糖尿病予備軍はまだ糖尿病ではない段階であり、今のうちに食事や運動、体重を見直すと糖尿病の予防につながるとされています。
予備軍のうちは自覚症状が無いとされるため、気づくきっかけは健診の血糖値です。
結果票の数値の読み方から体重を減らす目安、すぐに始められる習慣までを知ると、次に何をするかを自分で決められます。
- 予備軍はまだ糖尿病ではなく発症リスクを下げられる段階
- 健診の血糖値が糖尿病の疑いを否定できない範囲の場合は負荷試験で確かめる
- 症状が出ない予備軍のうちからインスリンの働きは弱まっていく
- 予備軍の段階から心臓や血管の病気のリスクは高まる
- 数kgの減量でも糖尿病の発症リスクは下げられる
- 生活習慣の見直しは夕食の腹八分目と短い散歩から始められる
糖尿病予備軍は血糖値が正常より高く糖尿病の手前にある段階

糖尿病予備軍は医療の場で糖尿病の境界型とも呼ばれ、血糖値が正常よりは高いものの、糖尿病と診断されるほどには上がっていない状態を指します。
2型糖尿病の多くは何年もかけて血糖値がゆっくり上がった末に発症するとされ、予備軍はその途中です。
2016年の時点で予備軍の人は約1000万人と推計されており、決して珍しくありません。
参照元:糖尿病に関する統計・調査と社会的な取組み | 糖尿病情報センター
糖尿病予備軍と判定される血糖値とHbA1cの値

糖尿病予備軍にあたる境界型は、HbA1cが6.5%未満で、次のどちらかに当てはまる場合を指します。
- 空腹時血糖値が110〜125mg/dL
- 負荷試験の2時間値が140〜199mg/dL
負荷試験は、ブドウ糖を飲んで2時間後の血糖値を測る検査です。
HbA1cは過去1〜2か月の血糖値の高さを映し、当日の食事や運動には左右されないとされています。
健診の結果票によく載る空腹時血糖値とHbA1cの区分ごとに、境界型との関係は次のとおりです。
| 区分 | 空腹時血糖値 | HbA1c | 境界型との関係 |
|---|---|---|---|
| 将来糖尿病を発症するリスクが高いグループ | 100〜109mg/dL | 5.6〜5.9% | 境界型の手前 |
| 糖尿病の疑いが否定できないグループ | 110〜125mg/dL | 6.0〜6.4% | 空腹時血糖値が当てはまると境界型 |
| 糖尿病型の指標 | 126mg/dL以上 | 6.5%以上 | 境界型ではなく糖尿病型 |
負荷試験は疑いが否定できないグループの人に勧められ、リスクが高いグループでも高血圧や脂質異常症、肥満がある人には受診が望ましいとされています。
空腹時血糖値とHbA1cのどちらか1つが糖尿病型の指標に当てはまっても、その1項目だけでは糖尿病と診断されず、医療機関で負荷試験や経過観察が行われます。
健診の結果で医療機関の受診を勧められたら、早めに検査を受けてください。
参照元:糖尿病の症状ってなに? | 国立長寿医療研究センター
参照元:HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってなに? | 国立循環器病研究センター 病院
健診で糖尿病予備軍と言われた人に自覚症状はあるのか

糖尿病予備軍の段階では自覚症状が無いとされ、体はなんともないと考えるのも無理はありません。
40〜74歳の人が受けられる特定健診には糖尿病の検査も含まれ、毎年の受診で数値の変化を追えます。
症状の有無で判断せず、自分の状態は健診の血糖値やHbA1cで確かめましょう。
参照元:糖尿病に関する統計・調査と社会的な取組み | 糖尿病情報センター
糖尿病予備軍の段階で心臓や血管の病気のリスクはどう変わるか

予備軍の段階でも血糖値の高い状態が続くと全身の血管が傷ついて動脈硬化が生じ、心臓や血管の病気のリスクは正常な血糖値の人より高くなるとされています。
正常な血糖値の人と比べたリスクの差として、次の報告があります。
| 当てはまる人 | 基準となる人 | リスクの大きさ |
|---|---|---|
| 負荷試験の2時間値が高いタイプの境界型の人 | 正常型の人 | 心臓や血管の病気による死亡が2.2倍 |
| 日本の40〜69歳で空腹時血糖値が100〜125mg/dLなどの人 | 同じ年代で血糖値が正常な人 | 虚血性心疾患と呼ばれる心臓の病気の発症が1.65倍 |
1.65倍の対象には、境界型より低い空腹時血糖値100〜109mg/dLの人も含まれます。
一方で予備軍のうちに生活習慣を見直すと、糖尿病だけでなく脳梗塞や心筋梗塞のリスクの低下にもつながる可能性があります。
参照元:糖尿病と虚血性心疾患との関連について | 国立がん研究センター
体重を減らすと糖尿病の発症リスクはどのくらい下がるか

体重は自分で変えられる数字であり、生活習慣の改善とあわせた数kgの減量でも、糖尿病の発症リスクは下がるとされています。
生活習慣を見直して減量に取り組んだ人について、報告された結果は次のとおりです。
| 対象の人 | 減量の幅 | 結果 |
|---|---|---|
| 米国の肥満の人のうち、負荷試験の血糖値が境界型の人 | 目標7%減 | 約2.8年で発症リスクが58%減 |
| 日本で生活習慣の面談を重ねて見直した境界型の人 | 実際に平均2kg減 | 糖尿病への進行が抑えられた |
体重の5〜10%の減量は、予備軍の人が糖尿病の発症リスクを減らすための手段の1つといわれています。
まず体重を量り、減らす量の目安を次の表で確かめてみましょう。
| 今の体重 | 5%減らす量 | 10%減らす量 |
|---|---|---|
| 60kg | 3kg | 6kg |
| 70kg | 3.5kg | 7kg |
| 80kg | 4kg | 8kg |
参照元:2型糖尿病発症予防を目的としたデジタル技術によるヘルスケアサービスに関する指針 | 日本肥満学会
まず食事と運動と体重から始める生活習慣の見直し

糖尿病の発症リスクを高めるとされる要因のうち、食べ過ぎや運動不足、肥満は遺伝と違って生活の中で変えられます。
そのため見直す中心は、食事と運動、体重の3つです。
| 見直すもの | 見直す中身 |
|---|---|
| 食事の量 | 腹八分目でやめる |
| 食事の中身 | 野菜を積極的に取る |
| 運動 | 散歩などを少しずつでも始める |
| 体重 | 前の節の表で確かめた量を目安に減らす |
禁煙や年に1回の健診、ストレスとの上手なつきあい方にも、あわせて取り組んでください。
見直す習慣の多くは特別な準備なしに取り組めるため、今日の夕食を腹八分目で終えるところから始め、散歩の時間も無理のない範囲で足していきましょう。
