日本糖尿病学会のガイドラインでは、HbA1cの基準値は6.0%未満であると示されています。
HbA1cは、主に健康診断などで血糖状態の目安として活用される検査項目です。
HbA1cが高いと、血管がかたくなったり、網膜や腎臓の病気になったりするリスクが増えるといわれています。
今回は、HbA1cの基準値やガイドラインについて詳しく解説します。
この記事でわかること
- HbA1cの基準値と正常範囲は、4.6~6.2%
- HbA1cが高い場合は、糖尿病リスクの増加につながる
- HbA1cを基準値にに保つためには、生活習慣を改善する
自分の健康状態やHbA1cを改善する方法を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖基準値を示す大切な指標
HbA1cは糖化ヘモグロビンの略称であり、過去1〜2か月の平均血糖値を示す指標です。
血液中の赤血球にあるヘモグロビンに、ブドウ糖がどのくらい結びついているかをはかり、生活の中で血糖の上がり下がりを把握できます。
HbA1c値が把握できると、血糖管理をうまく行えて、糖尿病や合併症のリスクの予防ができるでしょう。
さらに、HbA1cの測定は、食事による血糖値の変動の影響を受けないため、ごはんの内容を気にせず検査を受けられます。
HbA1c値は糖尿病の診断基準の一つであり、治療の効果や血糖コントロールがうまくできているかどうかを見る際の指標です。
HbA1cの基準値と正常範囲は6.0%未満で5.6%以上が特定保健指導の対象
HbA1cの基準値は一般的に6.0%未満ですが、特定健康診査では5.6%以上が特定保健指導の対象とされています。
正常値 | 正常高値 | 境界型 | 糖尿病型 | |
---|---|---|---|---|
空腹時血糖値 | 〜5.5% | 〜5.9% | 〜6.4% | 6.5%〜 |
特定健診とは、生活習慣病の予防を目的として、健康保険に加入する40〜74歳を対象に実施される健診のことです。
検査結果が基準値を超えた場合、保健師や管理栄養士が生活習慣の改善を支援する特定保健指導が行われる場合があります。
参考:特定健診・特定保健指導に関する法律は?重要ポイントや実施の義務について解説 – クラウド型健康管理システムなら【Growbase】
糖尿病型とされた場合は約1カ月後に再度検査を行い、再び糖尿病型の結果が出た場合、糖尿病と診断される傾向にあります。
日本糖尿病学会で示されている血糖正常化を目指す目標値は、下記の通りです。
血糖正常化を目指す場合の目標 | 合併症予防の目標 | 治療強化が難しい際の目標 | |
---|---|---|---|
HbA1c | 6.0%未満 | 7.0%未満 | 8.0%未満 |
ただし、ガイドラインは医療機関により異なるため、医師の指示に従うとよいでしょう。
参考:日本糖尿病学会ガイド 2018-2019糖尿病治療ガイド
HbA1cが高い場合は糖尿病リスクが増加するとガイドラインにある
ガイドラインでは、HbA1c値が6.5%以上は糖尿病の診断基準値の目安です。
HbA1cを高いままにすると高血糖が続き、全身の血管に負担がかかる場合があります。
結果的に下記のような糖尿病の合併症リスクを高める可能性があるので、HbA1c値の把握は大切です。
-
- 動脈硬化
- 網膜症
- 腎臓病
心臓や脳にも合併症を起こすリスクがあり、治療が遅れると、いのちにも関わるかもしれません。
糖尿病は早めの対策が大切といわれており、とくに生活習慣の見直しが効果的とされています。
インスリンがしっかり分泌されると、食事や運動をととのえるだけで、適切に血糖値をコントロールができる可能性が高まります。
下記の症状がある場合は、合併症を発症している可能性もあるので、参考にしてください。
-
- 目のかすみ
- 急な視力の低下
- 足の感覚がにぶい
上記の症状が現れたり、HbA1cが基準値より高かったりする場合は、医療機関に相談しましょう。
HbA1cを測定する頻度と測定時の注意点を知り合併症予防に努める
HbA1cは、糖尿病の管理や予防のために、3か月ごとの測定が望ましいです。
ガイドラインでも、定期的な検査が合併症予防になると示されています。
HbA1c測定時に注目するポイントは、下記の3点です。
-
- 検査方法が病院により異なる
- もともとの病気により数値が変わる事例もある
- 日々の生活習慣がかかわる
HbA1cの測定方法は複数の種類があり、検査機関により結果が少し変わる場合があります。
貧血など血液の病気も、HbA1cの数値に影響を与える可能性があるとされています。
HbA1cは、過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映する指標です。
日々の生活習慣が深く関わるため、今回の記事を参考にして、よりよい生活を送りましょう。
適切な血糖値のコントロールは糖尿病予防に欠かせないため、自己判断で測定を中止しないよう注意してください。
定期的にHbA1cを測定して自分の体調を知ると、腎臓や目の病気などの合併症の予防につながります。
HbA1cを目標範囲に保つために生活習慣を改善する
HbA1cを目標基準値に保つためには、食事や運動、睡眠などの生活習慣の見直しと改善が大切です。
生活習慣を改善すると血糖値が安定し、HbA1c値の低下につながります。
HbA1c値が低下すると、糖尿病の合併症リスクが少なくなる傾向にあり、健康的な生活を目指せます。
HbA1cを目標範囲に保つ方法は、下記の3つです。
-
- 食事の順番に気をつける
- ストレスを解消する
- 運動を習慣にする
食事で血糖値が急に上がるのを防ぐには、食べる順番の工夫が大切とされています。
具体的には、食物繊維を豊富に含む野菜や海藻、キノコ類からとってください。
これらの食品は糖の吸収をゆるやかにし、血糖値が急に上がらないようにする効果が期待できます。
ストレスはHbA1cを上げる可能性があるとされているため、日々のストレスケアが大切です。
ストレスを受けると、コルチゾールというホルモンが分泌されます。
慢性的なストレスによりコルチゾールが過剰に分泌されると、血糖値が高くなる場合があります。
ほどよい運動や音楽をきく、アロマの香りを嗅ぐなど、自分に合うリラックス方法でストレスを解消してください。
運動は体内の糖を効率的にエネルギーとして使うため、血糖を良好にコントロールできるといわれています。
1回20分以上、週3回以上、週あたり合計150分以上の運動がガイドラインでも推奨されています。
有酸素運動により期待できる効果は、以下の通りです。
-
- 血糖値の低下
- コレステロール値の改善
- 筋肉や骨の強化
- お通じの改善
- 認識機能低下の予防
無理のない範囲で少ない時間から始めると、無理なく続けられます。
階段を使ったり歩いて通勤したりするなど、日常的に体を動かすとさらに良好な血糖管理ができるでしょう。
ほどよい運動やストレスケアを見直してHbA1cを一定に保てると、糖尿病の予防につながります。
HbA1cの基準値は年齢や疾患で異なるため医師の指示のもと設定する
HbA1cの基準値は、年齢や合併している疾患があるかどうかで変わるといわれています。
高齢者は代謝が低下し、低血糖を起こす可能性があるため、無理のない範囲でHbA1cの目標を定められる人が多いです。
低血糖を起こすと、下記の症状が現れる場合もあります。
-
- 動機
- 冷や汗
- 手のふるえ
しかし、高齢者は自分が低血糖だとわかる場合は少なく、処置が遅れて意識を失うなどの重い症状を引き起こすかもしれません。
そのため、高齢者の血糖コントロールの目標値は、低血糖を引き起こさないように考えて医師が設定するのが大切です。
心疾患や腎疾患などの合併症がある場合も、ほとんど厳格な血糖コントロールは行いません。
ガイドラインの目標値だけでなく、医師の指示のもと自分に合わせて設定された目標を確認しましょう。
HbA1cの基準値を正確に理解すると健康維持につながる
HbA1cの基準値の正確な理解は、糖尿病にならないようにするためや、診断において大切な指標です。
HbA1cが高いと、太い血管が硬くなったりせまくなったりする動脈硬化、腎臓病などを引き起こす場合があります。
HbA1cが基準値で保たれると、膵臓のインスリンが一定に分泌され、糖尿病の予防につながるとされています。
HbA1cの正常値は4.6〜6.2%で、糖尿病型は6.5%以上です。
糖尿病治療では6.0%未満が目標ですが、厳しくしてしまうと高齢者や合併症を持つ人には、低血糖などのリスクを伴います。
食物繊維をとったりほどよい運動をしたり、リラックスすると血糖値が一定に保たれて、病気のリスクの低減につながります。
HbA1cは3ヶ月ごとに測定し、基準値と比べるとよいでしょう。
よい生活習慣を送ったり、定期的にHbA1cを測ったりすると、健康なからだづくりの手助けになります。
HbA1cの基準値とガイドラインを正しく知り、自分に合う血糖値を目指し、定期的に健康診断を受けて自分に合った血糖コントロールをしてください。
本記事は一般的な情報をまとめたものであり、医療的な判断や治療を目的としたものではありません。
健康状態に不安のある人は、必ず医療機関へご相談ください。