直したい食べ方 |
|---|---|---|---|
| 空腹時血糖 | 100mg/dL以上 | 多く取っているほうを減らす | 1食に集中させず朝昼晩へ分ける |
| HbA1c | 5.6%以上 | 多く取っているほうを減らす | 1食に集中させず朝昼晩へ分ける |
| 空腹時中性脂肪 | 150mg/dL以上 | 甘い物を減らす糖質制限 | 甘い物とお酒を減らす |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 多く取っているほうを減らす | 体重が多めの場合は1日に食べる総量を減らす |
| LDLコレステロール | 120mg/dL以上 | 多く取っているほうを減らし肉の脂で補わない | 肉の脂の一部を植物油や魚の油へ置き換える |
表は健診の数値ごとに食事を考えるための目安で、治療の方法を示すものではありません。
健診の結果で医療機関の受診を勧められた場合は、食事の変え方も医療機関で相談してください。
中性脂肪が高めだった人の糖質制限の始め方
甘い物とお酒はどちらも中性脂肪を増やす直接の原因になるとされ、お酒は肝臓で中性脂肪がつくられる働きも促すといわれています。
そのため中性脂肪が高めだった人は、糖質制限で甘い物を減らすときにお酒も減らしてください。
血糖やHbA1cが高めだった人の食べ方の工夫
血糖が高めだった人は、ふだん多く取っているほうを減らす方法でかまいません。
血糖が高めの人が炭水化物を非常に少なくした食事を続けても、半年以上たつとほかの食事とのHbA1cの差ははっきりしなかったとされています。
同じエネルギー量でも一度にまとめて食べると血糖の変動が大きくなるとされているため、糖質を大きく減らす前に、食事を朝昼晩へ分けて食べる工夫を取り入れてください。
HDLコレステロールが低めだった人の進め方
HDLコレステロールが低めだった人も糖質と脂質のうちふだん多く取っているほうを減らし、体重が多めの場合はまず1日に食べる総量を減らしてください。
体重が減るほど血糖や中性脂肪、HDLコレステロールの改善が大きい傾向が、米国の肥満の2型糖尿病患者で報告されています。
LDLコレステロールが高めだった人の脂の選び方
LDLコレステロールが高めだった人は、どちらの方法を選ぶ場合も脂の量より種類を見直し、糖質制限で減らした分を肉の脂で補わないでください。
LDLコレステロールは、米国の肥満の2型糖尿病患者で体重の減り方と結びつかなかったと報告されており、減量と別に脂の種類で考えます。
血中のコレステロールは、肉の脂などに多い飽和脂肪酸で増え、植物油や魚の油に多い不飽和脂肪酸で下がるとされています。
参照元:標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)第2編別紙5・別添資料フィードバック文例集等 | 厚生労働省
参照元:日本人の食事摂取基準(2020年版)各論 炭水化物 | 厚生労働省
参照元:食事療法について | 国立循環器病研究センター 病院
糖質制限と脂質制限は両方を組み合わせてもよいのか

糖質制限と脂質制限は、少しずつ組み合わせてもかまいません。
どちらか一方を選ぶ場合も組み合わせる場合も、炭水化物と脂質、たんぱく質の割合が次の範囲に収まっていると極端な偏りを避けられます。

| 栄養素 | 1日のエネルギーに占める割合の目安 |
|---|---|
| 炭水化物 | 50〜65% |
| 脂質 | 20〜30% |
| たんぱく質 49歳まで | 13〜20% |
| たんぱく質 50〜64歳 | 14〜20% |
| たんぱく質 65歳以上 | 15〜20% |
炭水化物を50%より減らすと、脂質かたんぱく質のどちらかが目安の上限を超える計算です。
炭水化物が65%を超える食事は精製した穀類や甘い飲み物に偏りがちで、ビタミンとミネラルが不足するおそれがあるとされています。
炭水化物を減らして目安の下限に近づける場合は、食物繊維が少なくならないよう、精製した穀類に偏らない主食を選びましょう。
このとき減らした分を肉や魚で補い過ぎると、たんぱく質の割合が目安の上限の20%を超える場合があります。
腎臓の病気で通院している人は、たんぱく質の量を医療機関に相談してください。
一度に両方を変える必要はなく、片方に慣れてからもう一方を減らす進め方でもかまいません。
参照元:日本人の食事摂取基準(2020年版)各論 炭水化物 | 厚生労働省
