「最近、疲れが抜けにくい…」そんな方はいませんか?本記事では、抗酸化作用のある食べ物や飲み物、効果が高い食品ランキング上位をわかりやすく解説しています。読めば、毎日の食事でどんな食材をどう取り入れればよいのかが明確になり、ご自身やご家族の健康を守るために、自信を持って選択できるようになります。
抗酸化作用のある食べ物の効果とメカニズム

抗酸化作用のある食べ物とは、〝体内で発生する活性酸素を抑えて細胞の酸化ダメージを防ぎ、老化や生活習慣病の予防に役立つ食品“のことです。抗酸化作用のある食べ物は活性酸素を消去し、細胞の酸化を防いで老化や病気のリスクを減らします。
抗酸化物が活性酸素を消去する
活性酸素は体の中で“サビ”のような反応と考えることができ、私たちの体の細胞や遺伝子を傷つけてしまいます。その結果、老化や病気のリスクを高めることが知られています。少し難しい話になりますが、活性酸素は電子が不足している状態であり、“暴れぼう”のようにふるまい、身体の細胞や遺伝子を傷つけるのです。
一方、抗酸化物質は活性酸素に“余分な電子”を渡すことで、不安定で暴れやすい活性酸素を落ち着かせる働きがあります。これにより「酸化による連鎖反応」を止めることができるのです。
抗酸化物が体にある酵素を助ける
体内にはいくつかの(※1)抗酸化酵素があり、活性酸素を消去しています。しかし年齢を重ねるとともに、これらの酵素は少なくなり、活性酸素が身体に残りやすくなります。ここで役に立つのが食品に含まれる抗酸化成分なのです。食品から摂取する抗酸化成分も、体の中にもともとあった抗酸化酵素と同じような働きをしてくれるのです。
※1:「SOD」「カタラーゼ」「グルタチオンペルオキシダーゼ」など
抗酸化の指標ORAC
ORAC(オーラック)とは活性酸素吸収能力と言い、どれだけ強い抗酸化力を持っているかを測定した指標です。とくにアメリカ農水省で分析が行われ世界に広がりました。ORAC値が高いほど抗酸化力が強いということを示します。強さの区分は特に示されてはいませんが、10,000(μmol TE/100g)を超えると高いと言っていいでしょう。
引用:選択された食品の酸素ラジカル吸収能(ORAC)に関する USDA データベース 第2版
※以下、ORAC値は、すべてUSDA(アメリカ農務省)から引用です。ただし、詳細データは現在削除されています。
抗酸化作用のある食べ物の代表成分
抗酸化作用のある食べ物の代表成分とは、ビタミンCやビタミンE、カロテノイド、ポリフェノールなどで、活性酸素を抑えて体を守る重要な栄養素です。
ビタミンC
ビタミンCは、水に溶けやすい成分で、活性酸素(スーパーオキシドやヒドロキシルラジカルなど)を直接、強力に消去します。柑橘類、キウイ、ブロッコリー、パプリカなどに豊富に含まれます。注意点としては、熱や光で壊れやすいので、生で食べたり、熱を加え過ぎずに食べたりすることをお勧めします。
2-2. ビタミンE
ビタミンEは、油に溶けやすい成分で、細胞膜の脂質部分に存在し、脂質過酸化反応で体が傷つくことを止める役割があります。ナッツ類(アーモンド、ヘーゼルナッツ)、植物油、小麦胚芽に多く、ビタミンCとの併用で抗酸化効果が持続すると言われています。
引用:医療従事者におけるエネルギー向上のための食事由来抗酸化物質、食品サプリメント、および機能性食品の役割
カロテノイド(β-カロテン、リコピン、ルテインなど)
活性酸素(一重項酸素)の消去に優れ、眼・皮膚・血管などの酸化ストレスを軽減します。β-カロテン(ニンジン、カボチャ)、リコピン(トマト)、ルテイン(ほうれん草、ケール)に豊富で、油と一緒に摂ると吸収率が上がります。
ポリフェノール
ポリフェノールは、活性酸素を消去し、さらに抗酸化酵素(SOD、カタラーゼ)の発現を誘導する報告もあります。つまり体の中で作られる抗酸化酵素を増やす役割があると言われています。カテキン(緑茶)、アントシアニン(ブルーベリー、ブドウ皮)、ケルセチン(玉ねぎ)、レスベラトロール(赤ワイン)、プロアントシアニジンなど多くの食べ物に含まれています。
抗酸化作用のある食べ物ランキング

ブルーベリー
野生ブルーベリーのORAC値、約9,600 μmol TE/100g、栽培種でも約4,700ととても高い抗酸化作用があります。アントシアニンが主成分であり、ヒト試験で血管機能改善や血圧低下が示されており、果物の中で最強クラスです。
引用:野生ブルーベリー由来ポリフェノールは、高齢の健康成人において血管機能と認知機能を改善し得る:二重盲検ランダム化比較試験
クランベリー・ブラックベリー
クランベリーのORAC値は、約9,500、ブラックベリーは約5,300です。抗酸化力は高いですが、クランベリーは酸味が強くジュース加工が主流であるため、糖分が多いことには注意が必要です。
赤ブドウ(皮ごと)
赤ブドウ(皮ごと)のORAC値は1,800前後ですが、レスベラトロールやプロアントシアニジンなど独自の抗酸化ポリフェノールを含みます。皮と種にこれらの成分が多いため、果汁よりも“丸ごと”食べる方が有効です。赤ワインの抗酸化作用もこれに由来します。
柑橘類
オレンジやグレープフルーツはビタミンCが多く含まれます。フラボノイド(ヘスペリジン、ナリンゲニン)も抗酸化作用を示します。ORAC値はベリー類ほど高くないですが、食べる量は多くなりますので、日常の抗酸化作用の寄与率という意味では大きいと言えます。
ザクロ
ポリフェノールを豊富に含み、抗酸化作用や抗炎症作用の報告あります。ジュースとして研究されていることが多いですが、糖分の量が多い点には注意が必要で、飲みすぎは禁物です。
抗酸化作用のある飲み物ランキング
緑茶・抹茶
カテキンは強力な抗酸化力を持つ代表格です。カテキンにも種類がありますが、緑茶や抹茶には、エピガロカテキンガレートという成分が含まれており、強い抗酸化力を有しています。
ココア・カカオ飲料
甘くないココアパウダーそのもののORAC値は80,000ほどで大変強い抗酸化力を有しています。砂糖やミルクで高カロリー化しやすいため、無糖ココアや高カカオの飲料を飲むことがおすすめです。
コーヒー
コーヒーに含まれるクロロゲン酸にも抗酸化作用があります。体内で発生する酸化ストレスを減らし、細胞のダメージを防ぐはたらきがあるため、健康維持に役立つ成分のひとつです。
赤ワイン
赤ワインにも種類はありますが、ORAC値は高いものだと5,000ほどあります。レスベラトロールやプロアントシアニジンが抗酸化作用を持ち、フレンチパラドックスとして研究されてきました。
果汁飲料(ブルーベリー・クランベリージュース)
クランベリーのORAC値は、約9,500、ブラックベリーは約5,300です。ベリー由来アントシアニンやプロアントシアニジンが豊富で、さまざまな健康効果も報告されています。
抗酸化作用のある食べ物の活用方法

「ビタミンC × ビタミンE」の組み合わせ
ビタミンEは油の酸化を防ぎますが、酸化型Eは失活してしまいます。ビタミンCは失活したビタミンEを還元してもとのビタミンEに戻します。果物にはビタミンCが多く、アーモンドなどのナッツにはビタミンEが豊富に含まれます。したがって「果物+アーモンドなどのナッツ」を同時に摂取すると効果的です。サラダやヨーグルトに入れて食べてもよいでしょう。
緑茶・ココアの活用
緑茶のカテキン、ココアのフラバノールはいずれも抗酸化力の強いポリフェノールです。日常的に摂取する飲料としてお勧めします。今、抹茶ブームになっていますが、抹茶商品を手にしたり、ココアとバナナでスムージーを作ったりするのもお勧めです。また、煮込み料理やカレーなどに、ココアパウダーを追加するのも隠し味として、また健康効果としてお勧めです。
まとめ
そもそも人間の体には抗酸化酵素があり、活性酸素に対抗していますが、加齢とともに減少していきます。そこで抗酸化力の強い食品を摂取することは大変重要なことです。食品に含まれるビタミンやポリフェノールは抗酸化力を有し、老化や生活習慣病リスクを低減すると言われています。ぜひ意識して摂り入れていきましょう。
